ジロ・デ・シチリア最終日にヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)の鋭いアタックが決まった。持ち味のダウンヒルでリードを広げた”メッシーナの鮫”が故郷で2年ぶりの勝利を挙げると共に逆転総合優勝を達成した。



エトナ火山へと向かうプロトンエトナ火山へと向かうプロトン photo:Il Giro di Sicilia
クリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)率いる逃げクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)率いる逃げ photo:Il Giro di Sicilia
シチリア島を駆け巡るジロ・デ・シチリア(UCI2.1)もいよいよエトナ火山が登場する最終日。ステージ中盤に登坂距離24kmに及ぶ超級山岳を超え、フィニッシュ手前17km地点でエトナの麓を駆け上がる9.7kmの超級山岳頂上を越える。大きな破壊力を誇るこのステージで、これまで静観を保っていた地元のスター、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)が牙を剥いた。

クリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)率いる逃げに対し、メイン集団をコントロールしたのはもちろん総合首位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)擁するモビスター。残り27km地点で一度フィニッシュラインを通過した際、タイム差は20秒強まで縮まっていた。

8名のみとなった集団から22kmを残してニバリが鋭くアタック8名のみとなった集団から22kmを残してニバリが鋭くアタック photo:Il Giro di Sicilia
単独でエトナ火山を登るヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)単独でエトナ火山を登るヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:Il Giro di Sicilia
フルームたちは引き戻され、最後の超級山岳に入るとバルベルデやアレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)、ロマン・バルデ(フランス、チームDSM)を含む8名のみとなった集団から22kmを残してニバリが鋭くアタック。ハイペースを貫くニバリは、牽制状態に陥るバルベルデたちとの差を一気に40秒まで広げた。

「今日のルートは知っていたけれど、最後の登坂は知り尽くしていると言えるほどではなかった。厳しいということ、そして距離を残してのアタックが理想的ということ、そしてその下りは完璧に頭に入っていた」と言うニバリは、持ち前のダウンヒルスキルを披露してタイム差を更に拡大。スタート時点でのバルベルデとの総合タイム差13秒を軽々上回る、49秒リードを維持したままファンが待つフィニッシュラインにやってきた。

49秒のリードを維持したままファンが待つフィニッシュラインにやってきたヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)49秒のリードを維持したままファンが待つフィニッシュラインにやってきたヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:Il Giro di Sicilia
狙い澄ましたアタックを成功させたニバリが、生まれ故郷メッシーナから目と鼻の先の場所で行われたホームレースで逆転総合優勝。トレック・セガフレード移籍後初待望の勝利であり、シチリア島でのプロレース初勝利。フィニッシュ後頭を抱えたニバリは、溢れ出す感情を抑えることができなかった。

「たくさんの意味を持つ勝利だ」と言うニバリ。最後の勝利は2019年のツール・ド・フランス第20ステージだった。「僕のことを知る人たちにとって、こんなに感極まった僕を見るのは久しぶりと言うだろう。そして、それは正しいんだ。僕が育った故郷で、僕の仲間や生涯の友人の前で勝つことができた。本当に今日の勝利は特別だ」。

地元のファンたちがニバリの勝利を祝福する地元のファンたちがニバリの勝利を祝福する photo:Il Giro di Sicilia総合優勝を果たしたヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)総合優勝を果たしたヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:Il Giro di Sicilia
「この2年間常に勝利を目指してきたけれど、パンデミックや骨折、そして様々な身体のトラブルが僕ができると思っていたことの邪魔をした。今は本当に嬉しいよ。勝利することなくトレック・セガフレードを去るという不安が日に日に大きくなっていったけれど、今やっと喜ぶことができる。でもさよならを言う前に大きなレースがやってくる。より大きなモチベーションで臨めるはずだけど、(今回の勝利で)頭の中の不安要素は確実に少なくなった」と、ミラノ〜トリノを経てイル・ロンバルディアを目指す”メッシーナの鮫”は話している。
ジロ・デ・シチリア2021第4ステージ結果
1位 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) 4:24:29
2位 シモーネ・ラヴァネッリ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) 0:49
3位 アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
4位 ロマン・バルデ(フランス、チームDSM)
5位 ヨナタン・レストレポ(コロンビア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) 18:09:50
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 0:46
3位 アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ) 0:49
4位 ヨナタン・レストレポ(コロンビア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) 0:55
5位 ロマン・バルデ(フランス、チームDSM) 0:58
text:So Isobe

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