序盤から激しいアタック合戦が展開したツール第14ステージ。残り42kmから1人飛び出し勝利したバウケ・モレマ(トレック・セガフレード)や、山岳賞ジャージを獲得したウッズ、総合2位にジャンプアップしたマルタンなどのコメントを紹介します。



ステージ1位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)

バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が2級山岳サンルイ峠をトップ通過するバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が2級山岳サンルイ峠をトップ通過する photo:Makoto AYANO
再びツールでステージ優勝することができてスーパーハッピーだよ。今日は80、90kmまで逃げができない厳しいステージで、チームとして序盤からどんな動きも逃さない素晴らしい走りができた。逃げには強い選手が多く、先頭交代をしてくれない選手もいたが、全体的にとても良い協調体制が取れた。

調子が良かったから残り40、50kmから仕掛けたんだ。最後は辛かったが、1人でフィニッシュにたどり着くことができて良かったよ。長い距離を1人で走る自信もあったし、(追走集団との)差が1分半ほど開いたので、勝つチャンスがあると思った。勾配の厳しい最後の登りも、後ろとのタイム差を失わないようフルガスで踏んだ。そして頂上でまだ50秒差あると聞き、勝利を確信したんだ。

ツールでステージ2勝目を挙げたバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)ツールでステージ2勝目を挙げたバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) photo:ASO Charly Lopez
先週からチームは積極的に動き、総合争いもしていないのでこういう日に逃げに乗りたかった。序盤に動いてくれたチームメイトに感謝したいし、チームの一員としてもこの勝利が嬉しい。ジロ・デ・イタリアでは後半に疲れてしまい勝利を狙えなかったが、十分に回復することができ、このツールでは好調を維持していた。その結果勝利を掴むことができて本当に嬉しいよ。

ステージ2位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)

先頭グループを形成するパトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)ら先頭グループを形成するパトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)ら photo:Luca Bettini
逃げ集団が形成されるまでがとても長く、厳しい戦いだった。集団にいた8割の選手が逃げを狙っていたんじゃないかな。UAEがメイン集団の牽引を始め、カテゴリー山岳の登りを利用して逃げ集団に入ることができた。集団には総合首位と9分差のギヨーム・マルタンがいたので先頭交代はしなかった。モレマが仕掛けた時、僕は集団後方にいたのだが、他の選手たちが追わなかったのが不思議でしょうがなかった。僕も一度追走を試みたのだが、リズムが掴めなかった。コーナーが多かったのでモレマの姿が見えず、それを利用した彼は賢かったね。それにこの登りも彼に合っていたのだろう。本当に強かった。

ステージ4位&総合10位 マティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)

2級山岳サンルイ峠でのマティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)らのバトル2級山岳サンルイ峠でのマティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)らのバトル photo:Makoto AYANO
ステージ優勝を目指しベストを尽くしたのだが、脚がなかった。序盤から激しい展開だったが、アタック合戦は好きなので逃げたいという気持ちはブレなかった。最終山岳では力の配分に気をつけ、自分のテンポを意識していた。それが上手くいき、総合で10位に入ることができた。しかしまだ道のりは長いので、一日一日を集中して走りたい。

ステージ5位&マイヨアポワ(山岳賞) マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)

マイヨアポワを獲得したマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)マイヨアポワを獲得したマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) photo:Luca Bettini
手持ちのカードを上手く使おうと意識していた。プールスとの山岳賞ポイント争いにそこまで力を使いたくなかったが、彼は強い選手なので仕方がない。このジャージを手に入れることができて嬉しいが、落車は余計だったね。とても落ち込んでいる。でも、明日はよく知っているアンドラをこのマイヨアポワを着て走れるので嬉しいよ。

子どもの頃、自転車のことなど何も知らなかった。だけどツールだけは観ていて、このマイヨアポワが一番クールであることは知っていた。それを獲得できたなんて夢のようだ。良く眠って回復に務め、明日を目一杯楽しみたい。

