ロード全日本選手権のオープニングレースとなった個人タイムトライアルの男子U23レースで松田祥位(EQADS)が勝利。留目夕陽(中央大学)との接戦を制し、2017年のジュニアに続く自身2度目のTT全日本王者に輝いた。



U23で優勝した松田祥位(EQADS)U23で優勝した松田祥位(EQADS) photo:Makoto AYANO
2019年大会から2年と4ヶ月。ようやくロードの日本チャンピオンを決める全日本選手権が戻ってきた。広島空港に隣接する中央森林公園を舞台にした2021年大会のオープニングレースとなったのは金曜日開催の個人タイムトライアルで、以降土曜日と日曜日にロードレースを消化していく。

数々のチャンピオンを生み出してきたコースを「逆回り」するレイアウトで争われた個人タイムトライアルのトップバッターは男子U23(2ラップ=24.0km)。8時スタートの兒島直樹(TEAM BRIDGSTONE Cycling)を先頭に、合計20名がU23タイムトライアルチャンピオンの座を賭け「時間との戦い」に挑んだ。

10名の第1ウェーブのうち、まず指標となるタイムを打ち立てたのは今季好調の香山飛龍(弱虫ペダルサイクリングチーム)だった。香山は34分18秒980で暫定トップタイムを刻んだものの、強豪選手が揃う第2ウェーブ勢がこのタイムを次々と上書きしていくこととなる。

U23 2位の留目夕陽(中央大学)U23 2位の留目夕陽(中央大学) photo:Makoto AYANO
2周目の後半区間で盛り返した松田祥位(EQADS)2周目の後半区間で盛り返した松田祥位(EQADS) photo:Makoto AYANO
第2ウェーブの先頭で走った松田祥位(EQADS)が目覚ましいタイムを叩き出しながら好走したが、その4番手後方で出走した留目夕陽(中央大学)が松田と拮抗。2周目の中間計測終了時点、つまり全体の3/4を消化したタイミングで留目が3秒リードという僅差で終盤戦へと入ったものの、「後半タレないように序盤は抑えめで、後半も前半と同じように走ろうと思っていた」と言う松田がここから盛り返した。

松田のフィニッシュタイムは33分39秒570。「やっぱり松田さんはTTにも慣れていますから、その差が出たのかと思いますね」と振り返る留目は20秒遅れの33分59秒570。宮崎泰史(Sparkle Oita Racing Team)も2人のタイムには敵わず、松田がU23個人タイムトライアルチャンピオンに輝いた。

U23 3位の宮崎泰史(Sparkle Oita Racing Team)U23 3位の宮崎泰史(Sparkle Oita Racing Team) photo:Makoto AYANO
U23 4位の平井光介(EQADS)U23 4位の平井光介(EQADS) photo:Makoto AYANO第1ヒートでトップタイムの香山飛龍(弱虫ペダル サイクリングチーム)は5位第1ヒートでトップタイムの香山飛龍(弱虫ペダル サイクリングチーム)は5位 photo:Makoto AYANO


2017年のジュニアTTチャンピオンに続く2度目の戴冠となった松田だが、コロナ禍で思うように走れず苦しい時期を過ごしてきたと言う。「一昨年フランスから帰国した後に自転車競技を続けるか迷って、今年も半年以上自転車に乗っていなかったんです。でもアンダー最後ですし、今日に合わせてきました。それでも想像以上に走れましたね」と松田。

「1周目終了時点で留目君が3秒早いと聞いていたのですが、彼も速いですし、慌てることもなかった。テクニックが必要で脚の差が出にくいコースだったことも良かったと思います。心境は不安でしたが、脚は軽く回っていました」と松田は振り返る。9月のJBCF南魚沼で復活し、先日のかすみがうらタイムトライアル優勝で波に乗った新チャンピオンが安堵した表情を見せた。
全日本選手権タイムトライアル2021男子U23結果
1位 松田祥位(EQADS) 33分39秒57
2位 留目夕陽(中央大学) +20秒00
3位 宮崎泰史(Sparkle Oita Racing Team) +29秒98
4位 平井光介(EQADS) +37秒68
5位 香山飛龍(弱虫ペダルサイクリングチーム) +39秒41
6位 兒島直樹(TEAM BRIDGSTONE Cycling) +45秒86
7位 山田拓海(早稲田大学) +1分09秒51
8位 山本哲央(TEAM BRIDGSTONE Cycling) +1分11秒91
9位 河野翔輝(TEAM BRIDGSTONE Cycling) +1分31秒07
10位 湯浅博貴(Antiga Casa Bellsola-GIRONA) +2分15秒40
text:So Isobe
photo:Makoto AYANO