起伏に富む「GPインデュライン」でアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が待望の勝利。終盤の登坂でアタックし、アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン)とルイスレオン・サンチェス(スペイン)を置き去りにして2019年ブエルタ以来となる勝利を掴んだ。



アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)を軸にするモビスターアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)を軸にするモビスター (c)Movistar Team
ロンド・ファン・フラーンデレンを前にした4月3日(土)、スペインでは山岳系ワンデーレースグランプレミオ・ミゲル・インデュライン(通称GPインデュライン)が催された。

1951年に初回大会を迎え、2007年にUCIオークラス(現プロシリーズ)に昇格したレースはナバラ地域の山岳地帯を駆け巡り、最初から最後まで標高500〜600m級の峠を頂点にするアップダウンが続く。伝統的にスペイン選手が優勝者リストの大半を占めており、近年ではアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター:2014&2018年優勝)やヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック)、そしてホアキン・ロドリゲス(スペイン)といった軽量パンチャーが制してきた。

コロナ禍による中止を乗り越えた2021年大会には9のワールドチームを始め、スペインを代表するプロチーム勢が集結。アスタナ(LLサンチェス、イサギレ、フライレ、ルツェンコ)やコフィディス(マルタン、エラダ)、そしてモビスター(バルベルデ、マス)はビッグネームを揃えた、ペリョ・ビルバオ(スペイン)をエースに据えたバーレーン・ヴィクトリアスからは新城幸也も参戦した。

協力メンバーを揃えたアスタナ・プレミアテックとモビスターが集団をコントロール協力メンバーを揃えたアスタナ・プレミアテックとモビスターが集団をコントロール (c)Astana – Premier Tech
早々にモビスターが組織的なペースアップを開始する早々にモビスターが組織的なペースアップを開始する (c)Movistar Team
後半のエスケープに乗り、唯一生き残ったルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ・プレミアテック)後半のエスケープに乗り、唯一生き残ったルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ・プレミアテック) (c)Astana – Premier Tech
レース序盤から6のプロチームが一人ずつメンバーを出し合ったエスケープが先行したものの、フィニッシュまで70km以上を残してモビスターが組織的なペースアップを敢行する。早々に逃げを飲み込み、続く2級山岳でLLサンチェスやベン・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)を含む4名が逃げてもなおメイン集団のコントロールを担った。

逃げる4名は最大45秒ほどのリードを得たものの、モビスターに加えコフィディスやバーレーン・ヴィクトリアスが牽引に加わったメイン集団は冷静に距離を詰め、残り10kmで頂上を迎える2級山岳で15秒差まで詰め寄る。すると優勝候補たちの中から真っ先にバルベルデがアタックした。

登坂でルツェンコを置き去りにするアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)とルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ・プレミアテック)登坂でルツェンコを置き去りにするアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)とルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ・プレミアテック) (c)Movistar Team
1回目のアタックで人数を絞り、2回目のアタックで全員を置き去りにしたバルベルデは、2級山頂で単独となっていたサンチェスと合流する。長年のライバルにして名コンビを組んできた2人が逃げ、アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック)が合流したものの、圧倒的な登坂力を披露するバルベルデが再度加速してルツェンコを置き去りに。カザフチャンピオンは下りでもう一度先頭に出たものの、登坂力でベテラン2人に対峙することはできなかった。

そしてフィニッシュまで2kmを残した登り(距離600m/最大11%)で、「うまく脚を残したままルツェンコを捉え、全力で踏んだ」というバルベルデが加速する。詰め掛けたファンの大声援を受けたバルベルデはルツェンコとサンチェスを置き去りにし、十分なリードを維持してフィニッシュまでの距離を減らしていく。タイトコーナーが続くテクニカルダウンヒルは逃げるバルベルデの味方になった。

大声援に包まれながらアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)がフィニッシュ大声援に包まれながらアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)がフィニッシュ (c)Movistar Team
久々の勝利を掴んだアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)久々の勝利を掴んだアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) (c)Movistar Team
追いかけるルツェンコを10秒近く引き離し、市街地を駆け抜けたバルベルデがファンに手を振りながらフィニッシュへ。ここ最近力を発揮できずにいた40歳が、バルベルデらしい、パワフルで、老獪で、そしてファンを魅了する勝ち方で2019年ブエルタ・ア・エスパーニャ第7ステージ以来1年半以上ぶりとなる勝利を掴みとった。

GPインデュライン表彰台:2位ルツェンコ、1位バルベルデ、3位サンチェスGPインデュライン表彰台:2位ルツェンコ、1位バルベルデ、3位サンチェス (c)Astana – Premier Tech
表彰式でインデュラインからトロフィーを受け取り、「僕を支え、僕を気にかけ、サイクリングを楽しむ人たち全員に感謝したい。この勝利が心の底から嬉しいよ。そして素晴らしい働きをして切れたチームにも感謝したい。アスタナが最強メンバーを揃えていたので難しい戦いになると分かっていたけれど、チームは最初から主導権を握るべく走ってくれたんだ」と言うバルベルデ。今回の勝利でアンヘル・ビシオソ(スペイン)と並ぶ、GPインデュライン歴代最多勝利選手(3勝)となっている。

アグレシッブな走りを見せたルツェンコが2位、バルベルデとフィニッシュ後抱き合い勝利を祝ったサンチェスが3位。新城のアシストを受けたビルバオはサンチェスに2秒届かず4位となっている。新城は15分遅れの84位で完走している。
グランプレミオ・ミゲル・インデュライン2021結果
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 5:10:47
2位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック) 0:06
3位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ・プレミアテック) 0:15
4位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) 0:17
5位 エリー・ジェスベール(フランス、アルケア・サムシック) 0:18
6位 クリスツ・ニーランズ(ラトビアイスラエル・スタートアップネイション) 0:21
7位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
8位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)
9位 オマル・フライレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック)
10位 ローレンス・デプルス(ベルギー、イネオス・グレナディアーズ) 0:30
84位 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) 15:05
text:So Isobe

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