「”オール・オア・ナッシング”で行くと決めていた」と語るのは、混戦となったミラノ〜サンレモでキャリアハイとなる勝利を上げたヤスパー・ストゥイヴェン。惜しくも届かなかったユアンやファンアールト、驚きの4位に入ったサガンなど、上位入賞者たちのコメントを紹介します。



優勝 ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)

ジャコポ・モスカ(イタリア、トレック・セガフレード)と勝利を喜ぶヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)ジャコポ・モスカ(イタリア、トレック・セガフレード)と勝利を喜ぶヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) (c)CorVos
行くしかないと思っていた。スプリント勝負をして5位や10位になるよりも、飛び出して全てを賭ける方がいいと思っていたんだ。大抵は何も得ることは出来ず、しかし時折結果が現れる。今日は後者だった。信じられないよ。まだ自分が何を成し遂げたのか理解できていない。ただ信じられないくらい幸せだ。

残り1kmでセーアン(クラーウアナスン)が来るのが見えたので、最終コーナーの前に彼の後ろで休もうと思ったんだ。おかげで300mほど回復に充てることができ、それは勝利に必要だった。前を引いて欲しいと思ったら、引いてくれたんだ。そしてスプリントで脚はほとんど残っていなかったが、勝利には十分だった。

ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)がヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)を祝福ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)がヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)を祝福 (c)CorVos
ポッジオの下まで集団には多くの強い選手が残っていた。だけど飛び出せば僕の強みが最後に活かせるという直感があった。集団はお見合いしていていたからポッジオの最後の下りで加速したんだ。あくまでも本能的な判断だった。

スプリントのある選手たちと集団でフィニッシュラインに向かうのは嫌だった。実は友だちにも”オール・オア・ナッシング”で行くと伝えていたんだ。誰もアシストがいなかったのも僕に有利に働いた。一瞬を見つけ、差が開き、フィニッシュラインを目がけて脚が空っぽになるまで踏み続けるだけだった。

2位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)

ポッジオで集団前方を守る走りを見せたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)ポッジオで集団前方を守る走りを見せたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) (c)CorVos
2018年に2位になった時は、まだ2回目の出場だったこともあり良い結果だと思った。しかし、今回はとてもがっかりしている。2018年の2位は「いつかこのレースで優勝できる」という自信に繋がったんだ。だからほぼ毎年ミラノ〜サンレモが一番の目標になっていた。

調子が良い自覚はあったし、何より今年は登りを改善しようと思っていた。ポッジオでのアタックも何度も練習していたんだ。ポッジオを良い位置で登ることができ、彼らが飛び出した時、少し辛かったのだがついていく力は残っていた。かなり余裕もあった。最後の1kmでチームメイトが1人でも残っていればよかったのだけどね。

ああいった状況は宝くじのようなものだ。静かに待ってリスクを取るしかない。勝利の為に必要なことをしたのだが、ヤスパーとの差が広がり過ぎた。後悔はないよ。最後はお見合いしてしまい、待ち過ぎてしまった。でも、もう少し早く行っていたら2位も不可能だっただろう。とにかく残念だよ。

3位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)

連覇ならなかったワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)連覇ならなかったワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) (c)CorVos
脚はあったが、捕まってしまった。ミラノ〜サンレモはとても難しいコースで、最後はギャンブルに負けてしまった。ヤスパーの飛び出しに、後続を引き連れてスプリントのチャンスを捨てるようなことはしたくなかった。当然のことだが多くの選手にマークされていた。ポッジオで仕掛けたのだが、集団が大きすぎた。もっと小人数になると思っていたのだが、ふるい落としが足りなかったみたいだね。

勝てず残念だが、違う何かができたとは思えない。3位という結果に満足なんてできないがコンディションは上々だ。これで自信を持ってフレミッシュ・クラシックに臨めるよ。

4位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

復調の兆しを見せたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)復調の兆しを見せたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) (c)CorVos
ほろ苦いミラノ〜サンレモになった。しかし感触は良く、コンディションも徐々に上向いてきている。トップレベルまではまだ時間が必要だけどね。一方で、またミラノ〜サンレモの勝利を逃してしまったことに憤りも感じている。

一日を通して、チームのみんなはとても良く働いてくれた。ポッジオでアタックがあった時に先頭の小集団が飛び出し、僕は一つ前の集団で他の有力選手たちと共に取り残された。アタックに反応しなかったのはそれが出来なかったのか、下りで追いつけると思ったからか(は分からない)。2つの集団が合流しスプリント勝負になった。ベストを尽くしたが、4位だった。

5位 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)

集団前方でチプレッサを登るマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)集団前方でチプレッサを登るマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) (c)CorVos
ポッジオでは自分のいるべきポジションにつけていた。ジュリアンとワウトのアタックについていくこともできた。アタック自体は良かったのだが、少し遅すぎると思ったんだ。それにポッジオの最も難易度の低い区間でのアタックだった。その後はかなり大きな集団となった。下りで第2集団が追いついてきて、その選手たちが凄いスピードでアタックしてきたので反応するのが難しかった。

何か違う走りができたとは思えない。(ストゥイヴェンたちとの)差を縮めようと行けば負けていただろうからね。ヤスパーは適切なタイミングで飛び出し、フィニッシュラインまで差を保てるだけの強さがあった。だからこそ今日の勝利にふさわしいのだと思うよ。

他の皆も言うように、このレースで勝つのは難しい。ポッジオでのスピードが速いので飛び出して差をつけるのが簡単じゃない。1人で飛び出すのがとても難しいんだ。だからこそ最終的にはテクニカルになってしまうんだ。

9位 セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM)

追い風の吹くスピードの速い一日だった。最初の200kmでは落ち着いて走れたが、それ以降は慌ただしかった。困難な中でもチームでまとまって走ろうと試みた。チームメイトはとても良くやってくれたよ。そのおかげで最後に良い位置にいることができた。

有力選手たちについていけたのは良かった。ストゥイヴェンがすぐさま仕掛けたのには驚いたよ。僕もアタックし追いついたのだが、すでに苦しく、幾つかのミスを犯してしまった。今更しょうがないのだが、反省してそこから学ばなければいけない。結果的には悪くなかったし、チームは団結して良く走れたと思う。次のレースも頑張りたい。

15位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

ファンアールトの背後でアタックのタイミングを伺うトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)ファンアールトの背後でアタックのタイミングを伺うトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) (c)CorVos
悪くない結果だと思う。初めてのモニュメントで、しかも300km。最後まで残れたことに驚いているよ。調子は良かったし満足している。でも結果は欲しかった。多くを学ぶことができ、チームもよく走ってくれたので満足だよ。

膝に軽い腱炎があったため、精神的に辛い1週間だった。トレーニングができず、このレースに完璧な準備で臨むことが出来なかった。それを考えると悪くはない。

チームは僕とクフィアトコフスキのために頑張ってくれた。そのおかげでポッジオで集団についていくことができたんだ。下りでアタックをしたのだが、正直自分が何をしているかよく分かっていなかった。結局上手くはいかったしね。フィニッシュでは少し前に出過ぎてしまった。でも全体的には満足しているし、石畳のクラシックに向けて良い結果だと思う。

16位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)

ポッジオでアタックを繰り出すジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)ポッジオでアタックを繰り出すジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
レースを通して集中することができた。チームメイトのおかげで常に集団の中で良いポジションを取ることができた。集団先頭を引き、逃げを追い、僕を風から守ってくれた彼らに称賛を送らなければならない。ベストを尽くしポッジオで仕掛けたのだが、上手くいかなかった。でも出来ることは全てやったので落ち込んではいない。

ティレーノ~アドリアティコでのステージ優勝を含むイタリアでのレースには満足している。これからはベルギーでのクラシックに集中しなければいけない。休息を取り、月末にあるドワーズ・ドール・フラーンデレンが楽しみだよ。

text:Sotaro.Arakawa

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