2021/04/15(木) - 10:14
今週末から始まるアルデンヌクラシックの前哨戦ブラバンツ・ペイルが開催。ファンアールトとのスプリントを制したトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がエリートカテゴリー初勝利を果たした。
第61回を迎えたベルギー・フランドル地方を駆けるセミクラシックレース「ブラバンツ・ペイル(UCI1.Pro)」。フランス語で「ラ・フレーシュ・ブラバンソンヌ(ブラバントの矢)」と呼ばれるセミクラシックレースは、アルデンヌ3連戦(アムステル、フレーシュ、リエージュ)に向かう選手たちの前哨戦にあたる。
レースの舞台となるのは、ベルギーの首都ブリュッセル南東に広がる丘陵地帯。今年の世界選手権が行われるルーヴェンを出発すると、昨年の24ヶ所から27ヶ所に増えた登坂区間を越えオーベレルエイセに向かう。勝負所となるのはフィニッシュ手前の「ハーガールト(平均勾配10%)」「ヘルトストラート(平均勾配4%)」「モスケストラート(平均勾配8.9%)」「ホルストハイデ(平均勾配5%)」「オーベレルエイセのS字コーナー(平均勾配3%)」という短い登坂が詰め込まれた22kmの周回コース。レース後半から選手たちはここを4周する。
例年通りの4月に戻ってきた2021年大会は、昨年王者ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)や一昨年大会を制したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)が不在。しかし、ミラノ〜サンレモで優勝したヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)や大会初登場のワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)、常勝ウルフパックのフロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)など名だたる選手たちが集結。さらにEFエデュケーションNIPPOの中根英登もスタートラインに並んだ。
ブレント・ファンムール(ベルギー、ロット・スーダル)を含む若手中心の8名でエスケープが形成されると、4分差を保った状態で周回コースに突入。残り70kmでメイン集団からレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)が飛び出し、それに同調した選手たち4名の追走集団が生まれた。
レースが大きく動いたのは残り38kmのヘルトストラート(平均勾配4%)。トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が登りでアタックすると、それにマッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が呼応する。一方、メイン集団前方では落車が発生し、セネシャルやマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)など優勝候補の選手たちが巻き込まれてしまう。
逃げと追走が合流した13名の先頭集団にファンアールトたちが追いつくと、脚を溜めていたトレンティンが残り27kmから単独で飛び出す。チームメイトのいない選手たちで形成された追走集団の足並みが揃わない中、残り16kmからのヘルトストラートで再びピドコックが加速すると、それに反応したファンアールトと2人で追走が本格化した。
モスケストラートの手前(残り13km地点)でトレンティンが捕まると、力のある先頭3名に対し追走グループは15秒前後からタイム差を縮めることができない。そのまま最後の石畳登坂ホルストハイデ(平均勾配5%)をクリアすると、ファンアールトを先頭にフラムルージュ(残り1km)を越えていく。
追走の猛烈な追い上げを目視で確認しながら、お互いの様子を窺う3名。最初にしびれを切らしたファンアールトがスプリントを開始すると、その速度についていけないトレンティンが踏むのを止める。しかし一時2人の間に挟まれ行き場を失ったピドコックがファンアールトを右から差し切り、自身初となるエリートカテゴリーでの勝利を掴み取った。
「勝てて良かった。いくつかのレースで上位に入っていたが、勝てないという癖を作らないようにするためにも勝ち切ることができて嬉しい。下のカテゴリーでは多少悪い位置からでも勝利することができたが、このようなレースでは位置取りが最も重要だ。ルーク(ロウ)やチームのみんなに感謝したい。彼らはとても良い働きをしてくれた」と喜ぶのは、シクロクロスでは勝つことができていなかったファンアールトを破ったピドコック。
「後ろから(追走が)迫ってきていたので不安になった。でも我慢してタイミングを待っていたらワウトが先にスプリントを開始した。そのせいで少し囲まれしまったが、どうにかワウトを追い抜くことができた」と、最終局面のスプリントについて説明した。今後の予定については「アムステルとフレッシュは必ず走る。レベルが高すぎて安定した成績を出すのは難しいので、もしかしたら次は先頭集団でフィニッシュできないかもしれない」と語っている。
また、中根は不得意な石畳クラシックで序盤のアタック合戦に加わり、DNF。「前半は平坦基調で爆速アタック合戦。1度だけフォロー入れたのみで、後は集団前方に居るのがやっとで飛び出せないしフォローに入れなかった。周回コースは2箇所のパヴェの上りが登場。全開なのにポジションを下げ、2箇所目は集団後方からの突入に加えて前で立ち往生する選手に阻まれ、踏み直して集団に追いつくも、出し切ってしまった状態だったので次の丘でドロップ。チームメイトも3名がクラッシュしてしまい厳しい1日でした。切り替えてまた次頑張ります。応援ありがとうございました」とTwitterに綴っている。
第61回を迎えたベルギー・フランドル地方を駆けるセミクラシックレース「ブラバンツ・ペイル(UCI1.Pro)」。フランス語で「ラ・フレーシュ・ブラバンソンヌ(ブラバントの矢)」と呼ばれるセミクラシックレースは、アルデンヌ3連戦(アムステル、フレーシュ、リエージュ)に向かう選手たちの前哨戦にあたる。
レースの舞台となるのは、ベルギーの首都ブリュッセル南東に広がる丘陵地帯。今年の世界選手権が行われるルーヴェンを出発すると、昨年の24ヶ所から27ヶ所に増えた登坂区間を越えオーベレルエイセに向かう。勝負所となるのはフィニッシュ手前の「ハーガールト(平均勾配10%)」「ヘルトストラート(平均勾配4%)」「モスケストラート(平均勾配8.9%)」「ホルストハイデ(平均勾配5%)」「オーベレルエイセのS字コーナー(平均勾配3%)」という短い登坂が詰め込まれた22kmの周回コース。レース後半から選手たちはここを4周する。
