GOKISOの近藤会長がチューブレスタイヤのパンク修理に困るユーザーのために最高の修理キットを開発。専用シーラントとともに、最軽量かつ簡単・完璧なリペアを目指した究極のツール「TUBELESSCUE(チューブレスキュー)」をリリースした。実際に使用してのインプレションとあわせて紹介する。



フジチカTUBELESSCUE(チューブレスキュー)キット シーラントの小瓶もセットだフジチカTUBELESSCUE(チューブレスキュー)キット シーラントの小瓶もセットだ photo:Makoto AYANO
「チューブレスタイヤのパンク修理からサイクリストを解放したい!」フジチカ近藤所長のそんな思いから開発された、タイヤを外さずにチューブレスタイヤのパンク修理が出来る究極のチューブレスタイヤ専用パンク修理キット「TUBELESSCUE(チューブレスキュー)」と、究極のシーラント「MAKUHAL(マクハル)」の一般発売がスタートする。

MAKUHAL(マクハル)シーラントMAKUHAL(マクハル)シーラント (c)フジチカ「フジチカ」の近藤信夫社長は、GOKISO(ゴキソ)の会長でもある。航空機ジェットエンジン用軸受の生産を手掛けるなど、超精密工作機械メーカーであるノウハウと加工技術を活かし、GOKISOの超高精度のハブやホイールを企画し、世に送り出してきた人物だ。今回リリースされるTUBELESSCUEは、近藤氏のモノ造りへの探究心が結晶したパンク修理ツール。そのため会社を分け、近藤氏自身の会社であるフジチカからリリースされる。

近藤氏がチューブレスタイヤとチューブレスホイールの研究を進めるうちに、突き当たったのが一般ユーザーにとっての修理の難しさ。チューブレスのもつパンクの自己修復能力はトラブルの少なさにつながるが、いざシーラントで塞がらない、シーラントが内部で乾いてしまっているケースなどでパンクをしたときには、タイヤを外しての修理が難しいというデメリットが際立ってしまう。

「タイヤを外さずに、誰でも修理できるように」と考案されたのがTUBELESSCUEであり、MAKUHALシーラントだ。

TUBELESSCUEにゴムパッチをセットした状態TUBELESSCUEにゴムパッチをセットした状態 ゴムパッチを打ち込む分割式のツール先端は超高精度で削り出されているゴムパッチを打ち込む分割式のツール先端は超高精度で削り出されている


ゴムパッチを挟み込んだ矢をツール本体にセットするゴムパッチを挟み込んだ矢をツール本体にセットする パンク穴を整えるニードルパンク穴を整えるニードル


TUBELESSCUEは、専用のゴムパッチを外からパンク穴に打ち込む修理ツール。ゴムパッチをスムーズに打ち込むためにパンク穴の状態を綺麗に整えるニードルを備え、専用のシーラントを接着剤のように使用することで、ゴムパッチの傘の大きさまでの穴を確実に塞ぐことができる。ツールには使用方法のYOUTUBE動画に飛べるQRコードもプリントされており、取り扱い方法を確認しながらの作業ができるようにも配慮されている。

インプレッション

昨春に近藤会長から製品一式を受け取り、意見を求められるテスターとして約1年間試用してきた。廃タイヤを用いての穴あけ・修理テストではパンク穴が必ず塞がり、何度でも完全に修理することができた。工具の精度が高く造りが良いため、硬いロードタイヤでも負けないので、使用感は非常にいい。

といってもライド中のチューブレスタイヤのパンク自体が滅多にないことであるため、実際の「予期せぬパンク」で路上で修理を試せたのは1回のみ。

ニードルでパンク穴を整え、ゴムパッチがスムーズに打ち込めるようにするニードルでパンク穴を整え、ゴムパッチがスムーズに打ち込めるようにする photo:Makoto AYANO
パンクしたら、まず穴を確認し、時間を経てもシーラントの流失(噴出)が止まらない場合はTUBELESSCUEの出番となる。パンク穴に対して、その穴にさらにニードルを刺すことは抵抗感があるものだが、慣れてみればその作業が穴を整える重要な役割をしていることがわかる。

ツール裏側に使用方法動画へリンクするQRコードがプリントされるツール裏側に使用方法動画へリンクするQRコードがプリントされる ゴムパッチの裏側にMAKUHALシーラントを少量塗布するゴムパッチの裏側にMAKUHALシーラントを少量塗布する photo:Makoto AYANO


