9月18日に開幕するオーストラリア・ウロンゴンを舞台したロード世界選手権。その幕開けとなる個人タイムトライアルで、世界一の称号アルカンシエルを狙う優勝候補を紹介しよう。



9月18日(日)女子エリート個人タイムトライアル 距離34.2km/獲得標高差312m

8年越しのアルカンシエルを手にしたエレン・ファンダイク(オランダ)8年越しのアルカンシエルを手にしたエレン・ファンダイク(オランダ) photo:CorVos
2022年ロード世界選手権の幕開けとなるのが女子エリート個人タイムトライアル。ウロンゴン市内に設定された17.4kmのコースを2周弱する34.2kmは、前半に急勾配の丘(マウント・オースレイ)や多くのコーナーが登場する。獲得標高差は312mで、平坦かつ直線基調の昨年とは打って変わりリズムの刻みにくいレイアウトとなっている。

昨年、2013年以来8年振りに世界一に輝いたエレン・ファンダイクは、自身の2連覇とオランダに3年連続のアルカンシエルをもたらすべく出場する。ファンダイクは今年、6月に7度目となるナショナル選手権を含む個人TTを4戦3勝と好調をキープ。テクニカルなコースが懸念点となるものの、優勝候補筆頭であることには変わりない。

その世界王者を8月の欧州選手権で下したのがマーレン・ローセル(スイス)だ。世界選手権では2年連続で2位、更に東京五輪でも2位とビッグタイトルを目前で逃してきたが、今年は怪我や脳震盪に見舞われながらも欧州選手権のタイトルに加え、ツール・ド・フランス・ファムでは独走でステージ優勝するなど調子は上々だ。

ツール・ファムで独走勝利と今季好調のマーレン・ローセル(スイス)ツール・ファムで独走勝利と今季好調のマーレン・ローセル(スイス) photo:CorVos
東京五輪で金メダルを獲得したアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)東京五輪で金メダルを獲得したアネミエク・ファンフルーテン(オランダ) photo:CorVos
また直前のセラティジット・チャレンジbyブエルタを制し、ジロ・ドンネとツール・ファムに続く今年3つ目のステージレース総合優勝を挙げたアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)も出場する。今シーズン、個人タイムトライアルへの出場がないが、その実力は金メダルを獲得した東京五輪で証明済み。優勝すれば自身が躍進するきっかけとなった2017年、2018年以来となるアルカンシエルとなる。



9月18日(日)男子エリート個人タイムトライアル 距離34.2km/獲得標高差312m

アルカンシエルを狙うレムコ・エヴェネプール(ベルギー)アルカンシエルを狙うレムコ・エヴェネプール(ベルギー) photo:CorVos
トニー・マルティン以来の3連覇を目指すフィリッポ・ガンナ(イタリア)トニー・マルティン以来の3連覇を目指すフィリッポ・ガンナ(イタリア) photo:CorVos8月の欧州選手権を制したシュテファン・ビッセガー(スイス)8月の欧州選手権を制したシュテファン・ビッセガー(スイス) photo:Makoto AYANO

ワウト・ファンアールト(ベルギー)がロード専念のため欠場する男子エリートでは、2020年から2年連続で優勝しているフィリッポ・ガンナ(イタリア)が3連覇を狙う。シーズン前半は個人TTで無類の強さを誇り、イタリア王者に返り咲いたガンナだが、ツール・ド・フランス以降は走りに精彩を欠いている。しかし3連覇となればトニー・マルティン(ドイツ)が2011〜13年に成し遂げて以来の快挙となるためモチベーションは高いはずだ。

ガンナにとって最大のライバルとなるのが、直近のブエルタ・ア・エスパーニャで総合優勝を挙げたレムコ・エヴェネプール(ベルギー)。2019年は19歳ながら2位、昨年は3位とアルカンシエルに迫るエヴェネプールは、今年大幅なポジション修正を経て臨んだベルギー選手権で初優勝。今年をビッグイヤーにするべく初の世界タイトルに挑む。

ツール後もコンディションを維持しているタデイ・ポガチャル(スロベニア)ツール後もコンディションを維持しているタデイ・ポガチャル(スロベニア) photo:Makoto AYANO
地元オーストラリアのローハン・デニスは家庭の事情で出場を見送った。しかし毎年優勝候補に挙がりながらもいまだ優勝経験のないシュテファン・キュングは、欧州選手権を制したシュテファン・ビッセガーと共にスイス代表として出場。そして名だたるTTスペシャリストたちを脅かす存在として、タデイ・ポガチャル(スロベニア)も出走リストに名を連ねた。

ツール・ド・フランス3連覇を阻まれたポガチャルだが、直前のグランプリ・シクリスト・ド・モンレアルではファンアールトをスプリントで下すなど好調ぶりをアピール。個人TTでは2021年のツール第5ステージ以来勝利はないものの、総合優勝という制約のない状況でポガチャルが見せる走りに注目だ。

その他にもバウケ・モレマ(オランダ)やイーサン・ヘイター(イギリス)、マグナス・シェフィールド(アメリカ)なども見逃せない。



日本勢は19日のU23個人TTから続々と登場

日本からは9月19日の男子U23個人タイムトライアルに留目夕陽(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)が出場。また9月20日の女子ジュニアには垣田真穂(松山学院高等学校)が、同日の男子ジュニアには鎌田晃輝(松山学院高等学校)と藤村一磨(宮崎県立都城工業高等学校)がアルカンシエルを目指して出走する。
ロード世界選手権2022スケジュール
9月18日(日) 男子エリート個人タイムトライアル 34.2km
9月18日(日) 女子エリート個人タイムトライアル 34.2km
9月19日(月) 男子U23個人タイムトライアル 28.8km
9月20日(火) 男子ジュニア個人タイムトライアル 28.8km
9月20日(火) 女子ジュニア個人タイムトライアル 14.1km
9月21日(水) タイムトライアル・ミックスリレー 28.2km
text:Sotaro.Arakawa