UCI女子ワールドツアー第2戦トロフェオ・アルフレードビンダで、残り26kmから独走したエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)が勝利。コンディションが上がらない與那嶺恵理(チームティブコSBV)は悔しいレースとなった。



與那嶺恵理ら、チームティブコSBVが紹介を受ける與那嶺恵理ら、チームティブコSBVが紹介を受ける (c)CorVos
トロフェオ・アルフレードビンダ2021コースプロフィールトロフェオ・アルフレードビンダ2021コースプロフィール (c)UCIトロフェオ・アルフレードビンダ2021コースマップトロフェオ・アルフレードビンダ2021コースマップ (c)UCI2週間前に開催されたストラーデビアンケに続く、UCI女子ワールドツアー第2戦がこのトロフェオ・アルフレードビンダ。今年で46回目を迎える歴史ある女子レースで、北イタリア、ロンバルディアの丘陵地帯を駆け巡る。2つの登りを含むサーキットコースを変則的に合計5周回し、最後はチッティーリオのフィニッシュへと飛び込む。

女子ワールドツアーレースとあってエントラントは豪華。世界王者アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス)は不在だが、ストラーデビアンケ覇者シャンタル・ブラーク(オランダ、SDワークス)や同2位エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)、一昨年覇者マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)などが集ったほか、ベルギー2連戦を終え、コンディションを上げている最中の與那嶺恵理(チームティブコSBV)も顔を揃えた。

レース後半までに2009年の世界王者タティアナ・グデルツォ(イタリア、アレBTCリュブリャナ)を中心としたアタックが繰り返されるも決まらない。「(エースの)サラ・ジガンテのサポートと、中盤以降の動きに乗る」という指示を受けた與那嶺を含む50名が残り、ラスト2周回(17.5kmx2)へ。サブエース選手たちが激しくアタックを掛ける中、序盤から苦しんでいたという與那嶺は遅れてしまう。

2009年の世界王者タティアナ・グデルツォ(イタリア、アレBTCリュブリャナ)が積極的にアタック2009年の世界王者タティアナ・グデルツォ(イタリア、アレBTCリュブリャナ)が積極的にアタック (c)CorVosシャンタル・ブラーク(オランダ)を含むSDワークス勢は上位に絡めずシャンタル・ブラーク(オランダ)を含むSDワークス勢は上位に絡めず (c)CorVos

下りを攻めるエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)下りを攻めるエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) (c)CorVos
ロンゴボルギーニを追うマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)たちロンゴボルギーニを追うマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)たち (c)CorVos
登りでトレック・セガフレードがペースアップを行い、フィニッシュまで26kmを残してロンゴボルギーニが発進した。土曜日にミラノ〜サンレモで勝利したヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)の言葉「オール・オア・ナッシング(イチかバチか)に影響された」と言うイタリアチャンピオンが、マビ・ガルシア(スペイン、アレBTCリュブリャナ)やマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)など5名の追走グループを引き離し巡行体制に入った。

フォスたちは約15秒遅れで粘っていたものの、ロンゴボルギーニとの差は徐々に、しかし確実に開いていく。ここまで女子レースを席巻してきたSDワークスは後手を踏み、メイン集団を牽引したものの、ペースを上げきることはできなかった。

最後の登り頂上で追走に対し1分7秒、フィニッシュでは1分40秒以上のリードを積み重ねたロンゴボルギーニが、ストラーデビアンケの借りを返す見事な独走勝利。フィニッシュ手前から何度も何度も拳を振り上げた。

26kmに渡る独走を成功させたエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)26kmに渡る独走を成功させたエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) (c)CorVos
今期初勝利を喜ぶエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)今期初勝利を喜ぶエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) (c)CorVos
2位フォス、1位ロンゴボルギーニ、3位ルドヴィグ2位フォス、1位ロンゴボルギーニ、3位ルドヴィグ (c)CorVos
初戦オンループ・ヘット・ニュースブラッドで10位、ストラーデビアンケで2位と調子を上げてきたロンゴボルギーニは、ウィメンズワールドツアーのランキングリーダーに。「スプリントのあるリジー(ダイグナン)が控えていたので予定通り残り2周回でアタック。少しタイム差が開いたのを見てジャスパーが話したことを思い出していた。(オール・オア・ナッシングという言葉に対し)たまに全てを掴む日もあるし、何も得ない日もよくある。そして今日は前者だった。自分にとっては独走が唯一このレースを勝つ手段だったけれど、別に自分でも、リジーでも、誰か他のチームの仲間が勝てばそれで良いと思っていた。私は最後の最後にうまくやっただけ。素晴らしい働きをしてくれた、チームの勝利なのだから」と、チームワークの賜物であることをアピールしている。

レースを終えた與那嶺恵理(チームティブコSBV)レースを終えた與那嶺恵理(チームティブコSBV) (c)CorVos
また、メイン集団に残ることができなかった與那嶺は5分17秒遅れの43位でフィニッシュ。「最後に残り仕事が出来なかった自分に腹が立ちますが、これもワールドツアー」と、歯がゆい心境を語っている。今後はトレーニング強度を上げ、3月31日のドワーズ・ドア・フラーンデレンと4月4日のロンド・ファン・フラーンデレンに挑むという。以下は本人によるコメント。なお、3時間50分のレースで與那嶺の平均パワーは228ワット、最大706ワット、20分の最大平均パワーは261ワット、NPは233ワット、TSSは291.2、運動量は2,706キロジュール(体重50kg)に及んでいる。

「そろそろ割れるから、残ってるエリとサラは次の動きに乗って。と無線が入り残り2周。無線で監督にちょっと今日は厳しいかもと伝えます。下りで前に上がって、ゴール手前の登りから激しく動きが始まりました(武井コーチによるライブ3分30秒から)。

残り2周回の登りであと一歩乗り切れず、ギリギリ悔しい。次の登りでなぜか脚がいっぱいに。6名ほどがドロップ。エースのローレンとサラが前に残り、私はチームカーの車列を使いきれず、メイン集団に復帰できませんでした。

こうなるんだったら動かなきゃよかった。けど千切れるつもりで動くわけじゃない。当然、登りで耐えられると思って動くわけで。メイン集団に最後まで残れないなんて、あり得ない。私がまだ少し弱い。仲良しの元同僚たちが良い順位を獲得し、私もそろそろ順位が欲しいです。

ですが武井コーチは、「昨年のレース数は彼女たちより少ないから今年の前半で適応を引き出しましょう」と。チームの安心感、最高の機材、あとは私がやるだけ。ヘントはスキップして、ドワーズドアとフランダースに挑みます。今週は少しトレーニングのボリュームを増やし、ちょっと体も再構築します」。
トロフェオ・アルフレードビンダ2021結果
text:So Isobe

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