登坂でライバルたちを一蹴したアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)が、下りでの落車を乗り越え今大会2勝目。総合2位マルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)との差を2分13秒まで拡げ、また一歩マリアローザに近づいた。



この日もマリアローザを着用して走るアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)この日もマリアローザを着用して走るアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) photo:CorVos
スタート地点にはクリスティアン・プリュドム氏の姿もスタート地点にはクリスティアン・プリュドム氏の姿も photo:CorVosジロ・デ・イタリア・ドンネ2022第8ステージ コースプロフィールジロ・デ・イタリア・ドンネ2022第8ステージ コースプロフィール Image:Giro Donne

イタリア北部トレント自治県のロヴェレートから山岳を越えアルデーノを目指すジロ・デ・イタリア・ドンネ(ワールドツアー)第8ステージ。104.7kmの行程には2級山岳ボルダラ峠(距離14.8km/平均6.9%)と2級山岳ラゴ・ディ・セイ(距離9.5km/平均7.3%)が登場し、下った先にあるアルデーノがフィニッシュ地点だ。

総合6位につけていたアマンダ・スプラット(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)がコロナ陽性でレースを去ったこの日、アルプス山岳2日目で見せ場を作ったのは同じチームのクリステン・フォークナー(アメリカ)だった。初日のプロローグを制したフォークナーは逃げ集団から1人飛び出すと、最初の2級山岳ボルダラ峠を先頭でクリア。得意の空気抵抗の少ないポジションのまま、メイン集団に1分差をつけて2級山岳ラゴ・ディ・セイに突入した。

逃げ集団から飛び出したクリステン・フォークナー(アメリカ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)逃げ集団から飛び出したクリステン・フォークナー(アメリカ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) photo:CorVos
マルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)を登坂で引き離すアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)マルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)を登坂で引き離すアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) photo:Movistar Team
一方、総合勢を含んだプロトンは総合3位のマルタ・カヴァッリ(イタリア)を擁するFDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)がコントロールしてモビスターのアシスト陣をはじめ人数を減らしていく。そして2級山岳ラゴ・ディ・セイに入るとアルレニス・シエラ(キューバ、モビスター)の牽引からマリアローザを着るアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)が加速した。

このマリアローザの動きに追従できたのはカヴァッリと総合2位マビ・ガルシア(スペイン、UAEチームADQ)の2人のみ。しかしファンフルーテンがアタックを繰り返すとガルシアが脱落し、フォークナーを捉えながら踏み続けるファンフルーテンにカヴァッリも遅れを喫する。ファンフルーテンの登坂速度はその後も緩むことなく、先頭で山頂を通過してそのまま1人ダウンヒルへ。

追走するマルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)追走するマルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) photo:FDJ Nouvelle-Aquitaine Futuroscope
今大会2勝目を独走で飾ったアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)今大会2勝目を独走で飾ったアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) photo:CorVos
ファンフルーテンは途中、下りの左コーナーで曲がりきれず落車するものの、素早く立ち上がってレース復帰。「なんて馬鹿なミスだったのだろう。でも勝利に何の影響もなかった」とレース後に話した通り、ファンフルーテンは右腕に血を流しながら先頭でフィニッシュラインを通過。区間2位だったカヴァッリに59秒差をつけて今大会2勝目、そしてジロ・ドンネ通算13勝目を飾った。

圧巻の登坂力で総合2位とのタイム差を2分13秒まで拡げたファンフルーテンは「このステージを狙っていた。その結果美しいレースと結末になった。カヴァッリは強かったものの、後ろを振り向かず踏み続けた」とコメント。「でも落車は愚かで余計だった。テレビで観戦している母に謝りたい。ごめんね!(笑)」とも。

シャンパンで勝利を祝うアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)シャンパンで勝利を祝うアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) photo:CorVos
登坂で遅れたガルシアが3分1秒遅れでフィニッシュしたため、カヴァッリは総合2位に順位を上げている。翌日はチーマコッピ(大会最高地点)である超級山岳パッソ・ダオネ(距離6.3km/平均10.2%)を登坂するクイーンステージ。ファンフルーテンの2連勝を止める選手は現れるのだろうか。
ジロ・デ・イタリア・ドンネ2022第8ステージ
1位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) 3:03:16
2位 マルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) 0:59
3位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) 1:38
4位 クリステン・フォークナー(アメリカ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) 1:45
5位 ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス) 3:01
6位 マビ・ガルシア(スペイン、UAEチームADQ)
7位 ジュリエット・ラブー(フランス、チームDSM)
8位 セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)
9位 ニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア、キャニオン・スラム) 3:10
10位 シルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス) 3:59
個人総合成績
1位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) 21:17:18
2位 マルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) 2:13
3位 マビ・ガルシア(スペイン、UAEチームADQ) 3:42
4位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) 7:03
5位 ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス) 9:05
6位 セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) 9:33
7位 シルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス) 10:41
8位 エリカ・マニャルディ(イタリア、UAEチームADQ) 12:35
9位 ジュリエット・ラブー(フランス、チームDSM) 13:25
10位 エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム) 13:29
その他の特別賞
ポイント賞 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)
ヤングライダー賞 ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス)
山岳賞 エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos