2020/09/02(水) - 14:30
マヴィックのロードチューブレスタイヤ「イクシオンプロUST」がバージョン2へとアップデート。コンパウンドを刷新することで耐摩耗性と耐パンク性を強化している。優れた乗り心地とグリップ、そして軽い転がりをバランスした高性能チューブレスタイヤをテストした。
マヴィックの提唱するロードUST規格に専用設計されたタイヤとして誕生した「イクシオンプロUST」。マヴィックの現行ラインアップでは多くのホイールに標準装備されており、メンテナンス性の高さなどロードUSTならではのメリットを存分に引き出しているタイヤでもある。もちろん単体でも販売されているが、2020モデルからマイナーチェンジが加わり「イクシオンプロUST II」として登場している。
このモデルチェンジでは、コンパウンドの刷新によって性能向上を図った。従来の11STORM(イレブンストーム)からマヴィック独自のコンパウンドへと変更したという。引き続きチューブレスタイヤに一日の長があるハッチンソンとの共同開発体制を維持しており、そのノウハウが詰め込まれた新しいコンパウンドへと進化している。
新コンパウンドの特徴としては、従来モデルで好評だった低い転がり抵抗や優れたグリップ力などはそのままに、耐摩耗性や耐パンク性を強化したという。より長く安全に使えるタイヤとしてロングライフ性能を向上させた。左右から斜めに溝を切るトレッドパターンは前作同様のデザインで、走行中の排水性やグリップ向上を狙っている。
タイヤ自体はチューブレスレディタイプで、30~40mlのシーラントを入れて使用することで気密性を高め、より低い空気圧での運用を可能とする。チューブが無いことでリム打ちパンクのリスクもなく、万が一パンクしてもシーラントが穴を塞いでくれるため走行不能になる心配もない。
また、マヴィックのUSTホイール&タイヤはETRTO規格に沿った設計とすることで嵌合精度を高め、空気漏れやビードが上がりにくいといったチューブレス特有の問題をクリア。マヴィックホイールと高いマッチングを見せることはもちろん、他メーカーでもETRTO規格準拠のホイールであれば使用は問題ないとしている。
ミニマルグラフィックとされたマヴィックホイールに合わせて、タイヤロゴなどもシンプルなデザインに。25Cと28Cの2サイズ展開で、価格は8,500円(税抜)だ。今回はイーストンのロードチューブレスホイール「EA90 SLX」に28Cを組み合わせてテストしてみた。
― 編集部インプレッション
マヴィックのロードUSTホイールを使っている人ならお馴染みのイクシオンプロUST。ロードチューブレスをより身近にしたタイヤとして、国内でも多くのサイクリストが愛用していることだろう。マヴィックホイールと合わせたときの運用のしやすさはチューブレスに対するハードルをグッと下げてくれ、「チューブレスタイヤは扱いにくいもの」というイメージの払拭にも一役買ったモデルである。
その進化版であるイクシオンプロUST IIは、手に取ったときのトレッドの肉厚感からコンパウンドの変化を感じ取ることができた。表面の質感などは変わらないものの、明らかに厚みのあるトレッドはすり減りを気にさせることなく、かつ路面からの衝撃によるパンクもしにくそうな安心感がある。
装着のしやすさやビードの上げやすさは前作同様で、タイヤレバーも必要なく素手で嵌められフロアポンプで簡単に空気を充填することができた。この辺りのユーザビリティの高さはETRTO規格をキッチリ守ったマヴィックならではの良さだ。
空気圧はマヴィックがリリースしている「My Mavic」アプリに従って設定してみる。テストした28Cサイズ、体重55kg、内幅17mmのC17リムという条件で推奨空気圧はフロント4.3bar、リア4.4barと驚くほど低い値に。普段クリンチャータイヤで7barという人からしたら、大丈夫なの?と不安になる数値かもしれないが、これが全く問題なく、転がりが重いとかコーナーが不安とかそういったネガティブ要素は皆無である。
走った時の感触は旧モデルのイクシオンプロUSTと変わらない。まず際立って感じるのが乗り心地の良さだ。柔らかな弾力感のあるトレッドのため、表現するならモチモチ・ふわふわしたような優しいフィーリングがある。路面からの細かな振動をカットしてくれ、かつ大きな衝撃は角が取れたように伝わってくるため、体へのストレスも少なく疲労軽減に貢献してくれる印象だ。
路面に対する優れたトラクションや接地感もこのタイヤの大きな特徴だと感じる。細かな段差でもタイヤが弾かれることなく路面に追従してくれるため、安心してバイクコントロールができるほか、バイクを倒し込んでもスリップするような恐怖感は全く無い。バイクが路面から跳ねないことで、スピードを落とさずパワーロスもなくペダリングしていける点も心地よい走行感に寄与している。
また、今回テストした28Cというサイズに着目すると、乗り心地やバイクの安定感は25Cより遥かに高いと断言できる。エアボリュームが増したことでより滑らかな走行感を獲得しており、アスファルトの割れ目や凹凸なども全く気にならない。舗装が綺麗になったのかと勘違いするほど快適で、ロングライドなどを楽しむ一般ライダーであればもはや選ばない手はないだろう。もちろん太くなることで重量は増しており、漕ぎ出しの軽さや反応性という面では少々劣るものの、それ以上に乗り心地の良さに感動できる仕上がりだ。
タイヤが太いことで路面を「掴んでいる」感覚も大きく、ハイスピードの下りコーナーでも怖さは一切なかった。コントロールを失ったりスリップをしたりする心配は少なく、走行中の安心にも繋がってくる。安全面においてもその有用性は大きいはずだ。
もちろんチューブレスらしい軽い転がり感も健在。スピードに乗ってしまえばスーッと巡航速度が落ちないようなスムーズな走りが味わえる。空気圧を上げ下げして走り心地を試したが、6bar近くまで上げると路面を滑るような軽い転がり感に変化するものの、乗り心地の硬さやコーナーで接地感の薄さを感じてしまい、なんとなくこのタイヤの良さを消してしまっているような感覚がある。
個人的には4bar台の低い空気圧で最もバランスが良いと感じたし、マヴィックアプリで推奨される値とあってブランドとしてもそこを狙って開発しているのだろう。チューブレスレディホイールが広く浸透した昨今、レースからサイクリングまでオールラウンドに使える快適性の高いタイヤとして、イクシオンプロUST IIも選択肢に入れてみてはどうだろうか(CW編集部・村田)。
マヴィック イクシオンプロUST II
タイヤタイプ:チューブレスレディ
ケーシング:127TPI
サイズ:700x25C、700x28C
実測重量:308g(28C)
価格:8,500円(税抜)
impression&photo:Yuto Murata
マヴィックの提唱するロードUST規格に専用設計されたタイヤとして誕生した「イクシオンプロUST」。マヴィックの現行ラインアップでは多くのホイールに標準装備されており、メンテナンス性の高さなどロードUSTならではのメリットを存分に引き出しているタイヤでもある。もちろん単体でも販売されているが、2020モデルからマイナーチェンジが加わり「イクシオンプロUST II」として登場している。
このモデルチェンジでは、コンパウンドの刷新によって性能向上を図った。従来の11STORM(イレブンストーム)からマヴィック独自のコンパウンドへと変更したという。引き続きチューブレスタイヤに一日の長があるハッチンソンとの共同開発体制を維持しており、そのノウハウが詰め込まれた新しいコンパウンドへと進化している。
新コンパウンドの特徴としては、従来モデルで好評だった低い転がり抵抗や優れたグリップ力などはそのままに、耐摩耗性や耐パンク性を強化したという。より長く安全に使えるタイヤとしてロングライフ性能を向上させた。左右から斜めに溝を切るトレッドパターンは前作同様のデザインで、走行中の排水性やグリップ向上を狙っている。
タイヤ自体はチューブレスレディタイプで、30~40mlのシーラントを入れて使用することで気密性を高め、より低い空気圧での運用を可能とする。チューブが無いことでリム打ちパンクのリスクもなく、万が一パンクしてもシーラントが穴を塞いでくれるため走行不能になる心配もない。
また、マヴィックのUSTホイール&タイヤはETRTO規格に沿った設計とすることで嵌合精度を高め、空気漏れやビードが上がりにくいといったチューブレス特有の問題をクリア。マヴィックホイールと高いマッチングを見せることはもちろん、他メーカーでもETRTO規格準拠のホイールであれば使用は問題ないとしている。
ミニマルグラフィックとされたマヴィックホイールに合わせて、タイヤロゴなどもシンプルなデザインに。25Cと28Cの2サイズ展開で、価格は8,500円(税抜)だ。今回はイーストンのロードチューブレスホイール「EA90 SLX」に28Cを組み合わせてテストしてみた。
― 編集部インプレッション
マヴィックのロードUSTホイールを使っている人ならお馴染みのイクシオンプロUST。ロードチューブレスをより身近にしたタイヤとして、国内でも多くのサイクリストが愛用していることだろう。マヴィックホイールと合わせたときの運用のしやすさはチューブレスに対するハードルをグッと下げてくれ、「チューブレスタイヤは扱いにくいもの」というイメージの払拭にも一役買ったモデルである。
その進化版であるイクシオンプロUST IIは、手に取ったときのトレッドの肉厚感からコンパウンドの変化を感じ取ることができた。表面の質感などは変わらないものの、明らかに厚みのあるトレッドはすり減りを気にさせることなく、かつ路面からの衝撃によるパンクもしにくそうな安心感がある。
装着のしやすさやビードの上げやすさは前作同様で、タイヤレバーも必要なく素手で嵌められフロアポンプで簡単に空気を充填することができた。この辺りのユーザビリティの高さはETRTO規格をキッチリ守ったマヴィックならではの良さだ。
空気圧はマヴィックがリリースしている「My Mavic」アプリに従って設定してみる。テストした28Cサイズ、体重55kg、内幅17mmのC17リムという条件で推奨空気圧はフロント4.3bar、リア4.4barと驚くほど低い値に。普段クリンチャータイヤで7barという人からしたら、大丈夫なの?と不安になる数値かもしれないが、これが全く問題なく、転がりが重いとかコーナーが不安とかそういったネガティブ要素は皆無である。
走った時の感触は旧モデルのイクシオンプロUSTと変わらない。まず際立って感じるのが乗り心地の良さだ。柔らかな弾力感のあるトレッドのため、表現するならモチモチ・ふわふわしたような優しいフィーリングがある。路面からの細かな振動をカットしてくれ、かつ大きな衝撃は角が取れたように伝わってくるため、体へのストレスも少なく疲労軽減に貢献してくれる印象だ。
路面に対する優れたトラクションや接地感もこのタイヤの大きな特徴だと感じる。細かな段差でもタイヤが弾かれることなく路面に追従してくれるため、安心してバイクコントロールができるほか、バイクを倒し込んでもスリップするような恐怖感は全く無い。バイクが路面から跳ねないことで、スピードを落とさずパワーロスもなくペダリングしていける点も心地よい走行感に寄与している。
また、今回テストした28Cというサイズに着目すると、乗り心地やバイクの安定感は25Cより遥かに高いと断言できる。エアボリュームが増したことでより滑らかな走行感を獲得しており、アスファルトの割れ目や凹凸なども全く気にならない。舗装が綺麗になったのかと勘違いするほど快適で、ロングライドなどを楽しむ一般ライダーであればもはや選ばない手はないだろう。もちろん太くなることで重量は増しており、漕ぎ出しの軽さや反応性という面では少々劣るものの、それ以上に乗り心地の良さに感動できる仕上がりだ。
タイヤが太いことで路面を「掴んでいる」感覚も大きく、ハイスピードの下りコーナーでも怖さは一切なかった。コントロールを失ったりスリップをしたりする心配は少なく、走行中の安心にも繋がってくる。安全面においてもその有用性は大きいはずだ。
もちろんチューブレスらしい軽い転がり感も健在。スピードに乗ってしまえばスーッと巡航速度が落ちないようなスムーズな走りが味わえる。空気圧を上げ下げして走り心地を試したが、6bar近くまで上げると路面を滑るような軽い転がり感に変化するものの、乗り心地の硬さやコーナーで接地感の薄さを感じてしまい、なんとなくこのタイヤの良さを消してしまっているような感覚がある。
個人的には4bar台の低い空気圧で最もバランスが良いと感じたし、マヴィックアプリで推奨される値とあってブランドとしてもそこを狙って開発しているのだろう。チューブレスレディホイールが広く浸透した昨今、レースからサイクリングまでオールラウンドに使える快適性の高いタイヤとして、イクシオンプロUST IIも選択肢に入れてみてはどうだろうか(CW編集部・村田)。
マヴィック イクシオンプロUST II
タイヤタイプ:チューブレスレディ
ケーシング:127TPI
サイズ:700x25C、700x28C
実測重量:308g(28C)
価格:8,500円(税抜)
impression&photo:Yuto Murata
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