UAEツアー名物ジュベルハフィートの登坂でタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が勝利。アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)を下し、総合リード拡大に成功した。



総合2位ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)総合2位ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVosリーダージャージを着るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)リーダージャージを着るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) (c)CorVos

逃げるトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)とトニー・ガロパン(フランス、AG2Rシトロエン)逃げるトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)とトニー・ガロパン(フランス、AG2Rシトロエン) (c)CorVos
UCIワールドツアー開幕戦、UAEツアーも中盤戦。3日目の終盤に控えるのは例年クライマーたちの勝負を見守る名物フィニッシュ、ジュベルハフィート。起伏の少ない半島の真ん中に位置する標高1,025mの岩山に向かって、平均勾配6.6%の登りが10.6kmにわたって続く。前半は8%前後の勾配を刻み、残り3km地点で勾配が11%に達する難所だ。

平坦、平坦、平坦、そして山岳。二面性を持った砂漠コースを逃げたのはトニー・ガロパン(フランス、AG2Rシトロエン)と、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)の二人。逃げの名手として知られる二人は最大6分強のリードを得たものの、ど平坦の終盤に難関登坂が続くコースでは逃げ切るチャンスはほぼ皆無。UAEチームエミレーツはもちろん、他の総合チームは余裕を保ちながらタイム差の調整を行なった。

ジュベルハフィートに向けて砂漠の平坦区間を走るジュベルハフィートに向けて砂漠の平坦区間を走る (c)CorVos
笑顔を見せるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)笑顔を見せるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) (c)CorVos
UAEチームエミレーツの牽引で岩山ジュベルハフィートを登るUAEチームエミレーツの牽引で岩山ジュベルハフィートを登る (c)CorVos
UAEチームエミレーツはもちろんのこと、イネオス・グレナディアーズやロット・スーダルなど、好位置でエースを登坂させたいチームがひしめき合うように集団先頭でペースを上げたことで、ジュベルハフィートが近づくと急速にリードは削られていく。自国開催の威信にかけるUAEがペースメイクした状態で、デヘントを切り離し単独となっていたガロパンを残り8.3km地点で吸収。時を同じくして昨年のジュベルハフィートで3位に入ったアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック)が遅れをとった。

ヤン・ポランツェ(スロベニア)や、ラファル・マイカ(ポーランド)らUAEトレインのペースメイクで2年前のステージ勝者アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)やクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)らが脱落。残り6kmでイネオス・グレナディアーズが猛烈なペースを刻み始めると、時を要さず15名ほどまでに絞り込まれた。

遅れていくクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)遅れていくクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション) (c)CorVos
タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)、アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)、セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィズマ)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)、アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)、セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィズマ) (c)CorVos
再三ペースアップを試みるアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)再三ペースアップを試みるアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) (c)CorVos
イネオスジャージに身を包んだダニエル・マルティネス(コロンビア)のハイペースに耐えたのは首位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)やアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)、ニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーションNIPPO)、セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィズマ)といった精鋭ばかり。

マルティネスが外れ、クスがアタックを仕掛けると総合2位ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)やポーレスたちも脱落。フィニッシュまで5kmを残し、速くも勝負は昨年2回登場したジュベルハフィートで1勝づつ挙げているポガチャルとイェーツ、そしてクスの3名に絞られた。

暫しの牽制を挟んでイェーツがもう一段ペースアップを図るとクスが脱落。西日に照らされたつづら折れでイェーツが何度も加速を試みたものの、「アダムはとても強かったけれど、彼のアタックをフォローする余裕があった」と言うポガチャルは食いついて離れない。苦しげな表情を見せるアルメイダやポーレスたち3番手グループを40秒引き離して残り1kmのアーチをくぐった。

フィニッシュに向け突き進むタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)フィニッシュに向け突き進むタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) (c)CorVos
イェーツを下したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)イェーツを下したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) (c)CorVos
48秒遅れたジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)48秒遅れたジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos48秒遅れの3位で終えたセルヒオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションNIPPO)48秒遅れの3位で終えたセルヒオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションNIPPO) (c)CorVos


勾配が緩むジュベルハフィートの頂上付近。イェーツの背後で距離を開け、息を整えてから踏み込んだポガチャルが速度差をつけてアタック。緩斜面勾配の残り400mを平均54.4km/h、最高57.2km/hで駆け抜けたポガチャルが2車身を開け、最後の左タイトコーナーを通過。イェーツを寄せ付けずにジュベルハフィートを攻略した。

「勝ちたいという気持ちを持ち、本当にキツい1日の終わりに目標を達成することができた。チームは常に良い位置取りで素晴らしい走りを続け、最後の登りでもペースメイクしてくれた。アダムの攻撃に耐えたことでより価値のある勝利になったし、総合ライバルとの差を広げることも重要だった」と語るポガチャル。総合2位にジャンプアップしたイェーツとのタイム差は43秒、そして総合3位アルメイダとの差は1分3秒まで広がっている。

「コース終盤のレイアウトと、どうすれば勝てるかということをよく理解していたんだ。早めに加速し、最後2箇所のコーナーを先頭で抜ける必要があった。このレースにはまだ登坂フィニッシュが控え、さらに横風分断の可能性があるのでまだまだ気を抜けない。総合成績は決まっていないんだ」。と、UAEチームのエースとしてUAEツアー総合優勝を目指すポガチャルは語っている。
UAEツアー2021第3ステージ結果
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 3:58:35
2位 アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
3位 セルヒオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションNIPPO) 0:48
4位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
5位 ハーム・ファンフック(ベルギー、ロット・スーダル)
6位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)
7位 フロリアン・ストーク(ドイツ、チームDSM) 0:54
8位 ニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーションNIPPO)
9位 クリス・ハーパー(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ) 1:00
10位 ジョフリー・ブシャール(フランス、AG2Rシトロエン) 1:09
個人総合成績
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 7:58:30
2位 アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 0:43
3位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) 1:03
4位 クリス・ハーパー(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ) 1:43
5位 ニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーションNIPPO) 1:45
6位 マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード) 2:36
7位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) 2:38
8位 マッティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) 2:39
9位 ルーベン・フェルナンデス(スペイン、コフィディス) 3:32
10位 ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) 4:47
その他の特別賞
ポイント賞 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
ヤングライダー賞 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツ

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