「ゴリラ」の愛称で知られるアンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)が今シーズン限りでの引退を発表した。ツール・ド・フランス第21ステージの前日に動画を公開し、「携わってくれたすべての人に感謝したい」と伝えた。



今年限りでの引退を発表したアンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)今年限りでの引退を発表したアンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション) photo:A.S.O.
39歳の誕生日を迎えた翌日、そして出場していたツール最終ステージ前日の7月17日に、チームが公開した動画で今年限りの現役引退を発表したグライペル。「このツール・ド・フランスが最後となり、2021年を最後に現役から退くことを決めた。チームメイトやスタッフと一緒にここまで成し遂げた結果に満足している。チームのサポートや仲間、そして家族の存在なしでは達成できなかった」。

2006年にTモバイルでプロデビューしたグライペルは、2008年のツアー・ダウンアンダーで6ステージ中4ステージで勝利、同年に初出場となったジロ・デ・イタリアで区間1勝を挙げ、トップスプリンターの仲間入りを果たす。その後、エーススプリンターの座を争っていたマーク・カヴェンディッシュ(現ドゥクーニンク・クイックステップ)と決別する形で2011年にオメガファーマ・ロット(現ロット・スーダル)に移籍し8シーズンを過ごした。

ツール・ド・フランスで区間11勝、ジロ・デ・イタリアで7勝、ブエルタ・ア・エスパーニャで4勝と、グランツール通算22勝と高い勝率を誇り、2013、14年にドイツナショナル選手権ロードで2連覇、2016年にも再び優勝するなどマルセル・キッテル(2019年引退)とともにドイツのスプリンター界を牽引した。

2012年ツールで区間3勝したアンドレ・グライペル(ドイツ、当時ロット・ベリソル)2012年ツールで区間3勝したアンドレ・グライペル(ドイツ、当時ロット・ベリソル) photo:A.S.O.8シーズンと長きに渡りチームのエーススプリンターを務めたアンドレ・グライペル(ドイツ、当時ロット・ソウダル)8シーズンと長きに渡りチームのエーススプリンターを務めたアンドレ・グライペル(ドイツ、当時ロット・ソウダル) photo:CorVos
ツール最終日のパリで2015、16年と2年勝利を挙げたアンドレ・グライペル(ドイツ、当時ロット・ソウダル) ツール最終日のパリで2015、16年と2年勝利を挙げたアンドレ・グライペル(ドイツ、当時ロット・ソウダル) photo:Makoto.AYANO
リードアウト役ではなく、あくまでもエーススプリンターへのごだわりから2019年にロット・スーダルを離れたグライペルはアルケア・サムシックに加入。2020年にはイスラエル・スタートアップネイションに活躍の場を求め、2022年末までの3年契約を結んでいた。

「引退後の未来が楽しみだ。何をしても自由だし、何より家族と一緒の時間を過ごすことができる。また、プロトンのみんなの幸運を祈っている。だからと言って自転車業界から離れるつもりはないけれど。キャリアの中でサポートしてくれた家族やトレーナーなど、携わってくれたすべての人に感謝を伝えたい。ありがとう。そしてまた会おう」とグライペルは締めくくった。

2021年シーズンはトロフェオ・アルクディア・ポート・ダルクディアで2年振りの勝利を挙げ、ブエルタ・ア・アンダルシア第4ステージで今季2勝目を挙げている。なお、グライペルの今後のスケジュールや引退レースについては明らかになっていない。

text:Sotaro.Arakawa

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