アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)不在のクイーンステージ終盤にエリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)とアンナ・ファンデルブレヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス)が独走。それぞれの目標を射止めた。



クイーンステージでアタック合戦が長期化。レース半ばまでアタックと吸収が続いたクイーンステージでアタック合戦が長期化。レース半ばまでアタックと吸収が続いた photo:CorVos
カステルヌオーヴォ・デッラ・ダウニアからサン・マルコ・ラ・カートラまで、ジグザグにプッリャ州の山岳地帯を走るジロ・ローザ8日目のクイーンステージ。中盤に距離6.6kmの2級山岳を越え、20kmに及ぶダウンヒルを経て距離5.6km/平均勾配8.1%の2級山岳を登り詰めてフィニッシュする、今大会最初にして最大の本格山岳フィニッシュだ。

前日最終盤の落車で手首を折ったディフェンディングチャンピオンのアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)がマリアローザを着用したまま舞台を去り、代わって首位となったカタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム)がアンナ・ファンデルブレヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス)に15秒差でクイーンステージに挑むことに。絶対的エースを失ったミッチェルトン・スコットは、ルーシー・ケネディ(オーストラリア)のステージ優勝を狙う作戦へとシフトした。

先頭グループを形成するリサ・ブレナウアー(セラティツィット・WNTプロサイクリング)ら先頭グループを形成するリサ・ブレナウアー(セラティツィット・WNTプロサイクリング)ら photo:CorVos
様々な思惑が混ざり合いながら始まった91.5kmのレースでは、序盤のアタック合戦が長期化した。距離半分を消化し、山岳区間でようやく生まれた先頭グループの人数は9名。アメリカ王者のルス・ウィンダー(トレック・セガフレード)、ドイツ王者リサ・ブレナウアー(セラティツィット・WNTプロサイクリング)、コリン・リヴェラ(アメリカ、サンウェブ)、ポーリーナ・ローイヤッケル(オランダ、CCC・リブ)といった力のある選手たちが入り、リベンジに燃えるミッチェルトン・スコットのケネディもこの中に入った。

しかし、最終山岳での総合争いに意気込むメイン集団の勢いが優った。エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)のステージ優勝&総合ジャンプアップを目指すトレック・セガフレードの牽引によって麓区間で逃げを捉え、本格的な勾配区間が始まるや否や集団が分裂。1kmも登らないうちに先頭は総合上位陣ばかりのわずか9名に絞られた。

標高200mの麓から、標高676mの街サン・マルコ・ラ・カートラを目指す2級山岳で、UCIウィメンズワールドツアーリーダーのエリザベス・ダイグナン(イギリス、トレック・セガフレード)がペースメイク。総合6位アシュレー・ムールマン(南アフリカ、CCC・リブ)がこぼれ落ちていく中、残り3.5kmで総合2位ファンデルブレヘンが仕掛けた。

最後の2級山岳で抜け出すエリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)とアンナ・ファンデルブレヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス)最後の2級山岳で抜け出すエリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)とアンナ・ファンデルブレヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス) photo:TREK-Segafredo/GettySport
「ニエウィアドーマに対して差を付けようと全力で踏み込んだ」と言うオランダ王者の動きに対応できたのはロンゴボルギーニとヤングライダー賞首位&総合4位ミカイラ・ハーヴィー(ニュージーランド、エキップ・ポール カ)のみで、ニエウィアドーマと総合3位セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJヌーヴィルアキテーヌ・フュチュロスコープ)は遅れを取った。

一騎打ちを制したエリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)一騎打ちを制したエリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:TREK-Segafredo/GettySport
総合首位浮上に成功したアンナ・ファンデルブレヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス)総合首位浮上に成功したアンナ・ファンデルブレヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス) photo:CorVosカタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム)は1分半遅れ、マリアローザを手放すことにカタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム)は1分半遅れ、マリアローザを手放すことに photo:CorVos


ハーヴィーを振り落としたロンゴボルギーニとファンデルブレヘンはニエウィアドーマに40秒リードで尾根上の短い下りに入り、最後の勾配へ。ステージ優勝を目指して攻撃を仕掛け合うものの決まらず、曲がりくねった石畳のフィニッシュ地点へ。先行有利のレイアウトで早駆けしたロンゴボルギーニが自身初となるジロ・ローザのステージ優勝を射止めた。

ここまで9年間に渡る挑戦の末に、ようやく念願叶ってステージ優勝をたぐり寄せたロンゴボルギーニ。「チームの走りが完璧で信じられないような結果に繋がった。全員一緒に集団先頭を固めて全てをコントロール下に置いた。今朝はチーム内にステージを勝てるような、多分人生で数回あるかないかの不思議な感覚が流れていた」とロンゴボルギーニは話している。

ジロ・ローザ初勝利を挙げたエリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)ジロ・ローザ初勝利を挙げたエリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:TREK-Segafredo/GettySport
マリアローザを射止めたアンナ・ファンデルブレヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス)マリアローザを射止めたアンナ・ファンデルブレヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス) photo:CorVos
ニエウィアドーマは先頭2人から1分半遅れたため、このクイーンステージでファンデルブレヘンが総合首位浮上に成功。「最後はステージ優勝を獲るだけのパンチ力が足らなかったけれど作戦が上手くいった。このタフなジロ・ローザ最終日の展開を注意深く見極めていきたい」と、2015年、2017年に続く3度目のジロ・ローザ総合優勝に王手をかけたファンデルブレヘンは語っている。

ジロ・ローザ2020第8ステージ結果
1位 エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) 2:33:57
2位 アンナ・ファンデルブレヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス)
3位 ミカイラ・ハーヴィー(ニュージーランド、エキップ・ポール カ) 0:31
4位 カトリーヌ・アーレルッド(ノルウェー、モビスター) 1:06
5位 セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJヌーヴィルアキテーヌ・フュチュロスコープ) 1:29
6位 カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム)
7位 ポーリーナ・ローイヤッケル(オランダ、CCC・リブ)
8位 リアヌ・リッパート(ドイツ、サンウェブ) 1:31
9位 マルタ・カヴァッリ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス) 1:52
10位 ソフィア・ベルティッツォーロ(イタリア、CCC・リブ) 1:58
個人総合成績
1位 アンナ・ファンデルブレヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス) 23:05:37
2位 カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム) 1:10
3位 エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) 2:23
4位 セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJヌーヴィルアキテーヌ・フュチュロスコープ) 2:25
5位 ミカイラ・ハーヴィー(ニュージーランド、エキップ・ポール カ) 2:51
6位 アシュレー・ムールマン(南アフリカ、CCC・リブ) 4:48
7位 マビ・ガルシア(スペイン、アレ・BTCリュブリャナ) 5:58
8位 アン・サンテステバン(スペイン、セラティツィット・WNTプロサイクリング) 6:17
9位 マリアンヌ・フォス(オランダ、CCC・リブ) 7:29
10位 エリザベス・バンクス(イギリス、エキップ・ポール カ) 7:49
その他の特別賞
山岳賞 セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJヌーヴィルアキテーヌ・フュチュロスコープ)
ポイント賞 マリアンヌ・フォス(オランダ、CCC・リブ)
ヤングライダー賞 ミカイラ・ハーヴィー(ニュージーランド、エキップ・ポール カ)
チーム総合成績 CCC・リブ
text:So Isobe
photo:CorVos

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