今年もシクロクロス日本一を決める季節がやってきた。11月28日、29日の2日間、長野県飯山市で行われる第26回シクロクロス全日本選手権をプレビューする。優勝候補のピックアップや、改定されたコースの詳細、そして三船雅彦氏のコメントを紹介する。



2015年に全日本選手権の会場となった長嶺スポーツ公園2015年に全日本選手権の会場となった長嶺スポーツ公園 photo:Kei Tsuji
会場となる長野県飯山市長峰スポーツ公園は2015年に全日本選手権を開催しており、信州のシクロクロスではレギュラーコースとして毎年ナイトレースを開催し、多くの参加者で賑わう。晴れていたとしても季節柄マッドコンディションは避けられない。

28日(土曜日)はシングルスピード(エキシビション)、年代別マスターズクラスのレースが行われ、翌日のUCIカテゴリのオフィシャルトレーニング終了後、陽が落ちた16:30からAJOCCカテゴリのC3、C4、CM3のレースがエキシビションとして行われる。もちろんナイトレースだ。そして29日(日曜日)はU15・U17の男女のレースが行われた後、UCIカテゴリのレースが行われる。

これも飯山と言えばこの光景。今年はキャンバー区間が増えるというこれも飯山と言えばこの光景。今年はキャンバー区間が増えるという photo:Satoshi ODA/Kasukabe Vision FILMz
スロープの右側スペースもキャンバー区間が新設されるスロープの右側スペースもキャンバー区間が新設される photo:Satoshi ODA/Kasukabe Vision FILMz2015年は終盤まで小坂、山本、竹之内3人による死闘が繰り広げられ、竹之内が勝利2015年は終盤まで小坂、山本、竹之内3人による死闘が繰り広げられ、竹之内が勝利 photo:Satoshi ODA/Kasukabe Vision FILMz


例年の飯山のコースと言えば丘陵地帯のアップダウン、巧みに配置されるキャンバーセクションがおなじみのテクニカルな設定だが、全日本選手権仕様となる2020年のコースはどのような変化を加えているのか。コースディレクターの小林輝紀氏に聞いてみた。

「今回、10年目で初めて使用する大斜面が満を持して登場します。国内最大の高低差をもつキャンバーを龍がうねるようにトレースしています。林の中のトレースも一新します。たった数cmしかない最速ラインを見つけてください。これまでスタートのみ使用していた180mにおよぶ直線舗装路を毎周回使用します。これにより舗装路が増え、より欧州のトレンドコースに近づいています。これまで通りのテクニカルな要素を削らず、よりスピードを求めるコースにしました」。

記憶に新しい昨年のフィニッシュ直前のスプリント勝負。今年はどんな勝負が繰り広げられるのか記憶に新しい昨年のフィニッシュ直前のスプリント勝負。今年はどんな勝負が繰り広げられるのか photo:Satoshi ODA/Kasukabe Vision FILMz
JCXマキノでは中盤まで全日本有力候補のパックでレースが進められたJCXマキノでは中盤まで全日本有力候補のパックでレースが進められた photo:Satoshi ODA/Kasukabe Vision FILMz
これまでシクロクロス全日本選手権は12月10日前後の開催が慣例であったが、今年は飯山の気象を勘案して11月下旬となった。気になる天候については小林氏が「シクロクロス用のお天気自動販売機のボタンを全部押しました。」と言うように、雨・曇・小雪混じりの天候になりそうだ。晴れていても泥になるコースなだけに、ピットでのバイク交換などスタッフの連携は必須。ライダー個の力だけでなくチームとしての総合力が大きなファクターとなるだろう。

飯山市は昨年台風19号による記録的な大雨で甚大な被害を受け、完全復興はまだ道半ばとのこと。そして新型コロナ感染症は穏やかだったこの地域にも広がり始めているようだ。小林氏は「今季、飯山市周辺では大きなイベントは軒並み中止になったが、その中でも暗闇の先に見える光になるために、安全で健康的な良い時間になるよう尽くしていく」と力強いコメントをくれた。



好調織田が初のエリートタイトル獲得なるか、山本幸平の走りにも注目

男子エリートのスターティンググリッドの最前列には誰が勝っても不思議ではないメンバーが並ぶことになる。UCIポイントランキング順に、その他のカテゴリについては有力となり得る選手を紹介しよう。(【】内は過去の獲得タイトル)

織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)【2015:MJ、2017・2019:MU】

エリート1年目にしてJCXシリーズ3連勝中の織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)エリート1年目にしてJCXシリーズ3連勝中の織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Satoshi ODA/Kasukabe Vision FILMz
今シーズンJCXシリーズでは負けなしの3連勝中。昨年U23チャンピオンを奪い返しエリート1年目となる。高速サーキットを得意とするが、ジュニアタイトルを獲得した飯山でどのような走りをするのか注目だ。

前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)【2018・2019:ME】

3連覇を狙うディフェンディングチャンピオン前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)3連覇を狙うディフェンディングチャンピオン前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Satoshi ODA/Kasukabe Vision FILMz
3連覇を狙うディフェンディングチャンピオン。JCX取手、幕張とチームメイトの織田と高速ランデブーするも、いずれも終盤のミスで2位に。UCIマキノでは3位ながらラスト2周回においてはファステストラップを刻んでいる。昨年同様ゴールスプリントとなれば勝率が高い。

小坂光(宇都宮ブリッツェン)【2017:ME】

2017年以来2度目のタイトルを狙う小坂 光(宇都宮ブリッツェン)2017年以来2度目のタイトルを狙う小坂 光(宇都宮ブリッツェン) photo:Satoshi ODA/Kasukabe Vision FILMz
ロードシーズンでの負傷が長引きJCXシリーズではまだ本領発揮できずにいるが、2度目のタイトル獲得を虎視眈々と狙っている。抜群のスキルの持ち主であるため、泥が深くなればなるほどチャンスが巡ってくるだろう。

竹之内悠(ToyoFrame)【2011~2015:ME】

 同じ会場で行われた2015年以来6度目のタイトルを目指す竹之内悠(ToyoFrame) 同じ会場で行われた2015年以来6度目のタイトルを目指す竹之内悠(ToyoFrame) photo:Satoshi ODA/Kasukabe Vision FILMz
夏場に足の手術を終えまだ本調子とは言えない状態に見えるが、誰よりも勝ち方を知っている選手だ。昨年は前田にゴールスプリントで敗れ2位となっているが、2014年に5度目のタイトルを獲ったこの会場で再び栄冠を目指す。

沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)【2010・2011:MJ、2015:MU、2016:ME】

2016年エリート1年目以来のタイトルを狙う沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)2016年エリート1年目以来のタイトルを狙う沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling) photo:Satoshi ODA/Kasukabe Vision FILMz
先日のUCIマキノでは爆発的な登坂スピードを見せた。所属するMTBチームの監督がコースセッターである飯山の舞台で、相当の覚悟で2度目のタイトルを狙ってくるはずだ。

横山航太(シマノレーシング) 【2012:MJ、2014・2016:MU】

横山航太(シマノレーシング)はそろそろエリートレース表彰台の頂上に登りたいところ横山航太(シマノレーシング)はそろそろエリートレース表彰台の頂上に登りたいところ photo:Satoshi ODA/Kasukabe Vision FILMz
エリート昇格後は2019年こそ機材トラブルで6位に沈んだものの、過去3年で2位が2回。常にビッグタイトルを狙える位置にいる。

山本幸平(DREAM SEEKER MTB RACING TEAM)

過去6度の全日本で表彰台を逃したときはいずれも4位だった山本幸平(DREAM SEEKER MTB RACING TEAM)過去6度の全日本で表彰台を逃したときはいずれも4位だった山本幸平(DREAM SEEKER MTB RACING TEAM) photo:Satoshi ODA/Kasukabe Vision FILMz
シクロクロスでのタイトル獲得はないが、言わずと知れた山の王者。先日12度目のMTBクロスカントリー日本チャンピオンとなった。過去6度参加した全日本選手権シクロクロスで4度表彰台を獲得し、2015年は同会場で2位となっている。



女子:MTB王者今井にストップをかけるのは誰?

MTBとの2どめのダブルタイトルを目指す今井美穂(CO2bicycle)MTBとの2どめのダブルタイトルを目指す今井美穂(CO2bicycle) photo:Satoshi ODA/Kasukabe Vision FILMz
與那嶺恵理(OANDA JAPAN)のフィジカルは随一。勝敗は泥さばきに掛かっている與那嶺恵理(OANDA JAPAN)のフィジカルは随一。勝敗は泥さばきに掛かっている photo:Satoshi ODA/Kasukabe Vision FILMzJCX幕張でエリート優勝を果たした渡部春雅(駒澤大学高等学校)JCX幕張でエリート優勝を果たした渡部春雅(駒澤大学高等学校) photo:Satoshi ODA/Kasukabe Vision FILMz


女子U23と混走となる女子エリート(WE)では、2017年に壮絶なバトルの末タイトルを勝ち取った今井美穂(CO2bicycle)が最有力候補だ。今井を負かす可能性が高いのは與那嶺恵理(OANDA JAPAN)。そして今シーズンは走りにキレが見られないが、ディフェンディングチャンピオンの松本璃奈(TEAM SCOTT JAPAN)がどこまで仕上げてくるかも注目。泥の影響でラン区間が長くなれば唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)にもチャンスが巡ってくる。赤松綾(SimWorks Racing)、西山みゆき(Toyo Frame Field Model)も大崩れしなければ表彰台を狙えるだろう。エリート初挑戦となる石田唯(北桑田高校)、小林あか里(信州大学)ら若手も絡んでくるだろう。

2年振りのタイトルを狙うU23カテゴリ3年目の村上功太郎(松山大学)2年振りのタイトルを狙うU23カテゴリ3年目の村上功太郎(松山大学) photo:Satoshi ODA/Kasukabe Vision FILMz
男子U23(MU)ではJCXシリーズのエリートでも表彰台に絡む実力の村上功太郎(松山大学)が最有力候補。これにU23カテゴリ1年目となる、鈴木来人(BonneChance Asia Cycling Academy)、中島渉(弱虫ペダルサイクリングチーム)、松本一成(TEAM SCOTT JAPAN)らがどこまで絡めるかに注目したい。日本代表経験のある積田(SNEL CYCLOCROSS TEAM)、JCX幕張で好走を見せた川野碧己(慶應義塾大学)も表彰台争いに絡んでくるだろう。エントリーは35名と、筆者の記憶が正しければU23としては過去最高のエントリー数。ロード選手の出走も多い。

ジュニア最終年で連覇を狙う村上裕二郎(松山工業高校)ジュニア最終年で連覇を狙う村上裕二郎(松山工業高校) photo:Satoshi ODA/Kasukabe Vision FILMz
男子ジュニア(MJ)は村上裕二郎(松山工業高校)が最有力候補。ロード活動メインに切り替えた村上の走力に、ランキング上位の永野昇海(イナーメ信濃山形)、マキノで好走を見せた副島達海(Limited Team 846)らがどれだけテクニックで詰め寄るかが注目どころ。

女子ジュニア(WJ)ではJCX幕張のエリートで優勝した渡部春雅(駒澤大学高等学校)が有力。中島瞳(Limited Team 846/KURE)もJCXエリートで好走し、瞬発的なパワーでは渡部を上回るような場面もあるが、総合力では渡部が勝るか。



JCFシクロクロス小委員会委員長 三船雅彦氏コメント

「大会を前にした木曜日、ようやく全日本選手権に向けておおむねコースが完成しました。初めて飯山でシクロクロスが開催された際にお手伝いさせていただき、それから10年が経過し10回目のシクロクロスの大会、2015年以来2度目の全日本選手権開催になります。ここ長峰スポーツ公園のコースはほぼ完成されていると言えるコースですが、新たにキャンバーの登りからのテクニカルなダウンヒル区間が追加されています。森林区間は体力を削がれるというよりは集中力を要するセクションですが、今回のキャンバー区間はテクニックもさることながらパワーを要する、そして休めていた区間がなくなるので非常にタフなコースになったと思います。

新設された高低差のあるキャンバー区間。現地はドライ(11/27時点)新設された高低差のあるキャンバー区間。現地はドライ(11/27時点) photo:Satoshi ODA/Kasukabe Vision FILMz
今回の大会開催のため、飯山市さんにはコロナ渦において非常に多大な尽力をいただき開催にこぎつけられました。JCF側の立場として飯山市さんとの調整にも携わらせていただきましたが、他の大会が軒並み中止になり、この大会が飯山市で春以降に行われる最初のビッグイベントとなりました。年明け2月にはインターハイが控えているそうですが、この全日本選手権シクロクロスが成功するか否かは、今後インターハイを開催される飯山市さんにとっても、我々JCFにとっても重要で大きなプレッシャーです。そのためには、選手をはじめ観客の皆さんにもご協力いただくことがあります。是非無事に大会が成功するよう、シクロクロス小委員会の委員長としても改めて皆さんにお願いしたく思います。 真の勝者を決めるにはふさわしいコースは整っています。あとは選手の皆さんの素晴らしい走りに期待しています。」

公益財団法人日本自転車競技連盟(JCF)シクロクロス小委員会委員長 三船雅彦
(本インタビューは11/26木曜夜に行いました。)



この大会は現地での観戦が可能だ。ただし、参加者、関係者のみでなく、観戦者も健康管理申告書の提出が必要となる。書類はJCFの大会ページからダウンロード可能。検温結果と個人情報を記した書類を本部受付に提出してから観戦可能となる。来場前に書類を準備して、受付の混雑と密を避けてほしい。

また日曜の 10:20よりUCIカテゴリ(MU、WE、ME)はJCFのYOUTUBEチャンネルでライブ視聴が可能だ。
https://www.youtube.com/c/JCF_cycling/

現在「2020 全日本選手権 シクロクロス 飯山大会」ティザー編が公開されている。
https://www.youtube.com/watch?v=lf8Ci7f7Uzw

text:Satoshi ODA
取材協力:AJOCC
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