ツール・ド・フランスでステージ3勝に加え、ペリョ・ビルバオ(スペイン)を総合9位につけたバーレーン・ヴィクトリアスの機材を紹介。ツール後に発表された新型SCULTURAや、TTバイクのTIME WARP TTにフォーカスを当てる。



新型のSCULTURA V エアロオールラウンダーへと進化した一台だ新型のSCULTURA V エアロオールラウンダーへと進化した一台だ photo:Makoto.AYANO
第7ステージと第19ステージを制したマテイ・モホリッチ(スロベニア)と第8ステージで勝利したディラン・トゥーンス(ベルギー)による3度の逃げ切り勝利を挙げたバーレーン・ヴィクトリアス。総合でもビルバオがシングルリザルトを残すことに成功した。

大成功を収めた中東チームの機材の中で目を引いたのが当時未発表のSCULTURA Vの姿が見られたこと。9月に正式に発表されたSCULTURA Vは、軽量モデルでありながらREACTO譲りのエアロシェイプとケーブルフル内装システムを取り入れ、山岳/平坦ステージを問わず活躍するオールラウンダーへと進化している。

SCULTURA Vは専用のコックピットを使用SCULTURA Vは専用のコックピットを使用 photo:Makoto.AYANOチューブレスタイヤを使用する選手もチューブレスタイヤを使用する選手も photo:Makoto.AYANO


ホイールはヴィジョンのMETRONシリーズ TLもTUも使用するホイールはヴィジョンのMETRONシリーズ TLもTUも使用する photo:Makoto.AYANOしっかりとコードをまとめる細かな造作が光るしっかりとコードをまとめる細かな造作が光る photo:Makoto.AYANO


アルプス初日で逃げ切りを決めたトゥーンスの走りを支えたのもSCULTURAだ。クライマーであるワウト・プールス(オランダ)ももちろんSCULTURAを愛用し、第15ステージから第19ステージまで、山岳賞で首位に立ち続けた。

一方、エアロロードであるREACTOも活躍の場を失ったわけではない。2度の独走勝利を決めたモホリッチや、スプリンターのソンニ・コルブレッリ(イタリア)などは依然REACTOを愛用し、それぞれの脚質にあったバイクでツールを戦う姿が見られた。

エアロロードのREACTOも使用するエアロロードのREACTOも使用する photo:Makoto.AYANO
スロベニアとイタリアチャンピオンカラーのREACTスロベニアとイタリアチャンピオンカラーのREACT photo:Makoto.AYANO市販モデルのフォークにはアルミ製の冷却フィンが装着されているが、チームはあえて取り去っているようだ市販モデルのフォークにはアルミ製の冷却フィンが装着されているが、チームはあえて取り去っているようだ photo:Makoto.AYANO


コンポーネント類はシマノ DURA-ACEで、パワーメーターやペダルもDURA-ACEを使用している。またFSAと結び付きが強く、ハンドル、ステム、シートポスト、ホイールは基本的にFSAもしくはヴィジョン。コックピット周りはREACTOにはMETRON 6Dといったステム一体型ハンドルを使用し、SCULTURA Vには純正のMERIDA TEAM SL ワンピースコクピットを組み合わせる。

タイムトライアルバイク"TIME WARP TT"のベースバーにはメリダとヴィジョンのダブルネームのMETRON TTを採用していることが特徴。ヴィジョンのラインアップに存在するMETRON TFAを、TIME WARP TT用にアレンジしたものと思われる。ディスクホイールはヴィジョンのMETRON DISCをほぼ全ての選手が使用していたが、スペアバイクの中にはフラットなプロファイルのプロトタイプか社外品と思わしきホイールを装着しているものも。

タイムトライアルバイクタイムトライアルバイク"TIME WARP TT" photo:Makoto.AYANO
METRON DISCがメインのディスクホイールとして使用されるMETRON DISCがメインのディスクホイールとして使用される photo:Makoto.AYANOスペアバイクの中には明らかに現行のMETRON DISCとは異なるホイールも見られたスペアバイクの中には明らかに現行のMETRON DISCとは異なるホイールも見られた photo:Makoto.AYANO


タイヤはコンチネンタルで、チューブラーのCOMPETITION PRO LTDを中心としつつ、中にはGP5000TLRを使用する選手も。TTバイクは転がりを重視してか、チューブレスを使用する率が高かったようだ。ボトルケージなどはエリート、サドルはプロロゴとなっている。

text:Naoki Yasuoka
photo:Makoto AYANO