最大勾配24%の壁が勝負を分けたブエルタ・ア・エスパーニャ11ステージ。マイヨロホを引き寄せたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)やステージ2位のマス、僅かに届かなかったコルトなどのコメントを紹介します。



ステージ1位&総合3位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)

マスを振り切ってフィニッシュするプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)マスを振り切ってフィニッシュするプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:Unipublic
タフなステージとなった。距離は短く、だがとても暑かった。今日も彼(マグナス・コルト)とはギリギリの争いになったね。前のステージでは彼が1位で僕が2位、だが今回は僕が勝利を手に入れた。最後の登りでは苦しんだものの、幸運にも勝利するだけの力が残っていた。エンリク(マス)はとても強く、今回は僕の方が少しだけ力が勝っていただけだ。

ステージを勝つのはいつも気持ちがいい。今日のフィニッシュは僕に向いている急勾配の登りで、勝負を楽しみながら走ることができた。チームは今日も素晴らしく、逃げ集団を視界に捉えられるスピードで集団をコントロールしてくれた。彼らには感謝を伝えたい。

表彰式でお馴染みのテレマークを披露するプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)表彰式でお馴染みのテレマークを披露するプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
注意するべきライバルを1人だけ挙げるなんてできないが、調子の良いエンリクが最も気をつけるべき選手だろう。ただ、彼のチームメイトであるロペスやイネオスの選手たちもまだ上位につけているし、その他にもたくさんの選手が危険な存在であると言える。

昨日は落車したものの、ステージ自体は悪くなかったし、前向きな感情を得ることができた。これから一日一日と総合順位を上げていき、勝負を決めるステージはこれからだ。まだ先は長く、勝利を手に入れられるよう頑張りたい。

ステージ2位&総合4位 エンリク・マス(スペイン、モビスター)

激坂区間で先頭に立ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)とエンリク・マス(スペイン、モビスター)激坂区間で先頭に立ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)とエンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:Unipublic
この結果にはとても満足している。汚い表現を先に謝っておくが、最後の100mが目の前にやってきた瞬間「なんてクソみたいな壁なんだ」と絶望した。「今日は僕が勝つ日ではない」と思ったんだ。今日のためにここで2015年(正しくは2011年)に勝利したホアキン・ロドリゲスの映像で予習していた。しかしまさかこんな壁だとは思わなかった。

ログリッチとの接触は事故みたいなものだ。彼は後ろからくる僕が見えず、彼との接触かブレーキを選ぶかの2択で、僕がブレーキを握るのを躊躇したんだ。フィニッシュ後、彼は僕に謝罪してくれたよ。だから僕たちの関係に何のわだかまりもない。

(今僕は)これまでで最高のコンディションと言えるかもしれない。ログリッチはポガチャルと他の数名の選手と並ぶ、現在のプロトンを代表する選手だ。今年のブエルタで彼と互角に渡り合うことができて本当に嬉しいよ。ただ、チームも良い働きをしてくれているが、アレハンドロ(バルベルデ)とヨハン(ヤコブス)を失った影響は大きい。

ステージ3位&総合5位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター)

大会序盤の困難なステージを安全に乗り越えることが目標で、僕たちはここまでそれを見事にこなしている。今日の短く急勾配のフィニッシュは、僕たちよりもログリッチに向いているレイアウトだった。だがそれでも勝利に迫ることができた。素晴らしい働きを見せてくれたチームに感謝したい。ログリッチにこのレースが長すぎる(最後に力尽きる)かどうかは分からないし、僕たちが先に力尽きてしまう可能性もある。だから常に集中を切らすことなく、毎ステージを大切に走っていきたい。

ステージ6位 ロマン・バルデ(フランス、チームDSM)

逃げを逃すもの健闘したロマン・バルデ(フランス、チームDSM)逃げを逃すもの健闘したロマン・バルデ(フランス、チームDSM) photo:CorVos
逃げに乗ることができなかったので、プロトンにいるクライマーや総合上位陣を相手にステージ優勝を争うことに切り替えた。チームは最後から2つ目の登りまで素晴らしい仕事をしてくれ、おかげで良い位置で最後の登りに入ることができた。そして最後は全力で挑み、6位という結果を掴むことができた。

ステージ7位&総合10位 フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)

感覚的には悪くないステージだった。レース中盤で落車してしまったものの、酷い怪我はなく擦過傷が数カ所できただけだった。最後はストレスが高く、最終コーナーで自信を失ったが、7位という結果には満足している。ベストを尽くしたが他の選手たちが強かったまでだ。明日は落ち着いたレースになることを願っているし、待ち受けているタフなステージに向けて身体を休められる日になるといいな。

ステージ9位&総合7位&ヤングライダー賞 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)

最後の数メートルがとても厳しかったが、自分の走りは悪くなかった。TVで観戦するにはさぞかし楽しいステージだっただろうね。レース先頭についていくことが何よりも大事だったが、これほどの急勾配な登りでは自分に残っている力を管理することも重要だった。

大会初日から分かっていることだが、いまはベストな状態ではなく、そのレベルにいなければ勝つことは難しい。だが目標はその時々のベストを出すことで、あまり結果を気にすることなく全力を尽くしていきたい。

ステージ10位&マイヨロホ オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)

ステージ10位に入り、総合首位を守ったオドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)ステージ10位に入り、総合首位を守ったオドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) photo:Unipublic
今日は純粋な喜びと苦しみとがごちゃまぜになった。疲れ果てているが、このマイヨロホを明日も着ることができて嬉しいよ。今日は追い風に加え、ステージ優勝を狙うチームたちによる戦いが繰り広げられ予想以上にハードなステージとなった。できるだけタイムを失わないように走った結果、10位でフィニッシュすることができた。また最大のライバルであるギヨーム・マルタンに先着することができた。今日はプリモシュ・ログリッチをマークすると同時にマルタンの動きも追っていたんだ。この後も一日一日を集中して走り、チームとともに明日もこのジャージを守りたい。

ステージ11位&総合2位 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)

アンダルシアのオリーブの木々の間を走る気分は最高だったが、皮肉にもフィニッシュに辿り着いた僕たちの表情は酷いものだった。ステージ11位とともに総合2位という順位は嬉しい結果だ。

マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO)

残り150mまで逃げ続けたマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO)残り150mまで逃げ続けたマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO) photo:Unipublic
自分にできる最大限の走りをした。タイム差がそれほどないなかで、チャンスを掴みに行った結果だ。全力で勝利を目指せただけで十分満足だよ。

新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)

トップから11分遅れでフィニッシュにやってきた新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)トップから11分遅れでフィニッシュにやってきた新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
今日もスタートから予定通りにアタック合戦が激しく行われた。チームは今日は参加せずに、もしも43km地点の道が細くなる区間までに逃げが出来ていなければ、そこからは逃げを試みようとしていた矢先に逃げは決まった。

その43km地点というのが自分が落車したところで、前の選手が落車して貰い事故になってしまった。完全に油断してたが幸いかすり傷程度で済んだ。今日は集団は逃げを追いかけて、全然ペースを緩めず山岳2級の麓まで位置取りをして、グルペットでゴールした。

ジャック(ヘイグ)はステージ4位になり、良いパフォーマンスを続けているので、サポートのやりがいがある! 明日(12ステージ)も逃げ切りが有力かな!?今日は大丈夫だったけど、落車の影響で調子が狂わないことを願うよ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos