3年ぶりに開催された「アルプスあづみのセンチュリーライド」。4月開催の「桜のAACR」に引き続き、5月21~22日に開催された「緑のAACR」に初参加のCW編集部の高木が取材し、イベントレポートを前編と後編で紹介していく。前編はスタートからAACR名物の「ねぎみそおにぎり」がある青木湖までをレポート。




スタートが5時30分ということもあり、4時過ぎにはほぼ満車状態スタートが5時30分ということもあり、4時過ぎにはほぼ満車状態 photo:Michinari TAKAGI
新型コロナウイルスの影響で中止が続き、3年ぶりに開催された「アルプスあづみのセンチュリーライド」。4月15~16日に実施された「桜のAACR」は直前までコロナウィルス感染症のまん延防止等重点措置が発令されていたこともあり、例年に比べると参加者はかなり疎らだったという。

しかし、それから一か月。5月21~22日に開催された「緑のAACR」は、日本全国から約1400人のサイクリストが集結した。メイン会場は梓川の近くに位置する「梓水苑」。普段はキャンプやバーベキュー、ラフティングといったアクティビティの拠点ともなり、温浴施設も完備されたロケーションだ。会場ではマスク着用義務の他、アルコール消毒、検温が実施され、健康チェックシートの提出と引き換えに緑のリストバンドが渡されるなど、桜のAACRに引き続き感染症対策が万全の中でイベントが運営されている様子が窺える。

前日には冠スポンサーのミズタニ自転車がブランドブースでイベントを開催前日には冠スポンサーのミズタニ自転車がブランドブースでイベントを開催 photo:ミズタニ自転車
リドレーの最新バイクをチェックする参加者リドレーの最新バイクをチェックする参加者 photo:ミズタニ自転車DMTブースではシューズ試着会が行われていたDMTブースではシューズ試着会が行われていた photo:ミズタニ自転車

イベント前日には、前日受付をはじめ、大会の冠スポンサーであるミズタニ自転車が取り扱う、リドレーのバイク試乗会やDMTのシューズ試着会、ブリサマリーナ、パナレーサー、オーストリッチをはじめ、AACRジャージを手掛けるウエイブワンなど多くのブランドブースが出展。雨の中でも多くの方が訪れていた。

前日から降り続けていた雨はイベント当日の朝4時過ぎまで続き、路面は完全にウエット。気温は12℃と肌寒く、ジャケットやビブタイツの着用も視野に入る天候だ。参加者の皆さんが駐車場に着く頃にはなんとか雨は止んだものの、どんよりとした曇り模様だった。

受付ではアルコール消毒や検温、健康チェックシートの提出が行われ、感染症対策も万全受付ではアルコール消毒や検温、健康チェックシートの提出が行われ、感染症対策も万全 photo:Michinari TAKAGIスタートに向けて準備をする「いちごオレ」の皆さんスタートに向けて準備をする「いちごオレ」の皆さん photo:Michinari TAKAGI

今回もマヴィックがサポートしてくれるため安心だ今回もマヴィックがサポートしてくれるため安心だ photo:Michinari TAKAGI
スタートゲートに向かって5名ずつに並ぶスタートゲートに向かって5名ずつに並ぶ photo:Michinari TAKAGI
今回、緑のAACRを取材するのはCW編集部員の高木。長野はレースやトレーニング合宿で何度も走ったことはあるけれど、どこか立ち寄りながらの地域を楽しむようなサイクリングはしたことがなかった。もちろんAACRにも初参加である。

そんな私が取材したのは最長カテゴリーとなる160㎞のクラス。7つのエイドを巡りながら総距離148kmを走破するコースだ。梓水苑前の道路は交通規制がかかり、160kmクラスの1組目の参加者が、5名ずつに並ぶ。スタート前にはイベントをプロデュースしている鈴木雷太さんによる開会のあいさつが行われた。

全国に先駆けてタンデムの公道利用が認められた長野県。タンデムバイクで参加する方を多く見かけた全国に先駆けてタンデムの公道利用が認められた長野県。タンデムバイクで参加する方を多く見かけた photo:Michinari TAKAGIイベントをプロデュースしている鈴木雷太さんによる開会のあいさつイベントをプロデュースしている鈴木雷太さんによる開会のあいさつ photo:Michinari TAKAGI

160kmクラスの皆さんで集合写真160kmクラスの皆さんで集合写真 photo:Michinari TAKAGI
5時30分、マヴィックカーを先頭にスタート5時30分、マヴィックカーを先頭にスタート photo:Michinari TAKAGI
スタートを待つ参加者のバイクを見ていると、ロードバイクやMTB、クロスバイク、グラベルバイク、ミニベロなど、多種多様なこだわりのバイクたちがずらりと並んでいた。また、長野県が最初に定員乗車したタンデム自転車の公道利用が認められたこともあってか、先頭に乗るパイロットと視覚障害者のペアも多く参加されていた。

