若手の急先鋒アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)のステージ優勝で幕を閉じたツール・ド・フランス最初の本格的な山岳ステージ。ステージ初優勝を飾ったアンディや、マイヨジョーヌに袖を通したカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)ら、有力選手たちのコメント。

アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)ステージ優勝・総合2位
モルジヌ・アヴォリアズ頂上ゴールを制したアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)モルジヌ・アヴォリアズ頂上ゴールを制したアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) photo:Cor Vos「アタックしてコンタドールを引き離す自信があった。もしかしたら彼は(マイヨジョーヌ獲得を遅らすために)故意に追わなかったのかも知れないけど、とにかく嬉しい結果だ。全てがうまく機能して、このファンタスティックな勝利を手にすることが出来た。厳しい闘いだったけど、チームは僕を信頼してくれた。パリまで全力で闘うことを彼らと約束したんだ。バイクを降りるまで闘いを止めない」

「出来る限り早くマイヨジョーヌに袖を通したい。ピレネーでそれが実現可能だと予想している。今日は素晴らしい一日だった。心残りは、兄フランクがいないこと。上りで苦しんでいるとき、彼がいないことに寂しさを感じた。今日はそれほど極端に苦しんだわけじゃないよ。調子は良かった」

「前々から言っているけど、現在、僕はキャリアの中で最高のコンディションだ。パンチ力のある走りを最後に見せることも出来た。調子が良いだけに、馬鹿げた間違いや自惚れに気をつけなければならない。自分の持てる力を存分に発揮して、マイヨジョーヌを目指したい。そのためには毎日の積み重ねが重要。今晩はステージ優勝の喜びを堪能したい。明日の休息日が明けると、また次のターゲットに向けて動き出す。まだパリまでの道のりは長い。ツールで勝つためには、今日のようにライバルたちに付いていくだけでは足りない。もっとアクティブに動いてライバルたちからリードを奪う必要がある。その準備は出来ている」


カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)ステージ6位・総合首位
マイヨジョーヌに袖を通すカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)マイヨジョーヌに袖を通すカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Cor Vos「まだ(マイヨジョーヌ獲得を)信じられない自分がいる。映像には残っていないかも知れないけど、今日はレース序盤に落車したんだ。地面にキツく叩き付けられた。幸い腕で衝撃を吸収したので脚にダメージは無かったけど、その落車の影響で厳しい闘いになった。ゴール前でシュレクが飛び出したのが見えたけど、自分は自分の走りに徹した。現在コンタドールからリードを奪っている。(第3ステージの)石畳コースはコンタドールからタイムを奪う絶好のチャンスだった」

「アームストロングが脱落したとき、コンタドールは出来るだけアームストロングを総合下位に蹴落とそうと考えた。結果的にアスタナの集団ペースアップは有利に働いたよ。コンタドールが前々から言っているように、アスタナはピレネーで更に攻撃を仕掛けてくると思う。アンディ・シュレクと自分の間にはタイム差があるけど、何が起こるか分からない。今から戦略をもう一度チェックしなければ」

「アルカンシェルの上にマイヨジョーヌを着るのは稀なこと。自分に信頼を置いてくれたBMCレーシングチームに感謝している。前身のマウンテンバイクチームから数えて14年目のチームの歴史に残る一日だ。ここまでの道のりで多くの人々のサポートを受けて来た。このマイヨジョーヌはその報酬だ。でもまだチームには遂行すべきことが残されている」

「今日はスティーブ・モラビートの走りが冴えていた。このあたりは彼の地元で、ツール・ド・スイスに出場した彼のコンディションはバッチリ。ライダーやメカニック、監督を含め、チームに関わる全ての人々のおかげで今がある。今、BMCレーシングチームはツール・ド・フランスの先頭に立っている」


ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)ステージ4位・総合7位
ゴール前でメイン集団のペースを上げるロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)とロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)ゴール前でメイン集団のペースを上げるロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)とロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス) photo:Cor Vos「厳しいステージだった。でももう少し良い結果が残せたはずだ。ラマズ峠では少し苦しんだけど、最後の上りで調子が戻って来た。脚が良く回っていたのでゴール前でアタックしたんだ。コンタドールが追いついて来なかったら、アタックが決まっていたと思う」

「結果には結びつかなかったけど、厳しいステージだったにも関わらず、脚の感触は良かったよ。レディオシャックの失速には驚いた。そこからアスタナがペースを作ってゴールに向かったんだ。イヴァン(バッソ)の走りにも満足している。彼の経験が僕の走りにも活きている。ピレネーでは僕ら2人が活躍することになる」


アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)ステージ5位・総合3位
チームメイトにアシストされながら快調に1級山岳モルジヌ・アヴォリアズを上るアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)チームメイトにアシストされながら快調に1級山岳モルジヌ・アヴォリアズを上るアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:Cor Vos「ランスが遅れ始めてからチームは集団の主導権を握った。最後の上りでライバルたちが苦しむ中、ダニエル(ナバーロ)は素晴らしい牽きを見せてくれた。でも少し向かい風の中でチームを力を使いすぎたかも知れない」

「ライバルたちがアタックを始めたとき、いち早く反応して封じ込めた。アンディ・シュレクがアタックしたとき、追走せずに他の選手たちが上がってくるのを待つことにした。結果的にアンディから数秒失った。でも結果はOK。連日の暑さで少し呼吸にトラブルがあったけど、チームの走りも自分の走りも良かった。休息日はしっかり休んで、火曜日の闘いに備えたい」


イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)ステージ9位・総合13位
メイン集団内で1級山岳モルジヌ・アヴォリアズを上るカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)やイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)メイン集団内で1級山岳モルジヌ・アヴォリアズを上るカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)やイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) photo:Cor Vos「厳しい闘いになるのは予想していたし、今日遅れてしまうんじゃないかという恐怖心もあった。でもこの2日間はいずれも集団内で平穏に走ることが出来た。アスタナのペースアップや終盤のアタックにも反応出来たし、今後に向けての自信に繋がる走りだったよ。今日はコンタドール、シュレク、エヴァンスの走りが冴えていた。クロイツィゲルのアタックが成功しなかったのは残念。コンディションは上向き。明日の休息日でリズムを崩さないように気をつけないといけない。今年のツールはピレネーで決着する。そこで優勝候補に名乗りを上げたい」


ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ)ステージ14位・総合6位
「今日の走りには満足している。今日も暑くて厳しいステージだった。でもチームメイトが良くサポートしてくれた。最後の上りでコンタドールのグループに出来る限り食らいついたけど、徐々に自分の限界を迎えてしまった。最後はグループから遅れてしまったけど、そこからテンポで上り続けた。ステージ14位と総合6位という成績は予想以上。満足しているよ。明日はじっくり休んで、また次の闘いに備えたい」。

ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)ステージ19位・総合14位
「ほぼ一日中調子の良さを感じていた。特に最後から2つ目の上り(1級山岳ラマズ峠)では脚が良く回っていたんだ。でも最後の上りが始まると、ペースを掴めなかった。上りの途中で集団から脱落。でもあそこで後ろに下がっていなかったら爆発(大ブレーキ)していた。あの状況でタイムロスを最小限に抑えられたと思っている。天候に苦しんでいた数日間のことを考えると、最善を尽くせた。今日調子を崩したと告白してスッキリした。でもまた挽回可能なステージは残っている」

アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)ステージ27位・総合15位
終始アシストとして働き続けたアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)終始アシストとして働き続けたアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) photo:Makoto Ayano「(ラマズ峠の上りで)苦しかったので集団から一度遅れてしまった。でもランス・アームストロングが遅れたのを見て、もう一度ペースを取り戻して集団に復帰した。下りで少し飛び出してしまったけど、当然メイン集団を待った。チームメイトを引き離して走ることに意味は無い。そこで少しリカバリー出来たよ」

「最後の上りでアスタナは素晴らしい走りを見せた。アルベルトをサポートし続けたティラロンゴとナバーロの走りはインプレッシブだったよ。ステージ優勝に届かなかったのは残念。どちらかと言うと、自分向きのコースプロフィールだった。自分はただ全力でアルベルトの走りに尽くし、チーム総合成績のことを考えて走った」。

ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)ステージ13位・総合17位
「調子が良かったのでラスト8kmでアタックした。でも今日の上りは自分の脚質に合っていなかった。ハイペースを刻める上りより、もっと勾配の有る厳しい上りが得意。またピレネーでアタックしたいと思う」


ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)ステージ61位・総合39位
レース後、インタビューで質問に答えるランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)レース後、インタビューで質問に答えるランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック) photo:Cor Vos「ダメな時はとことんダメ。言うまでもなく今日は私の日では無かった。打ちのめされたけど、レースに残って、あと2週間を最後まで楽しみたい」

「ラマズ峠手前のロータリーで、ペダルを縁石に引っ掛けてしまい、次の瞬間60〜65km/hで地面を滑っていた。そこから集団にカムバックするのは骨折り仕事。カラダも痛んだ。ラマズ峠の麓に差し掛かっても集団に復帰出来なかった。何とか上り途中で集団に復帰したけど、そこからライバルたちはリズムを上げ始めた。仮にラムズ峠で集団に食らいついていたとしても、アヴォリアズで苦しむことは目に見えていた」

「悪いタイミングでの悪い出来事。あれ以上の走りは出来なかった。数時間経ってから冷静に考えると、今回の出来事は決して“信じられないようなこと”ではない。ファンのみんなには感謝している。でも今年は自分の年ではなかったようだ。落車までは調子が良かっただけに、ただ運が悪かったという他無い」

「ツール・ド・フランスは長いレースだ。(総合争いにおける)ツールは終わったけど、レースに残ってステージ優勝を狙いたい。最後のツールを楽しみながらチームメイトをサポートしたい。涙を流す必要は無い。今日の出来事についてクヨクヨ考えるつもりはない。自分の時代はとうの昔に終わっている」。


ジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)ステージ82位・山岳賞1位
「今日は出だしから躓いてしまった。15kmも走らないうちに落車してしまった。落車したとき、おそらく60km/hは出ていたと思う。肘と尻を強打して、首も痛めてしまった。集団に復帰してからも、パンクで遅れたり、なかなかポジションをキープ出来なかった。今日の朗報は、マイヨアポワを守ったこと。でもパリまでこのジャージを守り続けることが出来るかどうか分からない。この先の山岳ステージで目標変更を強いられるかも知れない」

選手コメントはレース公式サイト、ならびにチーム公式サイトより。

text:Kei Tsuji