3度目の開催となったタイムトライアル・ミックスリレーは、シュテファン・キュングやマーレン・ローセルなど豪華メンバーを揃えたスイスが初優勝。アネミエク・ファンフルーテン(オランダ)は出走直後に落車し、右肘と腕を激しく打ちつけリタイアしている。



2位のイタリアに10秒差をつけフィニッシュしたスイスチーム男子2位のイタリアに10秒差をつけフィニッシュしたスイスチーム男子 photo:CorVos
今年で3度目の開催となったタイムトライアル・ミックスリレー(Mixed Relay)。2018年まで開催されていたチームタイムトライアルとは異なり、男女3名ずつ、合計6名によるリレー形式の国別対抗戦だ。

コースは男女ジュニアで使用されたウロンゴン市街地を巡る14.1km(合計28.2km)。まずは男子3名が隊列を組んで出走し、2番目の選手がフィニッシュラインを通過したタイミングで女子3名がスタート。同じ14.1kmのコースを走り終え、男子同様に2番目の選手がフィニッシュした時間がその国の成績となる。

気温18度、過去最多となる15カ国+WCC(UCIワールドサイクリングセンター)の16チームが4組に分かれてスタートした。第1ウェーブにタヒチやニューカレドニアなどが入り、第2ウェーブでは地元オーストラリアが大声援の出走。マイケル・マシューズや女子エリートの個人TTで8位だったジョージア・ベイカーらが好走した結果、34分25秒(平均49.162km/h)でフィニッシュ。開催国オーストラリアが長時間ホットシートに座り続けた。

第2ウェーブで出走し、暫定トップタイムでフィニッシュしたオーストラリア第2ウェーブで出走し、暫定トップタイムでフィニッシュしたオーストラリア photo:CorVos
フィリポ・ガンナを先頭に進むイタリアチームフィリポ・ガンナを先頭に進むイタリアチーム photo:CorVos
トップタイムで女子にバトンを渡したスイスチーム男子トップタイムで女子にバトンを渡したスイスチーム男子 photo:CorVos
第3ウェーブではレミ・カヴァニャを擁するフランスと、元U23のTT世界王者のミッケル・ビョーグら若手中心で構成されたデンマークが34分45秒と同タイムでオーストラリアに迫ったものの、一歩及ばず。そして過去に優勝経験のあるオランダやドイツが揃った最終第4ウェーブに入ると、スイスがオーストラリアを38秒上回るトップタイムを叩き出した。

3日前の男子エリートTTで2位だったシュテファン・キュングやTT欧州選手権で優勝したシュテファン・ビッセガーを揃えたスイスは、男子が15分50秒、平均53.432km/hという驚異的なスピードで女子にバトンを渡す。そして女子エリートTT3位のマーレン・ローセルやエリーズ・シャベイがそのリードを守り、33分47秒と大幅にタイムを更新した。

直後にスタートしたフィリッポ・ガンナを含むイタリアも好走を披露したものの、僅か3秒届かない。そしてマチュー・ファンデルプールとアネミエク・ファンフルーテンに加え、女子エリートTTで2連覇を果たしたエレン・ファンダイクと豪華メンバーで臨んだオランダがスタートを切った。

マチュー・ファンデルプールを含む豪華メンバーで臨んだオランダを2度の不運が襲ったマチュー・ファンデルプールを含む豪華メンバーで臨んだオランダを2度の不運が襲った photo:CorVos
スタート直後に落車したアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)スタート直後に落車したアネミエク・ファンフルーテン(オランダ) photo:CorVosファンフルーテンは「前輪のタイヤが破裂した」とSNSに投稿しているファンフルーテンは「前輪のタイヤが破裂した」とSNSに投稿している photo:CorVos

バウケ・モレマのチェーンが外れ、その後カモメと衝突しながらも、トップのスイスから40秒遅れで男子がフィニッシュした初代王者のオランダ。だが女子のスタート直後にファンフルーテンが落車し、右肘や腕を激しく打ちつけそのままリタイア。そのためファンダイクとリアンヌ・マークスは2名での走りを強いられ、トップから52秒遅れでフィニッシュした。レース直後にファンフルーテンはSNSに病院で骨折の有無を検査すると伝え、落車の原因を「前輪のタイヤが破裂したため」と綴っている。

最終出走となった昨年優勝国ドイツが46秒遅れでフィニッシュしたことによって、スイスが世界選手権ミックスリレー3代目の優勝国に輝いた。2020年の個人TTで3位、今年は2位と悔しさ残るキュングは2015年のチームTT優勝以来となるアルカンシエル獲得。また同じく世界選手権で2位や3位が続いたローセルにとっても嬉しい国歌斉唱となった。

優勝が決まった瞬間のスイス優勝が決まった瞬間のスイス photo:CorVos
銀メダルを獲得したイタリア銀メダルを獲得したイタリア photo:CorVos長い間ホットシートに座り、地元で銅メダルを獲得したオーストラリア長い間ホットシートに座り、地元で銅メダルを獲得したオーストラリア photo:CorVos

アルカンシエル獲得を喜ぶスイスアルカンシエル獲得を喜ぶスイス photo:CorVos
ロード世界選手権2022男子ジュニア個人タイムトライアル結果
順位 国名 タイム 平均スピード
1位 スイス 33:47 50.084km/h
2位 イタリア +0:03 50.010km/h
3位 オーストラリア +0:38 49.162km/h
4位 ドイツ +0:46 48.973km/h
5位 オランダ +0:52 48.831km/h
6位 デンマーク +0:58 48.691km/h
7位 フランス +0:58 48.691km/h
8位 ベルギー +1:49 47.528km/h
9位 ポーランド +1:51 47.484km/h
10位 スペイン +2:44 46.335km/h
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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