フランス・ピレネー山脈を舞台とした3日間のステージレースで、與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)が総合2位に入る好成績をマーク。昨年の手術を乗り越え、元日本選手権王者が完全復活をアピールした。



大会を通して先頭集団に食らいついた與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)大会を通して先頭集団に食らいついた與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス) photo:Human Powered Health
與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)が出場したのは全3日間で行われた第1回CICツール・フェミナン・アンテルナショナル・デ・ピレネー。レースカテゴリーこそUCI.2.1(上から3つ目)であるものの、クイーンステージである2日目はスロール峠(距離6.9km/平均8.1%)を登り詰めるタフなステージレースだ。

出場したのはヒューマンパワードヘルスとEFエデュケーション・TIBCO-SVBという2つのワールドチームに加え、梶原悠未が籍を置くWCCチームなどのUCIチームを含む全17チーム。與那嶺はツール・ド・フランス・ファムに出場したニーナ・ブイスマン(オランダ)らと共にこのレースに挑んだ。

初日の27.4kmチームタイムトライアル (1aステージ)をトップのEFから56秒遅れの2位でフィニッシュしたヒューマンパワードヘルス。同日の午後に行われた76.7kmのロードレース (1bステージ)では、序盤に形成された逃げ集団に與那嶺が入り、そのまま逃げ切ったクリスタベル・ドーベルヒコック(アメリカ、EFエデュケーション・TIBCO-SVB)が優勝。與那嶺は16秒遅れのステージ5位でフィニッシュし、総合順位を2位まで上げることに成功した。

山頂フィニッシュの第2ステージを制したクリスタベル・ドーベルヒコック(アメリカ、EFエデュケーション・TIBCO-SVB)山頂フィニッシュの第2ステージを制したクリスタベル・ドーベルヒコック(アメリカ、EFエデュケーション・TIBCO-SVB) photo:EF Education-TIBCO-SVB
スロール峠(距離6.9km/平均8.1%)の頂上にフィニッシュラインが引かれた2日目も、リーダージャージを着たドーベルヒコックが圧巻の登坂力を見せてハットトリック(ここまでの3レースで3勝)を達成。與那嶺は最後まで先頭集団に食らいつき、44秒遅れのステージ4位でレースを終えた。

ロマネ・コンティやシャンベルタンなどの赤ワインの産地であるコート・ド・ニュイの峠(距離5.5km/平均7%)を2度越える大会最終日の第3ステージ。逃げ切りでシルヴィア・ザナルディ(イタリア、ビーピンク)が優勝し、それから55秒遅れでフィニッシュしたドーベルヒコックが総合優勝に輝く。3秒遅れでレースを終えた與那嶺が総合2位を守り抜き、総合表彰台に上がる快挙を成し遂げた。

総合表彰台に上がった與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)総合表彰台に上がった與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス) photo:EF Education-TIBCO-SVB
與那嶺にとっては外腸骨動脈の繊維化症と、その手術とリハビリ期間を経て以降、初めてとなるレースでの上位入賞。ジロ・ドンネやツール・ド・フランス・ファムなどを見送り、コンディション回復に努めていたことがようやく結果として実る形となった。

以下、與那嶺によるレース後のコメント

昨年にIliac(外腸骨動脈の繊維化症)の手術をしてからコンディションも筋肉もなかなか戻らず、3月の春のクラシックの時期からコロナに感染してしまいとても厳しい状況でした。それでも私を信じて支えてくれたTeam Eriのみなさん、そしてレースに出場するチャンスをくれたチーム、ヒューマンパワードヘルスにとても感謝します。

今回の結果は私にとって一つの区切りになると思います。オーストラリア世界選手権に向けてしっかりと準備をしていくのと同時に、パリ五輪まで真剣にもう一段レベルを上げて取り組んでワールドツアーでの1勝に向けて、武井亨介コーチとともに取り組んでいきたいと思います。多くの応援ありがとうございます。10月の全日本選手権でお会いしましょう。
第1ステージa(8月5日):アルティーグルヴ〜ラック(チームタイムトライアル/27.4km)
1位 EFエデュケーション・TIBCO-SVB 31:45
2位 ヒューマンパワードヘルス 0:56
3位 ビーピンク 1:31
第1ステージb(8月5日):ポー〜ポー(76.4km)
1位 クリスタベル・ドーベルヒコック(アメリカ、EFエデュケーション・TIBCO-SVB) 1:56:20
2位 リカルダ・バウエルンファインデ(ドイツ、キャニオン・スラム・ジェネレーション) 0:06
3位 コラリー・ドゥメイ(フランス、セントミッシェル・ウベール93) 0:16
5位 與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)
第2ステージ(8月6日):ピエルフィット=ネスタラ〜コル・デュ・スロール(106.2km)
1位 クリスタベル・ドーベルヒコック(アメリカ、EFエデュケーション・TIBCO-SVB) 3:21:07
2位 リカルダ・バウエルンファインデ(ドイツ、キャニオン・スラム・ジェネレーション) 0:12
3位 ユリア・ビリュコワ(ウクライナ、アルケア・プロサイリンチーム) 0:30
4位 與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス) 0:44
第3ステージ(8月7日):ルルド〜ルルド(117km)
1位 シルヴィア・ザナルディ(イタリア、ビーピンク) 3:15:32
2位 コラリー・ドゥメイ(フランス、セントミッシェル・ウベール93) 0:02
3位 モルガン・コストン(フランス、アルケア・プロサイリンチーム) 0:03
18位 與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス) 0:58
個人総合成績
1位 クリスタベル・ドーベルヒコック(アメリカ、EFエデュケーション・TIBCO-SVB) 9:05:39
2位 與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス) 1:08
3位 リカルダ・バウエルンファインデ(ドイツ、キャニオン・スラム・ジェネレーション) 1:38
text:Sotaro.Arakawa

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