2010年6月18日、ツール・ド・スイス(UCIプロツアー)第7ステージが行なわれ、逃げグループからラスト58km地点で飛び出したマークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)が、後続を振り切って独走勝利。ステージ2勝目を飾るとともにポイント賞トップに立った。

沿道で南アフリカの国旗が振られる沿道で南アフリカの国旗が振られる photo:www.tds.chスイス東部のサヴォニンからヴェッツィコーンまでの204kmで行なわれた第7ステージ。2級山岳と3級山岳が合計3つ設定されたアップダウンコースが特徴だが、スプリンターにもチャンスがあるほどの難易度だ。スプリンターたちのチャンスを奪おうと、レースは序盤からアタックが繰り返された。

1時間以上に渡って続いたアタック合戦が落ち着きを見せたのが62km地点。総合で8分24秒遅れのフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)やルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)を含む16名が飛び出すと、メイン集団はようやくスピードを弱めた。

メイン集団は前日にリーダージャージを獲得したロバート・ヘーシンク(オランダ)擁するラボバンクがコントロールし、タイム差を5分に抑え込んでレース後半へ。

ラスト58km地点から独走したマークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)ラスト58km地点から独走したマークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム) photo:Cor Vosブルグハートを追うフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、オメガファーマ・ロット)やオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)ブルグハートを追うフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、オメガファーマ・ロット)やオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク) photo:Cor Vosメイン集団をコントロールするラボバンクメイン集団をコントロールするラボバンク photo:Cor Vos


逃げグループにはマッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)やオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)、フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、オメガファーマ・ロット)、マーク・レンショー(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)と言った世界トップクラスのスプリンターが含まれていたため、レース後半に入ると、スプリント勝負に持ち込みたくない選手がアタックを開始する。

ドイツ国旗片手に、チーム名をアピールしてゴールするマークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)ドイツ国旗片手に、チーム名をアピールしてゴールするマークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム) photo:Cor Vos口火を切ったのはアレクサンダー・クチンスキー(ベラルーシ、リクイガス)で、一旦吸収されると今度はラスト58km地点でブルグハートがアタック。力強い走りで後続を一気に1分引き離したブルグハートは、そのハイペースを維持したままゴールに向かった。

ラボバンク以外のチームは集団牽引に興味を示さず、逃げグループが容認された状態。追走グループからはLLサンチェスが追撃の動きを見せたが、先頭のブルグハートには届かない。

追走グループはオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)先頭にゴール追走グループはオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)先頭にゴール photo:Cor Vos有利にレースを運んだのはBMCレーシングチームで、追走グループに入っていたマティアス・フランク(スイス)は、ブルグハートが逃げていることで、力を使うこと無く走行。積極的に山岳ポイントとスプリントポイントを加算し、山岳賞とスプリント賞でトップに立った。

ゴールまで10kmを残して、追走グループからブルグハートまでタイム差1分。最後までペースを崩さずに走り切ったブルグハートは、沿道からドイツ国旗を受け取る余裕を見せ、独走でゴール。第5ステージに続く逃げ切り勝利を飾った。

リーダージャージを危なげなく守ったロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)リーダージャージを危なげなく守ったロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) photo:Cor Vosステージ2勝目を飾ったブルグハートは「50km以上を一人で走り続けるのは容易いことじゃない。でもモチヴェーションは高くて、仮に後続に掴まったとしても、マティアス(フランク)が代わりにステージ優勝を狙ってくれると信じて走り続けた。これは僕だけじゃなくてチームにとって価値ある勝利だよ」と、勝ちレースを振り返る。

レース後、ブルグハートは1分遅れでゴールにやってきたフランクと抱き合った。スイスメーカーがスポンサーにつくBMCレーシングチームはここまで大成功。この日、ステージ優勝とポイント賞ジャージ(ブルグハート)、山岳賞ジャージ(フランク)、スプリント賞ジャージ(フランク)を手中に収めた。

BMCレーシングチームはチームリーダーのスティーブ・モラビート(スイス)が総合3位をキープしており、最後の個人TTで逆転することが出来れば、4賞ジャージを独占する可能性も。逆にヴァカンソレイユは山岳賞ジャージとポイント賞ジャージを失っている。

選手コメントは各チーム公式サイトより。


ツール・ド・スイス2010第7ステージ結果
1位 マークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)4h52'02"
2位 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)+1'01"
3位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
4位 マヌエル・クインツィアート(イタリア、リクイガス)
5位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)+1'08"
6位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)
7位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)+3'24"
8位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)+3'28"
9位 ミカル・ゴラス(ポーランド、ヴァカンソレイユ)
10位 ユルゲン・ファンデワール(ベルギー、クイックステップ)

個人総合成績
1位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)30h15'59"
2位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、ケースデパーニュ)+29"
3位 スティーブ・モラビート(スイス、BMCレーシングチーム)+36"
4位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+38"
5位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)+42"
6位 マッテーオ・カラーラ(イタリア、ヴァカンソレイユ)+54"
7位 ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)+55"
8位 オリバー・ザウグ(スイス、リクイガス)+1'01"
9位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、サクソバンク)+1'17"
10位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)+1'38"

スプリント賞
マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)

山岳賞
マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)

ポイント賞
マークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)

チーム総合成績
サクソバンク

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos