長野県飯山市で開催されたシクロクロス全日本選手権をレポート。重馬場の泥レースでU23の鈴木来人(BonneChance Asia Cycling Academy)が自身初の勝利。男女ジュニアレースで村上裕二郎(松山工業高校)と渡部春雅(駒澤大学高等学校)がタイトル防衛を果たした。


圧倒的な力で男子U17を制した高橋翔(cycleclub 3UP)圧倒的な力で男子U17を制した高橋翔(cycleclub 3UP) photo:MakotoAYANO
シクロクロス全日本選手権のクライマックスとなる11月29日、日曜日の第1レースは男女それぞれU15とU17の時差スタートレース。U17の高橋翔(cycleclub 3UP.)はスタートこそホールショットを譲るものの「とにかく泥が重たかったので乗る場所と降りる場所をしっかり分けた」という盤石の走りで初のシクロクロス全日本タイトルを射止めている。

男子ジュニアのスタート男子ジュニアのスタート photo:MakotoAYANO
9時30分にスタートした男子ジュニアレースでは、連覇がかかる村上裕二郎(松山工業高校)が序盤からダッシュを決めた。「焦ってしまい”全然走れない”と思いましたが、周回数を重ねるうちに後続との差が離れたので落ち着いて自分のペースで走りました」と振り返る村上は、最終的に2位を1分半以上引き離して「泥を捌けなかった世界選手権のリベンジ」を達成している。

男子ジュニア 格の違いを見せつけた村上裕二郎(松山工業高校)男子ジュニア 格の違いを見せつけた村上裕二郎(松山工業高校) photo:MakotoAYANO男子ジュニアの2位争いが白熱。副島達海(Limited Team 846)に 柚木伸元(朝明高校)が迫る男子ジュニアの2位争いが白熱。副島達海(Limited Team 846)に 柚木伸元(朝明高校)が迫る photo:MakotoAYANO


ロード活動メインに切り替えた村上にとってはU17から負けなしの全日本3連覇であり、来年は兄である功太郎と同じU23カテゴリーで4連覇を目指すという。終盤までもつれた柚木伸元(朝明高校)と副島達海(Limited Team 846)の2位争いを制したのは袖木だった。

男子ジュニアを制した村上裕二郎(松山工業高校)男子ジュニアを制した村上裕二郎(松山工業高校) photo:MakotoAYANO
女子ジュニア 力強いランで追従を許さない渡部春雅(駒澤大学高等学校)女子ジュニア 力強いランで追従を許さない渡部春雅(駒澤大学高等学校) photo:MakotoAYANO
時差スタートの女子ジュニアレースでは、来年のロード世界選手権出場を目指す渡部春雅(駒澤大学高等学校)が持ち前のランニング力を武器に、巧みな泥捌きで追いすがる中島瞳(Limited Team 846/KURE)を下して勝利した。トレイルランもこなす渡部の強みが活きた泥レースだったが、本人は「泥で自転車が重くて思うようにランをこなせませんでした」と一言。今後ロードレースをメインに据えて活動していくが「平行してシクロクロスやMTBも同じくらい頑張っていきたい」と振り返っている。

女子ジュニアを制した渡部春雅(駒澤大学高等学校)女子ジュニアを制した渡部春雅(駒澤大学高等学校) photo:MakotoAYANO男子ジュニア表彰  優勝は村上裕二郎(松山工業高校)男子ジュニア表彰 優勝は村上裕二郎(松山工業高校) photo:MakotoAYANO


男子U23がスタート ホールショットは川野碧己(慶應義塾大学)男子U23がスタート ホールショットは川野碧己(慶應義塾大学) photo:MakotoAYANO
好天によって泥が粘着度を増す中、10時30分開始の第3レース、男子U23カテゴリーのスタートラインに集ったのは31名。エリートに昇格した前年度覇者、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)からのチャンピオンジャージ引き継ぎを狙った村上功太郎(松山大学)がいきなり出遅れる波乱が起きた。

スタートすぐのぬかるみセクションで大落車が発生。大人数が巻き込まれるスタートすぐのぬかるみセクションで大落車が発生。大人数が巻き込まれる photo:MakotoAYANO昨年2位、優勝候補の村上功太郎(松山大学)がいきなり出遅れる波乱昨年2位、優勝候補の村上功太郎(松山大学)がいきなり出遅れる波乱 photo:MakotoAYANO