ステージ10位 エステバン・チャベス(コロンビア、バイクエクスチェンジ)

2級山岳サンルイ峠を登るエステバン・チャベス(コロンビア、バイクエクスチェンジ)2級山岳サンルイ峠を登るエステバン・チャベス(コロンビア、バイクエクスチェンジ) photo:Makoto AYANO
モレマが残り45kmから飛び出した時は、向かい風もあったので早すぎると思った。だがこれがレースだ。強い選手で先頭交代をしながら追走したのだが、タイム差を広げられてしまった。彼は良い走りをしたよ。今年のツールは毎ステージがクレイジーなほど強度が高く、僕にとって今大会初めて逃げに乗った。レース先頭で走るのは気持ちがいいね。明日のステージは最初の70kmが平坦で、このツールでは平坦で苦しんでいるので心配だ。だけどチャンスがあればまた登りで仕掛けたい。

ステージ11位&総合2位 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)

2級山岳サンルイ峠でマッティア・カッタネオのグループを追うギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)ら2級山岳サンルイ峠でマッティア・カッタネオのグループを追うギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)ら photo:Makoto AYANO
正直、たくさん力を使わなければならないステージだった。空っぽだよ。暑く、ジャージには結晶化した汗が浮かんでいる。とにかく回復に励み、明日はタイムを失うだろうが最小限に抑えたい。何が狙えるかを考えるのはその後だ。

モンセギュール峠(89km地点)でのアタックは、明確な目標があってのものだった。アップダウンを繰り返すコースが逃げに適していると分かっていた。絶好調というわけではなかったので勝利に目が眩むことはなく、フィニッシュまで少しでも早くたどり着くことを考えていた。

ツールで僕は常に保守的な走りをするのだが、今年は本来のスタイルである積極的な走りをしたい。今日はそれが上手く行ったが、明日その代償を払いたくはないね。

マイヨジョーヌ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

2級山岳モンセギュール峠を下るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)2級山岳モンセギュール峠を下るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:Makoto AYANO
(ギヨーム・マルタンのことを)心配してはいなかったものの、たしかにタイム差を与え過ぎてしまった。だが、彼はとても強い選手ということを考えても4分4秒は十分なアドバンテージだと思う。それに、これで他のチームが彼に対し攻撃しなければならなくなった。そのため次のステージからは仕掛ける選手が見られそうだね。

個人的に良いステージで、チームがレースを上手くコントロールしてくれた。ヴェガールステイク(ラエンゲン)が序盤でパンクしてしまった以外は、集団で誰も苦しむことなく無事にレースを終えることができた。特に昨日落車したラファウ・マイカは素晴らしかった。

明日のコースはチェック済みだ。標高差のあるとても厳しいステージだが、明日に向けて士気は高いし自信もある。マイヨジョーヌを守るのが目標だが、もちろんチャンスがあれば仕掛けたい。

総合4位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)

今日は暑く、序盤は激しかったが、無事にレースを終えることができて嬉しいよ。明日はツールで最も厳しいステージとなるだろう。調子が良ければいいが、ベストを尽くすまでだ。自分のコンディションには満足しているし、自信もついた。調子も良く、今後この暑さがレースを変えるだろう。是非ともこの暑さを味方にしたいね。

総合5位 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)

リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) photo:Makoto AYANO
今日は僕らにとって良いステージになった。序盤からアタックの応酬で、逃げができるまで時間のかかるタフな展開だった。とても激しいツールで、毎日の速度がとても速い。そこがいままで経験した他のグランツールとの違いかな。でもこれが現代のレースだし、嫌いではない。強い者が勝つという積極的なレースは、カテゴリーの低いエクアドルのレースで経験済みだからね。

明日は標高と暑さが鍵になるだろう。でも僕は標高には慣れているので問題ない。また、気温もいままでのレースで経験しているし、慣れるために似たような環境でのトレーニングも積んできた。だから身体の心配は何もないよ。

text:Sotaro.Arakawa

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