「スピードを上げると難しく豹変するコース」で繰り広げられたシーソーゲーム。一度は先行された織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)を冷静に追い、そして抜き去った小坂光(宇都宮ブリッツェン)が自身2度目のシクロクロス全日本チャンピオンに輝いた。



スタート前に談笑する沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)と織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)スタート前に談笑する沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)と織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Makoto AYANOスタートを待つエリート男子の81選手スタートを待つエリート男子の81選手 photo:Makoto AYANO

J:COMフィールド土浦の陸上トラックをスタートする男子エリートJ:COMフィールド土浦の陸上トラックをスタートする男子エリート photo:Makoto AYANO
最高気温が10度を超える好天の中、茨城県土浦市で開催されたシクロクロス全日本選手権最終種目の男子エリートレース。平坦基調ながら芝の公園の起伏やキャンバーを取り入れたコースは概ねドライながら、キャンバー区間のライン上など、一部に滑りやすい泥を残すコンディションで日本一を決める高速バトルが繰り広げられた。

号砲と共に81名が飛び出し、ディフェンディングチャンピオンの沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)がホールショットを決める。沢田と共に優勝候補に挙げられていた織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、過去チャンピオンに輝いた竹之内悠(ToyoFrame)と小坂光(宇都宮ブリッツェン)という4名が後続を置き去りにし、先頭グループを組み上げた。

小坂光(宇都宮ブリッツェン)、沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)、竹之内悠(ToyoFrame)、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)の4人パック小坂光(宇都宮ブリッツェン)、沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)、竹之内悠(ToyoFrame)、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)の4人パック photo:Makoto AYANO
急勾配のキャンバーを乗車でクリアする竹之内悠(ToyoFrame)急勾配のキャンバーを乗車でクリアする竹之内悠(ToyoFrame) photo:Makoto AYANOチェーンを外れによって遅れた沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が追走チェーンを外れによって遅れた沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が追走 photo:Makoto AYANO


織田や沢田らが刻むハイペースによって、2.7kmというロングコースながら周回数は10周回に決定。すると4名のトップグループのうち、2連シケインのバニーホップで沢田がチェーンを落としてしまう。すぐさま復帰し追走を試みた沢田だったが、ワンミスが命取りになる高速コースで背負った差はあまりにも大きかった。

沢田を引き離した先頭グループ内の、それぞれの走りは対照的だった。荒々しく踏む織田、冷静に駒を進める小坂、そしてスムーズかつしなやかに走る竹之内。ここ数年、脚の故障を抱えて以降調子の波に苦しんでいた竹之内だが、この日は中盤まで織田のペースに対応し、遅れてからもイーブンペースを守る仕上がりぶりを披露した。

織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が3人パックをリードする織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が3人パックをリードする photo:Makoto AYANO
ペースの落ちた織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)を小坂光(宇都宮ブリッツェン)が捉えるペースの落ちた織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)を小坂光(宇都宮ブリッツェン)が捉える photo:Makoto AYANO
3番手を走る竹之内悠(ToyoFrame)3番手を走る竹之内悠(ToyoFrame) photo:Makoto AYANO加藤健悟(臼杵レーシング)が引くセカンドパック加藤健悟(臼杵レーシング)が引くセカンドパック photo:Makoto AYANO


大きな動きが生まれたのは、やはりトップグループの中で織田だけがバニーホップで越えるシケイン区間だった。スピード差を得て、そのまま次の緩い登りをがむしゃらに踏んだ織田は、数秒のリードで独走体制に持ち込むことに成功する。勝負の最前線に沢田不在の中、得意の勝ちパターンに持ち込んだかと思われた。

しかしその後方では「悠からのプレッシャーもありましたし、一気に追いつくよりも、余力を持ちながら差を詰めていこうと思った」と言う2番手小坂が虎視眈々と追走した。

5秒前後のリードを得て逃げる織田だったが、後半戦に移るにつれその勢いに陰りが出た。「一人旅が始まったときから異変は感じていたんですが、脚が攣ってしまったんです。全然踏めていないなと感じていて、光さんとのタイム差も縮まっていた」と振り返る。その異変に感づいていた小坂が追いつき、勝負は終盤戦で振り出しに戻った。

