「多くのロシア人と同じように平和を願っています」と、アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)がロシアによるウクライナ侵攻への立場を明確にした。またオレグ・ティンコフ氏も「罪なき人々が命を落としている」とロシア政府を批判している。



シヴァコフに続き、心境を綴ったアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)シヴァコフに続き、心境を綴ったアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
ロシア国籍を有しながらロシア政府を強く非難したパヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアーズ)に続き、アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)がSNSに自らの意見を投稿した。「多くのロシア人と同じように、ただ純粋に平和を求めています。この戦争は、私のような普通の人々が望んだものではありません。世界中に衝撃を与え続けているこの戦争の、一刻も早い停止を望んでいます」。

更にロシア西端部のヴィボルグで生まれ育ったウラソフは、「苦しんでいる人々に思いを寄せながら、早急に平和が訪れることを願っています。アスリートである私の目標は、分断ではなく政治的な境界を越えた人々の団結です。それがスポーツの役割であるべきだと思っています」と複雑な心境を綴った。


また、かつてUCIワールドチームを所有したロシアの資産家オレグ・ティンコフ氏もインスタグラムで「ウクライナでは日々、罪なき人々が命を落としている。これは考えられないことかつ、受け入れがたい現実だ。ロシア政府は戦争にお金を使うのではなく、癌などの治療や研究に資金を投じるべきだ。我々は戦争に反対している」と政府を強く批判した。

2016年にチームが解散して以来自転車界から離れているティンコフ氏は、2年前に白血病に罹患。その体験から「ティンコフ基金では、血病で苦しむ人々の命を救ってきた。設備を整え、看護師を育成し、造血幹細胞移植センターに対して支援してきた。この2年間で2度に渡り生死を彷徨った自らの経験から、命の儚さを実感したんだ」と、軍事行為への反対理由を述べた。

ロシアの軍事侵攻による影響は自転車界にも波及しており、UCI(国際自転車競技連合)は3月1日にロシアとベラルーシ籍チームによるUCIレースへの参加資格を剥奪。すると翌2日に、KNWU(オランダ自転車競技連盟)は国内レースにおけるロシア及びベラルーシ国籍選手の出場を禁止した。ワールドツアーでは4月10日に開催のアムステルゴールドレースや、オランダとベルギーに跨って行われるベネルクス・ツアー(8月29日〜9月4日)がこれに該当する。

更にイギリスの自転車競技連盟にあたるブリティッシュサイクリングも、UCIに対して「両国籍選手における全UCIレースからの除外措置」を求めるなど、今後もこの影響は広がっていきそうだ。

text:Sotaro.Arakawa