ニードルで穴の状態を整えたら、ツール先端にゴムパッチをセットして、その傘の裏にMAKUHALシーラントを滴らす。このシーラントがタイヤ内部のシーラントを補助し、接着剤の働きをしてくれるのだ。ゴムパッチを打ち込んで、そのまま引き上げれば穴は内側から塞がる。タイヤに空気を入れればゴムパッチは密着し、修理は完全なものとなる。ゴムパッチとMAKUHALシーラントはほぼ同じラテックス素材でできており、接着後は被膜と一体化するように穴を塞ぐ。

TUBELESSCUEにセットしたゴムパッチを打ち込むTUBELESSCUEにセットしたゴムパッチを打ち込む photo:Makoto AYANO

穴から出たゴムパッチの柄の部分は付属のミニカッターで切り落とす。大きく裂けるサイドカット等以外のパンクなら、ほとんどのパンク穴を確実に直すことができる。動画で指示される作業手順通りにすれば、驚くほど簡単・確実にパンク修理が完了する。修復後のタイヤの性能低下も無く、再修理せずそのまま使い続けることができるだろう。

タイヤ内部からゴムパッチが塞いだ状態タイヤ内部からゴムパッチが塞いだ状態 photo:Makoto AYANO
ゴムパッチを打ち込むニードルの精度や硬度にこだわって造られているため、他の似たツールに比べて修理中にタイヤに負けることがない(他のツールではトレッドの硬さに工具が負けることが多い)。

MAKUHALシーラントはコンドームと同程度の天然ラテックスだというMAKUHALシーラントはコンドームと同程度の天然ラテックスだという また、キモとなるのがMAKUHALシーラントだ。専用品として併用することが前提だが、「膜を張る」が製品名の由来となっているとおり、通常のシーラントと違い、タイヤ内部で薄い膜となってエア漏れを防ぐ特殊なシーラントだ。原料はほとんどコンドームの素材と同様のラテックスだそうだ。

MAKUHALはチューブレスレディタイヤに対してごく少量での使用が可能で、軽量化につながり、タイヤ内部で被膜となるためホイールバランスを崩しにくいメリットももつ。しかし少量は液状で留まってパンク自己修復力を保つが、ゴムパッチ裏側に少量を滴らせるのはそのため。

修理テストを経たタイヤ。普通の穴なら確実に修理が可能だ(数字は穴の直径)修理テストを経たタイヤ。普通の穴なら確実に修理が可能だ(数字は穴の直径) photo:Makoto AYANO
シーラント使用量が少ないためホイール全体の軽量化につながり、エア漏れも少ない。ヒルクライムやタイムトライアルなど含めたレース用途としても魅力的な製品と言えそうだ。

TUBELESSCUE基本キットの値段は19,800円(税込)と驚くほど高価だが、ライド中のパンクを確実に直したい人、あるいはレースでチューブレスタイヤを軽く使いたい人、ホイールバランスを重視する人などにメリットのある製品だ。使ううちに、GOKISO製品に通じる高精度だからこそ修理時の扱いが簡単・確実であることにも納得できる。

なお両製品ともに東商会が取り扱いを開始したことで、一般サイクルショップを通じての注文も可能になった。希望すればロゴデータを刻印することもできるとのことで、一生モノの価値さえある。

(インプレッション:綾野真/シクロワイアード編集部)

フジチカTUBELESSCUE(チューブレスキュー)キット 携帯ポーチとシーラントの小瓶もセットだフジチカTUBELESSCUE(チューブレスキュー)キット 携帯ポーチとシーラントの小瓶もセットだ photo:Makoto AYANO
フジチカ TUBELESSCUE
TUBELESSCUE+ゴムパッチ:19,800円(税込み)
TUBELESSCUE+ゴムパッチ10個入り:1,650円(税込み)
製品情報:https://www.fujichika.ltd/introduction/tubelesscue

TUBELESSCUEの使用方法(動画)
https://www.youtube.com/watch?v=nsSC_NpKB2Q
https://www.youtube.com/watch?v=CGdBEVY-gpA

フジチカ MAKUHAL
MAKUHAL(137ml):1,650円(税込み)
MAKUHAL携帯用(20ml):495円(税込み)
MAKUHAL(520ml)業務用:3,630円(税込み)

MAKUHALの使用方法(動画)
https://www.fujichika.ltd/use/movie
https://www.youtube.com/watch?v=Z1p60j4Ijkw

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