逃げる3名を残り100mで捉え、ファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル)が石畳クラシック第2戦を制覇。チームは合計9度目の同レース優勝となった。



復調が待たれるペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)復調が待たれるペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー) photo:CorVosヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)と前日2位のソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)と前日2位のソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

25チーム169名がクールネの街を出発25チーム169名がクールネの街を出発 photo:CorVos
オンループの翌日は定番のクールネ。プロトンはコルトレイク近くのクールネへと移動し、ベルギーに春の訪れを告げる2連戦の2日目、クールネ〜ブリュッセル〜クールネ(UCI1.1)に再集結した。

オンループとクールネはどちらも4月に控えるロンド・ファン・フラーンデレンと同じ地域で開催される前哨戦だが、フランス語圏のワロン地方を経由するクールネは、後半50kmが平坦コースということもあり「スプリンタークラシック」と称される。ピュアスプリンターの割合を少々増やした25チーム169名が、クールネの街から13ヶ所の急坂が含まれる195.1kmコースへと動き出した。

横風吹き付ける中を逃げるルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)たち横風吹き付ける中を逃げるルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)たち photo:CorVos
無数の急坂と石畳をこなしていく無数の急坂と石畳をこなしていく photo:CorVos
この日はスタートから時間を要さずに逃げグループが生まれ、前日のオンループで落車したルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)やタコ・ファンデルホールン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)、ルイス・マス(スペイン、モビスター)といったメンバーが加わった。

新しく組み込まれたワロン地域の登坂区間を過ぎ、残り80kmを切ってフランドル地域に入ると集団もじわじわとギアを上げていく。9番目の石畳登坂「モンサンローラン」では前日惨敗したクイックステップ・アルファヴィニルがペースを上げ、通過後にはヨナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)がアタックするなど徐々に活性化していった。

昨年3位のピドコックやコルブレッリが前方に集まって登坂をこなす昨年3位のピドコックやコルブレッリが前方に集まって登坂をこなす photo:CorVos
「コート・ド・トリユ」で仕掛けるティシュ・べノート(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)「コート・ド・トリユ」で仕掛けるティシュ・べノート(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
18名の逃げグループを牽引するシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)18名の逃げグループを牽引するシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) photo:CorVos
ロンド・ファン・フラーンデレンの勝負所としても知られる「クラウスベルグ」と「ホトンド」の連続登坂での動きは決定的なものにはならなかった。サブエース級選手が動く中、下りを経た12番目の登坂「コート・ド・トリユ」で当初からの逃げグループを捕まえるとすぐにユンボ・ヴィスマ新加入のティシュ・べノート(ベルギー)が飛び出した。

べノートは独走にこそ持ち込めなかったものの、トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)、カスパー・アスグリーン(デンマーク、クイックステップ・アルファヴィニル)、マッテーオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)などエース級選手がたっぷりと入った18名の逃げグループの呼び水となる。最後の登坂区間「クルイスベルグ」をクリアして長い平坦区間に入り、先頭18名とイスラエルが先導するメイン集団との差は30〜40秒前後で推移した。

残り18km、先頭グループからアタックを仕掛けるクリストフ・ラポルト(フランス、ユンボ・ヴィスマ)残り18km、先頭グループからアタックを仕掛けるクリストフ・ラポルト(フランス、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
15秒差で逃げるクリストフ・ラポルト(フランス、ユンボ・ヴィスマ)やタコ・ファンデルホールン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)、ヨナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)15秒差で逃げるクリストフ・ラポルト(フランス、ユンボ・ヴィスマ)やタコ・ファンデルホールン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)、ヨナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
2グループによる追走劇を有利に進めたのはメイン集団だった。ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)も動員して残り20kmを切って視界に捉えたが、協調体制を失った先頭グループからはナルバエスとファンデルホールン、そしてユンボ新加入のクリストフ・ラポルト(フランス)が再加速して抜け出すこととなる。

残り18km地点で抜け出した先頭3名は、残り15kmでタイム差10秒、残り10kmで12秒とペースを維持。ラポルトはこの時の状況を「僕たちは逃げ切れると信じていたけれど、メイン集団がすぐ後ろにいることも知っていた。僕たちは全力で勝ちを狙っていた」と振り返る。メイン集団ではユンボ・ヴィスマがローテーションを撹乱したことも手伝って、2グループのスピードは最後まで拮抗した。

ラポルト(左)を飲み込み、ファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル)	とカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)がハンドルを投げるラポルト(左)を飲み込み、ファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル) とカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)がハンドルを投げる photo:CorVos
ロングスプリントで勝利したファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル)ロングスプリントで勝利したファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVos
しかし残り1kmを切って、先頭3名の間に若干の牽制が生まれ、スピードを落としてしまう。メイン集団はスプリント体勢に入りつつ猛然とスピードを上げ、残り100mで同じくスプリントに入る3名をようやくキャッチ。残り300mからスパートし、その3名を一瞬風よけに使い、カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)を寄せ付けずファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル)が勝利した。

これぞクラシックレースと呼べる緊迫した勝負の末、クイックステップ・アルファヴィニルが惨敗した昨日の借りを返す勝利。チームとしてのクールネ制覇は2006年から数えて9回目だ。

クワレモントビールで乾杯するトップスリークワレモントビールで乾杯するトップスリー photo:CorVos
「レース全体が激しく、特にラスト1時間は猛烈な勢いだった。でも自分のスプリントに自信があり、残り300mで仕掛けて彼らのスリップストリームに飛び込んだんだ。このレースは全てのスプリンターにとっての目標の一つだけにとても嬉しく思っている」とヤコブセン。「僕の気持ちはウクライナの全ての人たちとともにある。彼らのために祈り、この困難を乗り越えられることを願っている」と加えている。
クールネ~ブリュッセル~クールネ2022結果
1位 ファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル) 4:32:13
2位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)
3位 ユーゴ・オステテール(フランス、アルケア・サムシック)
4位 ダニエル・マクレー(イギリス、アルケア・サムシック)
5位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)
6位 ドリス・ファンゲステル(ベルギー、トタルエネルジー)
7位 アモリ・カピオ(ベルギー、アルケア・サムシック)
8位 クリストフ・ラポルト(フランス、ユンボ・ヴィスマ)
9位 マッテーオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)
10位 タコ・ファンデルホールン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)