ピレネー山脈に突入した第108回ツール・ド・フランス。第14ステージは壮絶なアタック合戦の末に先行した14名が逃げ切り、バウケ・モレマ(トレック・セガフレード)が独走勝利を飾るとともにギヨーム・マルタン(コフィディス)が総合2位までジャンプアップに成功した。



ステージ前半にかけてひまわり畑の間を走るステージ前半にかけてひまわり畑の間を走る photo:Luca Bettini
7月10日(土)第14ステージ
カルカッソンヌ〜キヤン
距離:183.7km
獲得標高差:2,800m
天候:晴れ
気温:30度

7月10日(土)第14ステージ カルカッソンヌ〜キヤン 183.7km7月10日(土)第14ステージ カルカッソンヌ〜キヤン 183.7km image:A.S.O.7月10日(土)第14ステージ カルカッソンヌ〜キヤン 183.7km7月10日(土)第14ステージ カルカッソンヌ〜キヤン 183.7km image:A.S.O.

いよいよピレネー山岳決戦の初日を迎えたツール・ド・フランス。翌日からの標高のある峠への足慣らしとばかりに、第14ステージには標高1,000m前後のカテゴリー2級〜3級の山岳が5つ組み込まれた。獲得標高差は2,800mで、2級山岳モンセギュール峠(全長4.2km・平均8.7%)、2級山岳ラ・クロワデモール峠(全長6.8km・平均5.7%)、3級山岳ガリナグ峠(全長2.2km・平均9%)、そしてツール初登場の2級山岳サンルイ峠(全長4.7km・平均7.4%・最大12%)を越え、山間のキヤンの街まで下りきってフィニッシュを迎える。スプリンターには厳しく、マイヨジョーヌ争いが活発化するほど厳しくはない中級山岳ステージを待ち焦がれていた逃げ屋が激しいアタック合戦を繰り広げることになった。

カテゴリー山岳とスプリントポイント
50.9km地点 3級山岳バック峠(全長3.1km・平均5.3%)
76.7km地点 スプリントポイント
89km地点 2級山岳モンセギュール峠(全長4.2km・平均8.7%)
110.3km地点 2級山岳ラ・クロワデモール峠(全長6.8km・平均5.7%)
126.3km地点 3級山岳ガリナグ峠(全長2.2km・平均9%)
166.8km地点 ボーナス/2級山岳サンルイ峠(全長4.7km・平均7.4%・最大12%)

知り合いの激励を受けるギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)知り合いの激励を受けるギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) photo:Kei Tsuji


2時間にわたるアタック合戦の末に14名が先行

開幕から続いた悪天候&落車の影響、そして開催迫る東京五輪の影響により184名から149名まで人数を減らしたプロトンがカルカッソンヌをスタート。葡萄畑とひまわり畑が広がる丘陵地帯でのアタック合戦は、実に100km以上にわたって続くことになる。

ステージ序盤にアタックするジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)らステージ序盤にアタックするジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)ら photo:Kei Tsuji
トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)らが逃げグループを形成したが、メイン集団に吸収されるトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)らが逃げグループを形成したが、メイン集団に吸収される photo:Kei Tsuji
先頭グループを形成するパトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)ら先頭グループを形成するパトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)ら photo:Luca Bettini
一旦はトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)を含む5名が1分差をつけることに成功したが、これを許さないバーレーン・ヴィクトリアス勢の追撃により吸収。登り基調にもかかわらず最初の1時間を平均スピードは48.3km/h。スプリントポイント(76.7km地点)で逃げが捕まると、続いてヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)やヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ・プレミアテック)が動くもこれも決まらない。

やがてちょうどステージ中盤の2級山岳モンセギュール峠で飛び出したワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)とマティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)にマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)らが追いつき、徐々に先頭では逃げグループが形成され始める。山岳賞3位のウッズの動きにマイヨアポワのナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)は反応しなかった。

マイヨアポワ獲得に闘志を見せたプールスとウッズに引っ張られる形で2級山岳モンセギュール峠をクリアした先頭グループには、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)やセルヒオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO)、パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)、エステバン・チャベス(コロンビア、バイクエクスチェンジ)が合流。ここに総合9位/9分29秒遅れのギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)も滑り込むことに成功する。長時間追走していたピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ・KTM)やヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ)らも追いつき、フィニッシュまで59km地点を残して先頭では14名の逃げグループが完成した。

2級山岳ラ・クロワデモール峠をプールスに続いて2番手通過し、続く3級山岳ガリナグ峠を先頭通過したウッズは暫定的に山岳賞ランキング首位に。荒れた路面の細い下り区間でウッズは落車したが怪我を負うことなく先頭グループに復帰している。

逃げグループとメイン集団のタイム差が残り45km地点で4分30秒まで広がったため、マルタンが暫定的に総合2位まで浮上。逃げ切りが濃厚となった先頭14名の中から、まだフィニッシュまで42kmを残してモレマがアタックした。

