5年過ごしたチームを離れ、フランスのトタルエネルジーに移籍したペテル・サガン(スロバキア)。チームが合宿中のサガンのインタビュー動画を公開し、コロナ感染と怪我に見舞われた昨年や心機一転迎える今シーズン、そしてトタルを選んだ理由について答えた。



エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)たちとチームジャージを披露したペテル・サガン(スロバキア)エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)たちとチームジャージを披露したペテル・サガン(スロバキア) (c)Team TotalEnergies
「様々なチームと交渉する中でトタルが唯一”君が必要だ”と言ってくれたんだ。それに僕が連れてくる仲間(選手やスタッフ)も快く受け入れてくれた。何より一緒に来てくれたスペシャライズドとスポートフルには感謝している」。移籍先をワールドチームではなくプロチームのトタルエネルジーに選んだ理由をサガンは語る。

「僕が5、6年前にボーラでしたことをトタルは歓迎してくれた。たしかに一歩後退したと言えるかもしれないが、時として人生に挑戦は必要だ。それにトレーニング合宿に来てみてこのチームに何も不満がないことがわかった。長い歴史に裏打ちされたチームの成熟を感じるよ」。

だが、イタリアチームのリクイガス・ドイモでプロデビューし、ここまで英語主体のチームを渡り歩いてきたサガンには「この移籍最大のチャレンジだ」と語る不安要素があるという。

「ずっとイタリア語と英語で事足りる生活をしてきたが、フランス語は越えなきゃならない壁と思っている。でも学ぶことに前向きだし、このチームではフランス語を使う相手も多い。何よりモナコの学校に通っている息子のマロンが少しずつフランス語を覚えてくるんだ。彼の言葉がわからないのも嫌なのでフランス語は是非とも学びたいね」。

区間1勝とマリア・チクラミーノを獲得した2021年ジロ・デ・イタリア区間1勝とマリア・チクラミーノを獲得した2021年ジロ・デ・イタリア photo:CorVos
昨年はシーズン4勝に加え、ジロ・デ・イタリアで念願のマリア・チクラミーノ(ポイント賞ジャージ)を獲得したサガンだが、一時期と比べる成績の大人しさは否めない。近年の勝利数についてチームから率直に聞かれると「勝利の数はステージを獲りに行くのか、あるいはチクラミーノやグリーンジャージを狙いに行くのかで変わるものだ」とコメント。「特に昨年は2月にコロナに感染し、復帰後にカタルーニャでいくつか勝利を挙げたもののまだまだ回復途上だった。クラシックも本調子ではなかったが、ジロでは調子を取り戻しステージ優勝とチクラミーノを獲得した」と昨年を振り返る。

「その後はツールに向けて休養したものの、第3ステージに落車し膝に怪我を負ってしまった。第11ステージまで走り続けたが、膝が感染症にかかってしまいリタイアせざるを得なかった。コロナ感染とツールでの怪我。残念だがどうすることもできなかった。これらを言い訳にしたくないが、シーズンは人生のように山もあれば谷もあるんだ」。

比較的中堅〜ベテランが多く所属する2022年のトタルエネルジー比較的中堅〜ベテランが多く所属する2022年のトタルエネルジー (c)Team TotalEnergies
ダニエル・オス(イタリア)やマチェイ・ボドナル(ポーランド)、兄ユライといったサガン・ファミリーと呼ばれるメンバーも加わったトタルエネルジー。昨年獲得したエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)やピエール・ラトゥール(フランス)に、チームの中心であるニキ・テルプストラ(オランダ)などワールドチームに劣らぬ戦力が整った。

今シーズンを共に戦う仲間と、目指すべき目標についてサガンは「チームには春のクラシックにピッタリな才能ある若手と経験豊かなベテランがいる。ミラノ〜サンレモからパリ〜ルーベまでの期間は重要かつ、良いコンディションが求められる」と回答。「もちろんフランス籍のチームとしてツール・ド・フランスは大事だし、僕自身としても世界最大のレースとしての価値は高い。その後はオーストラリアで開催される世界選手権を目指すよ。どうやらコースが僕に向いているようだからね。目標がいっぱいだよ」とインタビューを締めくくった。



text:Sotaro.Arakawa