朝5時30分になると、定刻通り緑のAACRのスタートが切られた。機材サポートをするマヴィックカーを先頭に、5名ずつ間隔を空けて参加者が続々とスタートしていく。スタートゲートをくぐると厚い雲と北アルプス、そして微かな雲の切れ間から青空が顔を出すという幻想的な景色が広がっていた。

お気をつけて行ってらっしゃい!お気をつけて行ってらっしゃい! photo:Michinari TAKAGI鈴木雷太さんが参加者をお見送り鈴木雷太さんが参加者をお見送り photo:Michinari TAKAGI

グループライドだと協力しながら軽快に走れるグループライドだと協力しながら軽快に走れる photo:Michinari TAKAGI
大宮大明神の前を駆ける大宮大明神の前を駆ける photo:Michinari TAKAGI
第一エイドとなる堀金・穂高地区にあるアルプスあづみの公園までは23kmとそこそこ長め。松本市内の平坦な田んぼ道を参加者が走り抜けていき、安曇野に入ると小刻みにアップダウンを繰り返す。グループで走っていると軽々とクリアできるが、単独参加の筆者には脚を使ってしまうコースレイアウトであった。

最初の穂高エイドでは、色とりどりな「やさいぱん」と「米粉とポロネギのポタージュスープ」がお出迎え。やさいぱんはむらさき芋、トマト、にんじん、カボチャ、ホウレンソウと5種類の中から2つ選べるのだが、参加者の皆さんはどれにするか悩んでいたようだ。

青空が広がってきて、気温も徐々に上昇青空が広がってきて、気温も徐々に上昇 photo:Michinari TAKAGI曲がるところには案内板があり、コースを間違える心配もいらない曲がるところには案内板があり、コースを間違える心配もいらない photo:Michinari TAKAGI
第一エイドのアルプスあづみの公園に到着第一エイドのアルプスあづみの公園に到着 photo:Michinari TAKAGI
色とりどりな「やさいぱん」とスタッフの皆さん色とりどりな「やさいぱん」とスタッフの皆さん photo:Michinari TAKAGIかぼちゃとむらさき芋の「やさいぱん」と「米粉とポロネギのポタージュスープ」かぼちゃとむらさき芋の「やさいぱん」と「米粉とポロネギのポタージュスープ」 photo:Michinari TAKAGI

ご夫婦で長野のグルメを堪能ご夫婦で長野のグルメを堪能 photo:Michinari TAKAGIミズタニ自転車の佐々木さんも楽しそうだミズタニ自転車の佐々木さんも楽しそうだ photo:Michinari TAKAGI

筆者は"カボチャ"と"むらさき芋"をチョイス。玄米エッセンスが配合されたやさいぱんは、色合いからも想像できる優しい味のパンだった。米粉とポロネギのポタージュスープはとても温かく、この時期にしては低い気温で疲れた身も心も温めてくれた。

長野の名物を頂きながら、楽しそうに参加者同士で撮影したり、話していたりしている様子を見て、日ごろハードなトレーニングライドしかしていない筆者は"ロングライドの楽しさ"を再確認させられるのであった。

きついアップダウンが続く区間きついアップダウンが続く区間 photo:Michinari TAKAGI芦間川に架かる芦間橋芦間川に架かる芦間橋 photo:Michinari TAKAGI

日差しが降り注ぎ、一気にサイクリング日和に日差しが降り注ぎ、一気にサイクリング日和に photo:Michinari TAKAGI
筆者も参加者の方とお互い撮り合ってもらいました筆者も参加者の方とお互い撮り合ってもらいました
次なる目的地は20km先にある大町市にあるあづみの公園 大町松川地区に設けられた第二エイド。この区間はきついアップダウンが続く区間であるが、北アルプスを横目に見ながら進んでいく景色を楽しみながら走れる区間である。

しばらく走っていると太陽が顔を出し、青空が広がり始めていた。北アルプスと愛車を一緒にフレームに収めることのできる撮影スポットもあり、多くの参加者が立ち止まって記念撮影タイム。もちろん、筆者も参加者の方にお願いして、お互い撮り合うことに。ありがとうございました!

