「リラックスすることを心がけ掴んだ成果。地元近くで挙げたジロ初勝利は特別」と、ジロ第11ステージを制したアルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM)は語った。敗れたガビリアや棄権したギルマイについて語るエリトリア人選手クドゥスなどの言葉を紹介します。



ステージ優勝:アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM)

勝利直後のインタビューに答えるアルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM)勝利直後のインタビューに答えるアルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM) photo:RCS Sport
レース直後インタビュー

ジロで勝利できたなんて信じられない。地元近くでの勝利ということも特別な気持ちがするよ。とにかく信じられないしとてもハッピーだ。今朝の作戦ではケース(ボル)で勝負する予定だったものの、ラスト数kmで彼が不調だったので役割を交代したんだ。

最終盤ではリラックスを心がけながら他の選手たちについていった。最終コーナーまでリードアウトしてくれたのはなんと総合3位のロマン(バルデ)だった。彼には本当に感謝しているよ。この事実は、僕たちがチーム一丸となって戦う姿勢を表している。最後はコース中央で囲まれたものの、左に隙間を見つけたので飛び出した。そして右側にいたカビリアを抜くことができた。本当に嬉しい。

表彰式を待つアルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM)表彰式を待つアルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM) photo:RCS Sport
イタリア自転車界について語るダイネーゼ

イタリア人はいつもイタリア人選手の結果に不満を抱いている。つねにイタリア人がトップに居続けることは難しいが、イタリアにはヨーロッパ選手権王者(ソンニ・コルブレッリ)がいて、2年連続で世界選手権個人タイムトライアルのタイトルを(フィリッポ・ガンナ)獲得している。

イタリア自転車界には確実に新しい世代がやってきている。しかし僕たちには時間が必要だ。今年限りで世界トップ選手であるニバリがキャリアを終える。僕たちはもう、誰からも学ぶ必要がなくなったんだ。

ステージ2位:フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)

最終盤でダイネーゼに抜かれたフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)最終盤でダイネーゼに抜かれたフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
2位は求めていた順位じゃないが、この結果を真摯に受け入れなければならない。脚の調子は良かったが、ダイネーゼの方が速かっただけ。追い風だったのでスプリントの開始をいつもより早めたんだ。自分の求めるコンディションにあるので、この後も変わらず勝利を狙いにいく。

ステージ3位:シモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス)

風の強かったため楽なステージとはならなかった。今日の目標はギヨーム(マルタン)を安全な位置で守ること。ラスト1kmでの位置取りは良くスプリントの感触も良かった。勝利には届かなかったが、3位という結果には満足している。自分の調子が良いということだからね。チームと自分自身のために、明日も集中して勝利を狙いたい。

ステージ4位:アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)

フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)に抜かれるアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)に抜かれるアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) photo:CorVos
残り250mで他の選手たちが腰を上げたのを確認し、僕もスプリントを開始した。僕の右側にいた選手たちよりもスピードで上回っていることが分かり、更に加速しようと思った。だがガビリアに抜かれ、スリップストリームから他の2人にもかわされてしまった。少しだけ我慢が足りなかったみたいだ。

マリアローザ:フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)

マリアローザを着用するフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)マリアローザを着用するフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) photo:CorVos
リチャル(カラパス)のようなスプリントはないので、中間スプリントの争いには参加しなかった。マリアローザを守るため協力してくれたチーム全員に感謝したい。だがその中でも特にオット・フェルハードには多大な感謝を伝えたい。彼は1日を通して僕を守り、時にナーバスになる僕に「落ち着くんだ。僕の側にいれば大丈夫」と声をかけてくれた。困難なステージではなかったものの、位置取り争いや風による緊張感は高かった。

ギルマイの前日勝利について語るメルハウィ・クドゥス(エリトリア、EFエデュケーション・イージーポスト)

ギルマイと同じエリトリア出身のメルハウィ・クドゥス(EFエデュケーション・イージーポスト)ギルマイと同じエリトリア出身のメルハウィ・クドゥス(EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos
悲しいニュースだが、あの不運がステージ優勝という歴史的偉業を達成した後でよかった。昨晩彼が病院にいるときに話し、深刻な怪我ではないと言いながらも出場については不透明だった。彼の話しぶりからしたら出走できるような雰囲気を感じていた。

ビニヤムのおかげで、今後エリトリアから多くの才能がやってくることだろう。そしてエリトリア人が大きな勝利を掴む日がやってくる。エリトリア人が自転車界を席巻する日も遠くないだろう。僕は長きに渡りプロの世界で、この日が来るのを待っていたんだ。

ギルマイ棄権について語るヴァレリオ・ピーヴァ監督


大会初日からギルマイはステージ優勝の可能性を見せ続けてくれた。そして昨日の勝利によってチームは幸せに包まれた。表彰式での出来事はまるで冷たいシャワーをかけられたみたいだった。だが病院から戻ったギルマイと一緒に勝利を祝うことができた。

ギルマイはリタイアしてしまったものの、僕たちにはエトナ山で良い走りを見せたレイン・タラマエや、総合上位につけるドメニコ・ポッツォヴィーヴォなどがいる。またヤン・ヒルトの総合順位も悪くない。メンバーが1人減ってしまったが、僕らのレースへの気持ちは変わらない。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos