2009年3月20日、大阪府吹田市万博公園において第1回全日本実業団サイクルロードレースが開催され、BR1はクラブシルベストがレースをコントロールし、井上人志(クラブシルベスト)が優勝。FRは風間千嘉(スミタラバネロ)、ERは所司純一(TEAM☆ルパン・ttm)がそれぞれ優勝を飾った。

「太陽の塔」でお馴染みの万博公園を駆け抜ける「太陽の塔」でお馴染みの万博公園を駆け抜ける photo:Kei Tsuji実業団レースの2009年シーズンが開幕。万博公園の周回路を利用して「第1回全日本実業団サイクルロードレース普及大会」が開催された。コースはブーメラン型の一本道を往復する1周4.8kmの周回。コースの両端で180度Uターンする。ゴール前のラスト400mは上り基調だ。

BR1は予選2組が行なわれ、15名ずつが勝ち上がって30名の決勝。6周回で行なわれたレースは4名(山崎敏正、猪又靖、鎌谷哲也、井上人志)を揃えたクラブシルベストがレースをコントロールした。序盤からトラクターRCが積極的にアタックを繰り返したが、クラブシルベストがこれを封じて行く。

BR1 松田浩輝(トラクターRC)や山本良介(MUUR ZERO)がアタックするが、クラブシルベストがチェックに入るBR1 松田浩輝(トラクターRC)や山本良介(MUUR ZERO)がアタックするが、クラブシルベストがチェックに入る photo:Kei Tsuji中盤には北京五輪トライアスロン日本代表の山本良介(MUUR ZERO)がアタックを成功させて独走したが、1周半後に吸収される。最終周回に入ると隊列を組んだクラブシルベストが集団先頭に上がり、ラスト300mから始まる上りで井上人志がスプリントを開始した。

チームメイトに発射された井上人志は、川本憲一(ベロチスタタニムラ)や佐野伸弥(MINOURA大垣レーシング)らと激しいスプリントバトル。力勝負を制し、先頭でゴールに飛びこんだ。

BR1 上りでスプリントを繰り広げる井上人志(クラブシルベスト) らBR1 上りでスプリントを繰り広げる井上人志(クラブシルベスト) ら photo:Kei Tsuji実はこの日が22歳の誕生日だった井上。勝利に大きく貢献したクラブシルベストの山崎店長は「最初から隊列の順番を決めて井上君で優勝を狙っていた」と語る。

ゴール後、涙に崩れた井上は「この勝利はチームメイトのおかげ」と繰り返す。表彰台の勝利者インタビューでは「この万博公園の周辺はいつも練習で使っているホームコース。それだけにとても嬉しい」と語った。

ER ゴールスプリントを制した所司純一(TEAM☆ルパン・ttm)ER ゴールスプリントを制した所司純一(TEAM☆ルパン・ttm) photo:Kei Tsuji今シーズンの目標を聞くと「チーム(クラブシルベスト)の目標はJグランプリの連覇。個人の目標はBR1のランキングトップ」と意気込む。「次戦は白浜エアポートクリテリウム(4月12日)。今日アシストしてくれた鎌谷選手の地元なので、今度はアシストとして勝利に貢献したい」と語った。

予選4組が行なわれたERは、5名ずつが勝ち上がって20名で決勝。予選4組目を独走でトップ通過した江藤真輔(ACQUA TAMA)らが序盤から積極的に動いたが、最後はスプリント勝負に持ち込まれ、所司純一(TEAM☆ルパン・ttm)が勝利を収めている。

FR 上りスプリントを制した風間千嘉(スミタラバネロ)FR 上りスプリントを制した風間千嘉(スミタラバネロ) photo:Kei Tsuji今シーズン最初のJフェミニンリーダージャージ着用者を決めるFRは14名でスタート。最後まで集団は崩れず、集団スプリントで福本千佳(Ready Go JAPAN)らを下した風間千嘉(スミタラバネロ)が優勝を飾っている。

ピンクのJフェミニンリーダージャージを獲得した風間は「上りは苦手だけど、得意な平坦レースではジャージを守りたい。これからも上位に絡めるようにトレーニングに励みたい」と語った。

JCFエリート/U23 スプリントを制した福田高志(大阪経済大学)JCFエリート/U23 スプリントを制した福田高志(大阪経済大学) photo:Kei Tsuji大阪府自転車競技連盟が開催した「第1回サイクルロードレース」のJCFレースは、エリート/U23、マスター、女子/ジュニアの4レースが開催。JCFエリート/U23は計23名がスタートしたが、周回を重ねる毎に人数を減らしていく。

最後は12名の集団によるスプリントバトルが繰り広げられ、2008年大学生ロードレースシリーズ総合3位の福田高志(大阪経済大学)が、U23ながらエリートとのバトルを制して優勝。片手を挙げてゴールに飛び込んだ。スプリントで2位に入った辻俊行(TACURINO-KS-Material)がエリート優勝。辻俊行はキャリア15年目にして初勝利だ。

JCFマスターは、最終レースのBR1決勝でも活躍した猪又靖(クラブシルベスト)が、スプリントで伊藤高明(Team Sakatani Racing)や田中謙一(ZippyタケウチRC)を下して優勝。

JCFジュニアはスプリントで先行した益本創志(クラブシルベスト)を、福井響(la passion)がゴール寸前で刺しきって勝利。同時スタートのJCF女子は、終始ジュニアの集団内で走った福本千佳(Ready Go JAPAN)が優勝を飾っている。

BR1決勝(6周回)
1位 井上人志(クラブシルベスト)42'46"(Ave40.4km/h)
2位 川本憲一(ベロチスタタニムラ)
3位 佐野伸弥(MINOURA大垣レーシング)
4位 釼持草(大阪産業大学)
5位 太田貴明(ストラーダレーシング)
6位 作田大祐(スミタラバネロ)
7位 福永誠(ETNA CICLE NETWORK)
8位 中西一太郎(チーム岡山)
9位 若杉厚仁(spacebikes.com)
10位 村田進(BREZZAカミハギRT)
ポイント賞 川本憲一(ベロチスタタニムラ)

ER決勝(5周回)
1位 所司純一(TEAM☆ルパン・ttm)36'41"(Ave39.25km/h)
2位 高塚亮輔(spacebikes.com)
3位 丸山英将(SQUADRA CORSA cicli HIDE)
4位 苗村徹(クラブシルベスト)
5位 大鹿裕一(Team Comrade)
ポイント賞 江藤真輔(ACQUA TAMA)

FR決勝(3周回)
1位 風間千嘉(スミタラバネロ)24'42"(Ave34.96km/h)
2位 福本千佳(Ready Go JAPAN)
3位 堀記理子(クラブシルベスト)
4位 青木房江(VOLCAオードビーBOMA)
5位 矢崎麻里(クラブシルベスト)
ポイント賞 中村由香里(ナカガワAS.K'デザイン)

JCF エリート(5周回)
1位 辻俊行(TACURINO-KS-Material)35'07"(Ave40.98km/h)
2位 松木健治(クラブシルベスト)+02"
3位 永山貴浩(大阪産業大学)
4位 萩田浩行(ベロチスタタニムラ)
5位 岩月伸夫

JCF U23(5周回)
1位 福田高志(大阪経済大学)35'07"(Ave41.00km/h)
2位 嶋田正勝(龍谷大学)+03"

JCFマスター(4周回)
1位 猪又靖(クラブシルベスト)29'36"(Ave38.91km/h)
2位 伊藤高明(Team Sakatani Racing)
3位 田中謙一(ZippyタケウチRC)
4位 和坂素材(サニーサイドレーシング)
5位 安東秀倫(チーム岡山)

JCジュニア(3周回)
1位 福井響(la passion)23'16"(Ave37.13km/h)
2位 益本創志(クラブシルベスト)
3位 野久保良一(大阪産業大学附高)
4位 河野一誠(大阪産業大学附高)+08"
5位 松田智史(大阪産業大学附高)

JCF女子(3周回)
1位 福本千佳(Ready Go JAPAN)23'53"(Ave36.17km/h)
2位 元砂七夕美(松原中学校)+3'29"

text&photo:辻啓