先頭を走る小坂光(宇都宮ブリッツェン)先頭を走る小坂光(宇都宮ブリッツェン) photo:Makoto AYANO
男子エリートを制し2度めの日本チャンピオンとなった小坂光(宇都宮ブリッツェン)男子エリートを制し2度めの日本チャンピオンとなった小坂光(宇都宮ブリッツェン) photo:Makoto AYANO
接戦に会場のボルテージが湧き上がる中、「泥セクションは僕の方が速く、そこをきっかけに攻めようと思った」と言う小坂が攻勢に出た。先行してシケインに入って織田の優位を潰し、続くピット横の直線区間でアタック。先行して泥区間に入るつもりだったと振り返る小坂だったが、「疲れていたのか、水分不足だったのか、原因は分かりません」と言う織田は足を攣らせ、反応できずに失速。ここで全日本チャンピオンジャージの行方が決まった。

織田の先行を許しながら、冷静なレース運びで逆転した小坂が一人でホームストレートにやってくる。宇都宮から駆けつけたファンの赤いチームフラッグが翻る中、力強く右手の拳を突き上げた。

倒れ込んだ織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)に握手を求める小坂光(宇都宮ブリッツェン)倒れ込んだ織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)に握手を求める小坂光(宇都宮ブリッツェン) photo:Makoto AYANO
小坂光(宇都宮ブリッツェン)を祝福する沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)小坂光(宇都宮ブリッツェン)を祝福する沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling) photo:Makoto AYANO破れた織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)がうずくまる破れた織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)がうずくまる photo:Makoto AYANO

小坂光(宇都宮ブリッツェン)の勝利を喜ぶ父・正則小坂光(宇都宮ブリッツェン)の勝利を喜ぶ父・正則 photo:Makoto AYANO
「勝っちゃいました」と、自身も、そして周囲も驚く今季初勝利でのチャンピオン獲得。「正直言って、時と聖に勝てるイメージが全然ありませんでした。今日は自分のベストを尽くすだけだと思ったのですが、すごく冷静に走れた」と小坂は振り返る。

「先々週の能登のレースまでどんどん疲れが溜まっていて、全く自信がなかったんです。先週ようやくレースが無く、リセットできたのか、最後の追い込んだ練習では良い数字が出ていたんです。調子はかなり良かった」と加える。

「最後に(織田が)スプリント勝負を狙っているのかな、とも思いましたが、純粋にキツかったみたいですね。ピット前で踏んだ時にすぐに離れたので、これはいけると思いました」と勝負の瞬間を話す。フィニッシュ後は地面に倒れた織田と握手をし、その後27位で完走した父・正則(スワコレーシングチーム)と抱き合った。

「時と聖はめちゃくちゃ速いですが、僕や(竹之内)悠が速い場所も少なくない。何が起こるか分からないし、それを掴むために僕らは(選手活動を)やっている。そこをしっかり収めたのは自信になりました」と、自身2枚目のチャンピオンジャージに袖を通した小坂は話している。

男子エリート表彰 優勝小坂光(宇都宮ブリッツェン)、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、3位竹之内悠(ToyoFrame)男子エリート表彰 優勝小坂光(宇都宮ブリッツェン)、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、3位竹之内悠(ToyoFrame) photo:Makoto AYANO
2度めの日本チャンピオンジャージを着た小坂光(宇都宮ブリッツェン)2度めの日本チャンピオンジャージを着た小坂光(宇都宮ブリッツェン) photo:Makoto AYANO
表彰式で悔しさをにじませた織田が2位に入り、「海外を経験しているメンバーが前でレースしていたことは意味がありますね。(自分のコンディションは)嬉しいけど(結果は)悔しい。でも光が勝ったのは嬉しい」とライバルを讃える竹之内が2019年大会に続く表彰台に。

2年前から不調に悩まされる竹之内。「右脚の筋膜に腫瘍ができ、9月はまったく自転車に乗れませんでしたが、今これだけ乗れているなら、また以前のような調子を取り戻してヨーロッパに行って走りたい」と、欧州への再チャレンジに希望を見出している。

また、加藤健悟(臼杵レーシング)は全日本選手権で自身最高位となる5位。畑中勇介(KINAN Cycling team)や高木三千成(AX Cyclocross Team)など、スピード自慢の選手たちがトップ10入りを果たしている。
シクロクロス全日本選手権2021 男子エリート
1位小坂光(宇都宮ブリッツェン)1:00:57
2位織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)1:01:15
3位竹之内悠(ToyoFrame)1:1:17
4位沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)1:02:24
5位加藤健悟(臼杵レーシング)1:02:33
6位斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)1:02:45
7位丸山厚(BOMA/ROND CX)1:03:32
8位島田真琴(ペダル)1:03:43
9位畑中勇介(KINAN Cycling team)1:03:44
10位高木三千成(AX Cyclocross Team)1:03:49
text:So Isobe
photo:Makoto AYANO
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