EFプロサイクリングが「第2週目をもってジロ・デ・イタリアを終了すべき」という提案を、UCI(国際自転車競技連合)やRCSスポルト(レース主催者)らに提出。しかしUCIは即座に却下する声明を発表。選手などからはレースの安全を不安視する声が上がっている。



現在マリアローザを着用するホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)現在マリアローザを着用するホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos
開催中のジロ・デ・イタリアでCOVID-19陽性者が複数出たことを受け、EFプロサイクリングは10月15日、ジロ・デ・イタリアを第15ステージ(2回目の休息日前日)で中断するなどの提案をまとめた文書を、UCI(国際自転車競技連合)やRCSスポルト(ジロ主催者)などに向け提出した。

しかし、UCIは即座に「関係者全員が可能な限り安全なレースになるよう心がけている」と提案を却下。UCI会長のダヴィ・ラパルティアン氏は「いま直面している課題は、協力と団結の精神で乗り越えることができる」とコメントした。

またEFプロサイクリングの提案書には、2回目の休息日(10月19日)までに少なくとも2回のPCR検査の実施という要望も記載されており、RCSスポルトは10月15日(木)と16日(金)に追加検査を行う旨を発表した。

これまでジロ・デ・イタリアでは選手3名、スタッフ6名に陽性反応が出ており、ミッチェルトン・スコットとユンボ・ヴィスマが自主的にレースから撤退している。

スタートライン整列前にマスクを捨てるウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)スタートライン整列前にマスクを捨てるウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) photo:CorVos
自主的PCR検査によって最初の陽性者となったサイモン・イェーツ(イギリス)が所属するミッチェルトン・スコットは、直後の検査で同チームの選手やスタッフが全員陰性だったためレースを継続。しかし二日後の検査でスタッフ4名から陽性反応が検出され、レースから自主的に撤退した。またステフェン・クライスヴァイク(オランダ)の陽性が発覚したユンボ・ヴィスマも、その例にならいチームとして棄権する決断を下している。

一方で、マイケル・マシューズ(オーストラリア)に陽性反応が出たサンウェブは、それ以外の選手たちでレースを続行しており、監督のルーク・ロバーツ氏は「基本的にここにやってくる前にUCIや主催者と合意したルール、ステージレースのプロトコルに従っているだけだ」と語っている。なおマシューズは無症状で、2回目のPCR検査では陰性反応が出ている。

チームから1人でも陽性者が出た場合に撤退を表明しているEFプロサイクリグチームから1人でも陽性者が出た場合に撤退を表明しているEFプロサイクリグ photo:CorVos
ちなみにEFプロサイクリングは、今後の検査でチームから1人でも陽性者が出た場合はジロ・デ・イタリアから撤退するとも表明している。

レースに対する不安の声はレースを走る選手たちからも上がっている。選手から一人の感染者も出ないまま終了したツール・ド・フランスから連戦しているトーマス・デヘント(ベルギー、 ロット・スーダル)は、母国メディアに対して「出走するべきかどうか、チームメイトと20分に及ぶ話し合いをした。その理由は十分に安全だと感じることができないからだ」と現在の心境を語っている。

最終ステージが行われるミラノまでの道のりに暗雲が立ち込めているジロ・デ・イタリア。10月15日の朝には、ジロに先駆けて行われたE-BIKEのレースに携わった警察官17人から陽性反応が出たことが明らかになっている。

text:Sotaro Arakawa

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