見晴らしが良い道ですが、長く続く緩斜面で地味に体力が削られます見晴らしが良い道ですが、長く続く緩斜面で地味に体力が削られます photo:Michinari TAKAGI
第二エイドまであと少し第二エイドまであと少し photo:Michinari TAKAGI第二エイドまではあづみの公園の園路を抜けていく第二エイドまではあづみの公園の園路を抜けていく photo:Michinari TAKAGI

第一エイドを過ぎたあたりで、パンクしている参加者を多く見かけるようになった。やはり、雨上がりとあって石が雨に流された結果、刺さりやすい部分が上を向いているためだろう。ロングライドベントでは刻々と変わる気候変化や路面変化に対応できる耐パンク性に優れたタイヤや空気圧調整が必要そうだ。

あづみの公園内に設けられた第二エイドは自然豊かな園路を抜けた先にある。左右には高々と聳え立つ木々、そして雨上がりの路面、そこに太陽が差し込むことで神秘的な景色になっていて、ファインダー越しに感動していたのは言うまでもない。

猫耳を付けた女性スタッフさんがお出迎え猫耳を付けた女性スタッフさんがお出迎え photo:Michinari TAKAGI
大町エイドでは「寒仕込みひやむぎ」と「水ようかん」大町エイドでは「寒仕込みひやむぎ」と「水ようかん」 photo:Michinari TAKAGI
大町エイドでは「寒仕込みひやむぎ」とライド中に嬉しい甘いもの「水ようかん」を持つ、猫耳を付けた綺麗な女性スタッフさんが参加者を待っていた。ここではマッサージブースもあり、多くの参加者が疲れた身体を解し、次のエイドに向けてしっかりとリカバリーをしていた。

第三エイドはスタートから63km地点にある青木湖を目指していく。途中、木崎湖の左岸を走るのだが、ついつい景色が良いため立ち止まってしまうほど。因みに、木崎湖は長野県大町市にある、仁科三湖のうち最も南側に位置する湖である。

完全な晴れになりました!参加者の熱意がそうさせたのかも完全な晴れになりました!参加者の熱意がそうさせたのかも photo:Michinari TAKAGI
木崎湖と桟橋、愛車を入れて、記念写真を一枚木崎湖と桟橋、愛車を入れて、記念写真を一枚 photo:Michinari TAKAGI
木崎湖は映画の「男はつらいよ」シリーズや今年で20周年を迎えるアニメ『おねがい☆ティーチャー』といった様々な作品の舞台になっており、多くの映画・アニメファンが聖地巡礼のため訪れていると木崎子キャンプ場のスタッフさんが教えてくれた。

さらに言えば、筆者はここで10年前の大学生時代に池袋から大町まで自走で訪れ、木崎湖キャンプ場のバンガローに宿泊し、バーベキューや釣りをした思い出の地でもある。個人的なお気に入りは、桟橋から見る景色!

キャンパーの方に撮ってもらいました!ありがとうございます!キャンパーの方に撮ってもらいました!ありがとうございます! photo:Michinari TAKAGI
木崎湖を背景に夫婦で撮影タイム木崎湖を背景に夫婦で撮影タイム photo:Michinari TAKAGI
メカトラブルに駆けつけるマヴィックモトバイクメカトラブルに駆けつけるマヴィックモトバイク photo:Michinari TAKAGI
「AACRで一番の楽しみって何ですか?」と取材に出かける前に編集部の先輩たちに聞いても、スタート前に参加者の皆さんに尋ねても、全員が口を揃えたのが「ねぎみそおにぎり」。そんな絶大な人気を誇るグルメが次のエイドには待っているという。筆者は初めて食べる「ねぎみそおにぎり」への期待に胸を膨らませながら、第三エイドへ向かうのであった。

木崎湖を抜けると、緩やかな登りが続く区間に入り、青木湖の看板が見えてきた。そこで、参加者の前に突如として、前半戦の難関である激坂が出現。青木湖エイドにたどり着くためには激坂をクリアしなければならない。ダンシングで軽々とクリアする方もいれば、バイクから降りて押しながらクリアする方も。

青木湖エイドにたどり着くためには激坂をクリアしなければならない青木湖エイドにたどり着くためには激坂をクリアしなければならない photo:Michinari TAKAGI
子供たちが笑顔でおにぎりセットを手渡してくれた子供たちが笑顔でおにぎりセットを手渡してくれた photo:Michinari TAKAGI
青木湖エイドにたどり着くと子供たちが笑顔でおにぎりセットを手渡してくれた。これが噂の「ねぎみそおにぎり」か、と思いながら、一口。甘辛いねぎ味噌は白ご飯との相性抜群で、美味しすぎる!あまりの美味しさに、おにぎり2つをペロッとたいらげてしまった。添えられているお漬物も、運動時の塩分チャージにぴったり。

緑のAACRのイベントレポートはスタートから第三エイド青木湖まで。次回は長野オリンピックの会場ともなった白馬に向かい、ゴールを目指す後編に続きます!こうご期待!(後編に続きます)

メタボ会長のAACRライド記事を見て、参加するようになった三戸さんメタボ会長のAACRライド記事を見て、参加するようになった三戸さん photo:Michinari TAKAGI
これが噂の「ねぎみそおにぎり」これが噂の「ねぎみそおにぎり」 photo:Michinari TAKAGI

text&photo:Michinari TAKAGI
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