5月6日にハンガリーのブタペストで開幕を迎える第105回ジロ・デ・イタリア。出場メンバーが続々と発表されているなか、総合優勝争いに関わるイネオスやユンボ、バーレーンなどがラインナップを明らかにした。



残り3kmでアタックしたリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)残り3kmでアタックしたリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) (c)VOLTA/A.S.O.
前年覇者のエガン・ベルナル(コロンビア)に続く、チーム3連覇を狙うイネオス・グレナディアーズ。そのエースは2019年に総合優勝し、昨年の東京五輪で金メダルに輝いたリチャル・カラパス(エクアドル)だ。「イスラエルのテルアビブで開幕した初出場のジロから、この大会には良い思い出しかない。そして優勝した2019年は本当に特別な体験だった」とコメントするカラパスにとって、意外にもこれがイネオス移籍後初のジロとなる。

その脇を固めるのはベテランのジョナタン・カストロビエホ(スペイン)やパヴェル・シヴァコフ(フランス)に加え、「37(歳)なんていうのは数字でしかない。チームにカラパスのように勝てる選手がいるのはモチベーションに繋がる」と語るリッチー・ポート(オーストラリア)。今年限りで引退を発表しているポートにとって、これが現役最後のグランツール出場となる予定だ。

先鋭集団が形成する動きを作ったリッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)先鋭集団が形成する動きを作ったリッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) 悪いタイミングで落車し、復帰するも横風分断の餌食となったサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)悪いタイミングで落車し、復帰するも横風分断の餌食となったサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) photo:CorVos

その対抗馬はサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)だ。直前のブエルタ・アストゥリアス(2.1)で区間2勝を挙げたイェーツは、3月のパリ〜ニース(2.UWT)でもステージ1勝と総合2位とかつてないシーズン序盤を送っている。

「必ずしも最終順位が成功の可否ではない。ベストコンディションで高みを目指し、勝てなかったとしてもそれは僕より優れた選手がいたまで。それでいいと思っている」とイェーツ。近年はタイムトライアル力の向上も著しい一方で、不安要素は山岳で最終局面に残ることができるアシストだけか。

ユンボ・ヴィスマは2017年覇者のトム・デュムラン(オランダ)がリーダーを担う。昨年1月に競技活動を休止し、五輪をキッカケに復帰した〜にとって、グランツールで単独エースを担うのは3年振り。今年のジロは個人タイムトライアルが第2ステージ(9.2km)と第21ステージ(17.4km)と短めであることが懸念されるが、年始のコロンビアと直前のスペイン・テネリフェ島で行った高地合宿と準備は上々だ。

山岳でのアシストは2019年ツールドラブ覇者で昨年のジロで総合9位にランクインしたトビアス・フォス(ノルウェー)やサム・オーメン(オランダ)が務める。イネオスに比べ戦力は手薄と言えるものの、「トムにフォスとオーメンがいれば総合順位も十分に争うことができる。我々には自信があるよ」とメーリン・ゼーマン監督は胸を張る。

総合勢の中で最速タイム(区間3位)を叩き出したトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)総合勢の中で最速タイム(区間3位)を叩き出したトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo: CorVos
スプリントでウッズを下したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)スプリントでウッズを下したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:CorVosミケル・ランダ(スペイン)と新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)ミケル・ランダ(スペイン)と新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) (c)CorVos

昨年大会は新城幸也の活躍もあり、区間1勝に総合2位と躍進したダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)は今年ツール・ド・フランスへ。その代わりを、昨年は落車で途中棄権と辛酸を嘗めたミケル・ランダ(スペイン)を中心に、ペリョ・ビルバオ(スペイン)とワウト・プールス(オランダ)が担う。「調子は良く、僕にはスーパーチームがいる」と自信を覗かせるランダは、今年のティレーノ~アドリアティコで総合3位に入るなど好調さで、2015年大会以来の表彰台を狙う。

今季限りでの現役引退を明言しているアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)も自身2回目のジロ出場を果たす。前回出場したのは総合3位で表彰台に上がった2016年。今年ストラーデ・ビアンケとラ・フレーシュ・ワロンヌで2位と衰えを知らない42歳は、ジロでは総合でなく区間優勝狙いだと思われる。そしてモビスターの総合リーダーを担うのは、今年イネオスから加入したイバン・ソーサ(コロンビア)だ。
イネオス・グレナディアーズ
リチャル・カラパス(エクアドル)
ジョナタン・カストロビエホ(スペイン)
ベン・トゥレット(イギリス)
ジョナタン・ナルバエス(エクアドル)
リッチー・ポート(オーストラリア)
サルヴァトーレ・プッチョ(イタリア)
パヴェル・シヴァコフ(フランス)
ベン・スウィフト(イギリス)
バイクエクスチェンジ・ジェイコ
サイモン・イェーツ(イギリス)
ローソン・クラドック(アメリカ)
ルーカス・ハミルトン(オーストラリア)
マイケル・ヘップバーン(オーストラリア)
ダミアン・ホーゾン(オーストラリア)
クリストファー・ユールイェンセン(デンマーク)
カラム・スコットソン(オーストラリア)
マッテオ・ソブレロ(イタリア)
バーレーン・ヴィクトリアス
ペリョ・ビルバオ(スペイン)
フィル・バウハウス(ドイツ)
サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア)
ミケル・ランダ(スペイン)
ドメン・ノヴァク(スロベニア)
ワウト・プールス(オランダ)
ヤシャ・ズッタリン(ドイツ)
ヤン・トラトニク(スロベニア)
ユンボ・ヴィスマ
トム・デュムラン(オランダ)
エドアルド・アッフィニ(イタリア)
クーン・ボウマン(オランダ)
パスカル・エーンコーン(オランダ)
トビアス・フォス(ノルウェー)
ハイス・リームライゼ(オランダ)
サム・オーメン(オランダ)
ヨス・ファンエムデン(オランダ)
モビスター
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)
ホルヘ・アルカス(スペイン)
ウィリアム・バルタ(アメリカ)
オイエル・ラスカノ(スペイン)
アントニオ・ペドレロ(スペイン)
ホセ・ロハス(スペイン)
セルヒオ・サミティエル(スペイン)
イバン・ソーサ(コロンビア)
text:Sotaro.Arakawa