鈴木来人(BonneChance Asia Cycling Academy)が難区間を乗車したままクリアする鈴木来人(BonneChance Asia Cycling Academy)が難区間を乗車したままクリアする photo:MakotoAYANO
「スタートで失敗し、その後も細かいミスを重ねた」と悔やむ村上が埋もれるその隙にリードを得たのは、U23カテゴリー1年目の鈴木来人(BonneChance Asia Cycling Academy)だった。小林慶次や積田連などSNEL CYCLOCROSS TEAM勢が続き、MTBのジュニア全日本選手権を制したばかりの松本一成(Team SCOTT)はメカトラのためほぼ最後尾からの挽回を強いられた。

メカトラで最後尾まで落ちた松本一成(チームスコット)が追い上げるがメカトラで最後尾まで落ちた松本一成(チームスコット)が追い上げるが photo:MakotoAYANO落車で顔から路面に落ちた選手。泥との戦いとなった落車で顔から路面に落ちた選手。泥との戦いとなった photo:MakotoAYANO


一時1分以上遅れた村上は、一人、また一人と前走者を抜き続け、単独2番手に立ったものの、「残り2周半の時点で20秒差まで縮められましたが、この縮まり方ならば抜かされることはないと言い聞かせていた」と言い聞かせながら走ったと言う鈴木との差は、20秒を境に拡大傾向に転じる。バランス力が問われるスリッピーな泥区間で集中力を保ち続けた鈴木が、最終的に村上を40秒以上引き離してフィニッシュにやってきた。

男子U23を制した 鈴木来人(BonneChance Asia Cycling Academy)男子U23を制した 鈴木来人(BonneChance Asia Cycling Academy) photo:MakotoAYANO
長野県出身で、地元クラブチームのボンシャンスで力を付けた鈴木が、地元の声援を味方につけて全日本タイトルを獲得。「大好きなこの会場を使ったレースで勝てて本当に嬉しい。声援はありがたい限りでした。このジャージをしっかりと守りたい」と感謝を綴っている。「悔しい」と話す村上は無念の2位、3位にはロードやMTBで日本代表経験を持つ中村龍吉(acu-power RACING TEAM)が入っている。

ゴール寸前で秋元碧(ブラウ・ブリッツェン)を交わして男子U15を制した 松井颯良(三味線Racing)ゴール寸前で秋元碧(ブラウ・ブリッツェン)を交わして男子U15を制した 松井颯良(三味線Racing) photo:MakotoAYANO
女子U15トップの石川七海(iBeyond)が女子U17トップの水谷彩奈らに先行する女子U15トップの石川七海(iBeyond)が女子U17トップの水谷彩奈らに先行する photo:MakotoAYANO
女子U15優勝は石川七海(iBeyond)女子U15優勝は石川七海(iBeyond) photo:MakotoAYANO女子U17表彰  水谷彩奈が優勝女子U17表彰 水谷彩奈が優勝 photo:MakotoAYANO



男子U23結果
1位 鈴木来人(BonneChance Asia Cycling Academy) 47:26
2位 村上功太郎(松山大学) +0:43
3位 中村龍吉(acu-power RACING TEAM) +1:44
4位 松本一成(TEAM SCOTT JAPAN) +1:59
5位 小林慶次(SNEL CYCLOCROSS TEAM) +2:47
男子ジュニア結果
1位 村上裕二郎(松山工業高校) 38:59
2位 柚木伸元(朝明高校) +1:36
3位 副島達海(Limited Team 846) +1:48
女子ジュニア結果
1位 渡部春雅(駒澤大学高等学校) 36:37
2位 中島瞳(Limited Team 846/KURE) +0:57
3位 大蔵こころ(松山城南高等学校) +2:41
男子U17結果
1位 高橋翔(cycleclub 3UP.) :21:06
2位 澤井千洋(TEAM GRM) +0:39
3位 佐々木啄人(ボンシャンスACA) +1:25
女子U17結果
1位 水谷彩奈 26:35
2位 日吉愛華(LimitedTeam846まるいち) +1:02
3位 松崎光優(Touch meシクロクロスチーム/新井中学校) +3:27
男子U15結果
1位 松井颯良(三味線Racing) 22:08
2位 秋元碧(ブラウ・ブリッツェン) +0:03
3位 野嵜然新(TORQUE NOZAC) +0:10
女子U15結果
1位 石川七海(iBeyond) 25:55
2位 西原夕華(トーヨーCT) +2:08
text:So Isobe
photo:Makoto AYANO

最新ニュース(全ジャンル)