落車事故を乗り越えたファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)が、昨年8月以来となる実戦復帰を果たした。レース後に「数え切れないほどの応援を貰った」と喜びを語っている。



プロトン前方で走るファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)プロトン前方で走るファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
プロトンに祝福されながら、ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)が、落車事故で重体を負ったツール・ド・ポローニュ第1ステージ以来、249日振りとなるフィニッシュラインを通過した。

「本当にいい一日だった。今朝ドゥクーニンク・クイックステップのジャージを着た瞬間、言葉では言い表せない特別な感情が湧いてきた。なぜなら何ヶ月もTVでチームメイトたちが活躍するレースを観ていたからね。僕は自転車に乗りレースをするのが大好きだ。だからこそ、この場がとても恋しかった。いまここに立てたことが本当に嬉しい」。

復帰レースとなった第56回プルデンシャル・ツアー・オブ・ ターキー(UCI2.Pro)第1ステージは、積雪のため167kmの山岳コースから市街地を周る72kmに短縮。長らく実戦から離れていたヤコブセンにとって絶好のレイアウトとなったものの、まだ集団走行には怖さがあったとヤコブセンは語る。

「このような距離の短いステージで復帰でき、再びプロトンに慣れることができて嬉しい。レース序盤では集団が右に左に動いたり、分裂を繰り返したりと多少の怖さもあった。だが徐々に慣れていき、集団先頭で牽引するイーリョ(ケイセ)の後ろにつくこともできた。先頭で走る喜びを感じるためにね」

今年2月に2度目の手術を受け戻ってきたヤコブセン。シーズン直前にスペインで行われたトレーニング合宿にも参加し、当初の予定通り春の実戦復帰が叶った。

レース復帰を叶えたファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)レース復帰を叶えたファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
「レースの序盤、僕のところにたくさんの選手がやってきて言葉をかけてくれた。どれだけ僕の復帰を祈り、喜んでいるかを伝えてくれ、とても感動的だった。また、レース後僕のスマホに多くの選手やファンからお祝いのメッセージが届いていた。みんなに感謝したい。この特別な日に貰った数え切れないほどの応援に感動したよ」

ジロ・デ・イタリアの調整レースとして位置づけられる全8ステージのツアー・オブ・ ターキー。ドゥクーニンク・クイックステップの出場メンバーには、ヤコブセンがリハビリの励みになったと語るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がエースの一人として出場。ヤコブセンはそのアシストを務める。なお本レースには、これまでトルコで数レースをこなしてきたチームNIPPOプロヴァンス・PTSコンチの織田聖も出場中だ。

「今日の目標は完走することだったが、チームメイトのサポートになる走りも試みた。だが残り10kmでチームメイトを見失い、最終局面でチームの力になることができなかった。それでも数ヶ月振りのレースで完走できたことは僕の誇りであり、自信に繋がる結果だ。明日からのレースに向けて改善をしていきたいし、次はチームの力になりたい。そして何よりここで過ごす全ての瞬間を楽しみたい」と、ヤコブセンは話している。

text:Sotaro.Arakawa

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