残り42km地点で独走に持ち込んだバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)残り42km地点で独走に持ち込んだバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) photo:Luca Bettini
2級山岳サンルイを独走で駆け上がるバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)2級山岳サンルイを独走で駆け上がるバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) photo:Luca Bettini
モレマを追走するマティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)らモレマを追走するマティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)ら photo:Kei Tsuji
UAEチームエミレーツとユンボ・ヴィスマを先頭に進むメイン集団UAEチームエミレーツとユンボ・ヴィスマを先頭に進むメイン集団 photo:Kei Tsuji
2級山岳サンルイ峠を登るプロトン2級山岳サンルイ峠を登るプロトン photo:Kei Tsuji
下りを利用して飛び出したモレマは、他の逃げメンバーとのタイム差をすぐさま30秒まで広げ、残り30km地点で1分の大台に乗せた状態で最後の2級山岳サンルイ峠へ。メイン集団ではリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO)とヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)の総合順位を守りたいEFエデュケーション・NIPPOとユンボ・ヴィスマがUAEチームエミレーツに助太刀したが、逃げるマルタンらのタイム差は拡大傾向が続いた。

2級山岳サンルイ峠に差し掛かっても先頭モレマのペースは落ちなかった。イギータが追走アタックするも1分差は詰まらず、マルタンと同様に総合ジャンプアップを目指す総合11位/15分35秒遅れのカッタネオが懸命に追走グループを牽引。フィニッシュまで17kmを残した2級山岳サンルイ峠を1分リードのままクリアしたモレマが、向かい風の吹く下り区間でも独走を貫いた。

先にステージ敢闘賞獲得を決めたモレマが逃げ切り勝利。残り42kmを一人で走りきり、
2017年の第15ステージ
に続く通算2勝目を達成した。4年前のステージ優勝の際も、最後の山岳を前にアタックし、29kmを独走して下りフィニッシュを制している。

2級山岳サンルイ峠を登るプロトン2級山岳サンルイ峠を登るプロトン photo:Kei Tsuji
2級山岳サンルイ峠を登るグルペット2級山岳サンルイ峠を登るグルペット photo:Kei Tsuji
後続に1分以上のタイム差をつけたまま勝利したバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)後続に1分以上のタイム差をつけたまま勝利したバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) photo:Luca Bettini
コンラッド、イギータ、カッタネオ、ウッズは1分04秒遅れ。マイヨジョーヌのタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)を含むメイン集団では最後まで動きを見せる選手が現れないまま6分53秒遅れでフィニッシュした。

「90km地点まで逃げが決まらないスーパーハードな展開だった。最終的に強力な選手で構成された逃げグループから、自信を持って早めに仕掛けようと思ったんだ。全開で走り続け、登りでもタイム差を失わなかった。タイム差50秒以上のまま最後の山岳を越えた時点で『勝った』と思ったよ」。モレマは第1ステージ9位、第2ステージ6位と開幕から上位に絡み、モンヴァントゥーを越える第11ステージで3位。トレック・セガフレードに3年ぶりとなるステージ優勝をもたらした。

ステージ優勝バウケの他にもこの日の主な成功者は3名。カテゴリー山岳で合計12ポイントを稼いで山岳賞トップに躍り出たウッズと、総合9位から2位に浮上したマルタン、そして総合11位から総合トップ10入りを果たしたカッタネオ。ポガチャル一強体制が続く中、大逃げで総合順位を上げる作戦が功を奏した。

2020年大会をフランス人選手最高位の総合11位で終えているマルタンは「今日は良い結果を残すことができた」と喜びながらも「今日力を使い切ったので明日は苦しい戦いになると思う」と現実的に状況を捉えている。

ステージ優勝を飾ったバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)ステージ優勝を飾ったバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) photo:Luca Bettini
マイヨアポワを獲得したマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)マイヨアポワを獲得したマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) photo:Luca Bettini
ツール・ド・フランス2021第14ステージ結果
1位バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)4:16:16
2位パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)0:01:04
3位セルヒオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO)
4位マティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)0:01:06
5位マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)0:01:10
6位オマール・フライレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック)0:01:25
7位エリー・ジェスベール(フランス、アルケア・サムシック)
8位カンタン・パシェ(フランス、B&Bホテルズ・KTM)
9位ルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)0:01:26
10位エステバン・チャベス(コロンビア、バイクエクスチェンジ)0:01:28
11位ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
18位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)0:06:53
DNSワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)
DNSセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)56:50:21
2位ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)0:04:04
3位リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO)0:05:18
4位ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)0:05:32
5位リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)0:05:33
6位ベン・オコーナー(オーストラリア、アージェードゥーゼール・シトロエン)0:05:58
7位ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)0:06:16
8位アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック)0:06:30
9位エンリク・マス(スペイン、モビスター)0:07:11
10位マティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)0:09:48
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)279pts
2位マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)187pts
3位ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)174pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)54pts
2位ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)50pts
3位ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)49pts
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)56:50:21
2位ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)0:05:32
3位オレリアン・パレパントル(フランス、アージェードゥーゼール・シトロエン)0:24:44
チーム総合成績
1位バーレーン・ヴィクトリアス171:22:59
2位EFエデュケーション・NIPPO0:13:19
3位アージェードゥーゼール・シトロエン0:16:21
text:Kei Tsuji in Quillan, France
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