例年通りの4月に戻ってきた2021年大会は、昨年王者ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)や一昨年大会を制したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)が不在。しかし、ミラノ〜サンレモで優勝したヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)や大会初登場のワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)、常勝ウルフパックのフロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)など名だたる選手たちが集結。さらにEFエデュケーションNIPPOの中根英登もスタートラインに並んだ。
ブレント・ファンムール(ベルギー、ロット・スーダル)を含む若手中心の8名でエスケープが形成されると、4分差を保った状態で周回コースに突入。残り70kmでメイン集団からレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)が飛び出し、それに同調した選手たち4名の追走集団が生まれた。
レースが大きく動いたのは残り38kmのヘルトストラート(平均勾配4%)。トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が登りでアタックすると、それにマッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が呼応する。一方、メイン集団前方では落車が発生し、セネシャルやマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)など優勝候補の選手たちが巻き込まれてしまう。
逃げと追走が合流した13名の先頭集団にファンアールトたちが追いつくと、脚を溜めていたトレンティンが残り27kmから単独で飛び出す。チームメイトのいない選手たちで形成された追走集団の足並みが揃わない中、残り16kmからのヘルトストラートで再びピドコックが加速すると、それに反応したファンアールトと2人で追走が本格化した。
モスケストラートの手前(残り13km地点)でトレンティンが捕まると、力のある先頭3名に対し追走グループは15秒前後からタイム差を縮めることができない。そのまま最後の石畳登坂ホルストハイデ(平均勾配5%)をクリアすると、ファンアールトを先頭にフラムルージュ(残り1km)を越えていく。
追走の猛烈な追い上げを目視で確認しながら、お互いの様子を窺う3名。最初にしびれを切らしたファンアールトがスプリントを開始すると、その速度についていけないトレンティンが踏むのを止める。しかし一時2人の間に挟まれ行き場を失ったピドコックがファンアールトを右から差し切り、自身初となるエリートカテゴリーでの勝利を掴み取った。
「勝てて良かった。いくつかのレースで上位に入っていたが、勝てないという癖を作らないようにするためにも勝ち切ることができて嬉しい。下のカテゴリーでは多少悪い位置からでも勝利することができたが、このようなレースでは位置取りが最も重要だ。ルーク(ロウ)やチームのみんなに感謝したい。彼らはとても良い働きをしてくれた」と喜ぶのは、シクロクロスでは勝つことができていなかったファンアールトを破ったピドコック。
「後ろから(追走が)迫ってきていたので不安になった。でも我慢してタイミングを待っていたらワウトが先にスプリントを開始した。そのせいで少し囲まれしまったが、どうにかワウトを追い抜くことができた」と、最終局面のスプリントについて説明した。今後の予定については「アムステルとフレッシュは必ず走る。レベルが高すぎて安定した成績を出すのは難しいので、もしかしたら次は先頭集団でフィニッシュできないかもしれない」と語っている。
また、中根は不得意な石畳クラシックで序盤のアタック合戦に加わり、DNF。「前半は平坦基調で爆速アタック合戦。1度だけフォロー入れたのみで、後は集団前方に居るのがやっとで飛び出せないしフォローに入れなかった。周回コースは2箇所のパヴェの上りが登場。全開なのにポジションを下げ、2箇所目は集団後方からの突入に加えて前で立ち往生する選手に阻まれ、踏み直して集団に追いつくも、出し切ってしまった状態だったので次の丘でドロップ。チームメイトも3名がクラッシュしてしまい厳しい1日でした。切り替えてまた次頑張ります。応援ありがとうございました」とTwitterに綴っている。
プラバンツ・ベイル 2021結果
1位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 4:36:27 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | |
3位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:02 |
4位 | イーデ・スヘリンフ(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:07 |
5位 | トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) | |
6位 | ロバート・スタナード(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) | |
7位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
8位 | ブノワ・コスヌフロワ(フランス、AG2Rシトロエン) | |
9位 | オスカル・リースビーク(オランダ、アルペシン・フェニックス) | |
10位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | 0:12 |
DNF | 中根英登(EFエデュケーションNIPPO) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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