エリア・ヴィヴィアーニやNIPPOデルコ・ワンプロヴァンスをサポートするイタリアのシューズブランド、DMT。フラッグシップのKR1と同様の3Dニット生地とマイクロファイバーを組み合わせたアッパーを採用する「SH1」をピックアップする。



DMT SH1DMT SH1
エリア・ヴィヴィアーニの足元を支えるDMTのフラッグシップKR1。靴下のような柔軟性を備えた3Dニットをアッパーとして快適な着用感と通気性を実現した1足。そんな最上位グレードのテクノロジーを多く継承している1足が「SH1」だ。

継承している技術の最たる例はアッパーの3Dニットだ。ヴィヴィアーニと共に作り上げた三次元構造のニット生地をセカンドグレードに与えることで、KR1と同じ様な快適性などを獲得している。一方で全く同じ作りというわけではなく、3Dニットのみの構造とされているのはつま先、甲部分を含む前足部のみ。中足部からかかとにかけてはマイクロファイバーの生地という構成だ。

クロージャーは2つのBOAダイヤルという構成。足首に近い部分はバックルにBOAダイヤルが備えられるクロージャーは2つのBOAダイヤルという構成。足首に近い部分はバックルにBOAダイヤルが備えられる 足の甲部分はタンとアッパーが一体とされており、フィット感を高めている足の甲部分はタンとアッパーが一体とされており、フィット感を高めている

前足部はKR1と同様の3Dニット生地を使用する前足部はKR1と同様の3Dニット生地を使用する 土踏まずから後半部分がトラディショナルなシューズと同じマイクロファイバー生地のアッパーとされた土踏まずから後半部分がトラディショナルなシューズと同じマイクロファイバー生地のアッパーとされた


中足部以降にクラシカルな構造を採用することで、これまで履き慣れたシューズの着用感を実現する。それに加え前足部はヴィヴィアーニやNIPPOの活躍でその性能が証明されている3Dニットが用いられ、前足部はニットのメリットを享受できる設計だ。トラディショナルなシューズと、先進的なニットという2つの美点を一足で感じられるシューズに仕上げられている。

加えてクロージャーシステムもKR1が1つのBOAダイヤルという設定であることに対し、SH1では2つのBOAダイヤルという設計が採用されている。そのうちの1つ、足首に近いクロージャーをストラップとBOAのハイブリッド仕様とすることで、BOAのワイヤーによる締めつけ感を解消している。ワイヤーやダイヤルが足の甲に当たってストレスを感じる方でも使用しやすいはずだ。

アウトソールの剛性指数はKR1と同等だアウトソールの剛性指数はKR1と同等だ 42.5サイズの片足重量は258g42.5サイズの片足重量は258g


アウターソールの剛性指数は15とKR1と同等の数値とされているため、屈強なスプリンターのパワーをも受け止めてくれる剛性を期待できるだろう。重量は245g。カラーはブラック、ホワイトの2足。価格は39,000円(税抜)。



―編集部インプレッション

今回インプレッションするのはKR1に次ぐセカンドグレードに位置づけられる”SH1”。今年のツール・ド・フランスではアスタナのルイスレオン・サンチェスがサポート外製品であるSH1を使用していたこともあり、個人的にも気になっていたシューズだ。

アウトソールはKR1同等の剛性指数とされているため、スプリントでも高いパワー伝達性を発揮するアウトソールはKR1同等の剛性指数とされているため、スプリントでも高いパワー伝達性を発揮する
そんなSH1をKR1に続きCW編集部の高木がインプレッション。私が普段のレースやライドで履いているシューズはスペシャライズドの42サイズ。シマノやジロの場合では43サイズを選択している。また、足の幅が広いためシマノのシューズなどではワイドモデルを選んでいる。

SH1を試着するのにあたり借り受けたサイズは42.5。これまで様々なブランドのハーフサイズを実際に試着してきたが、どれもフィットせずハーフサイズを選択したことは無かった。今回はテストということもあり、ハーフサイズを借りてみたが、SH1ではどうやら42.5サイズがジャストフィット。イタリアンブランドは細身のものが多い印象を持っているが、DMT SH1は私の幅広の足でもすんなりと収まる。

SH1はパワフルに引き足を使う場面でもアッパー生地がよれないSH1はパワフルに引き足を使う場面でもアッパー生地がよれない
シューズのタンと一体化したシームレスニットアッパーは生地の段差が無く、生地全体が足の形に沿うように均一にフィットしてくれるのが魅力。ニットは程良い締め付け具合がありながら柔軟性が高く、足の甲が高い足でも圧迫感を感じにくい。このニットによる快適な履き心地がSH1とKR1に共通する美点だ。

KR1はもう一足ソックスを履いている感覚があるのに対し、SH1はトラディショナルな生地を使った後半部分にはホールド力がある。ニットによる柔軟性でシューズの圧迫感から開放されたKR1に対し、SH1はトラディショナルなシューズの履き心地が多くのサイクリストに合うはずだ。

アッパー前足部とタンが一体となっているため、快適なフィット感を得られるアッパー前足部とタンが一体となっているため、快適なフィット感を得られる
SH1のもう一つの魅力といえば、KR1には無いバックルがニットアッパーの伸びを抑えてくれるところだ。私は引き足を多用するので、ニットオンリーのKR1でスプリントした時にアッパーが数mm伸びる感覚が若干気になっていた。SH1の場合は引き足のパワーを受け止めてくれるため、力強く脚を引きつけるスプリントでも安心だ。

SH1とKR1はカーボンソールの剛性指数が同じと言うだけあり、脚に伝わる剛性感も同じ。踏み込んだ力が全て自転車に伝わる感覚はまさにヴィヴィアーニスペックだ。この2足で迷うならばアッパーの好みで選び分けると良いと思う。

SH1の踵周りには反射性のプリントが施されているSH1の踵周りには反射性のプリントが施されている
クロージャーはBOAダイヤルが2つとなっており、つま先側と足首側で独立して調整を行えるのが好印象。それぞれ締めたり緩めたりの両方向に微調整できるので、ライド中に足がむくんできても細かくフィッティングして、快適なフィット感で履き続けられる。また、ニットアッパーとアウトソールのつま先部分には通気口も設けられており、空気を取り込むことで足先の蒸れを防いでくれる。

SH1は価格だけ見ればKR1に次ぐセカンドグレードに位置づけられるが、ツールでルイスレオン・サンチェスが履いていたことや今回のテストで使用してみた印象では、実質KR1と並ぶトップグレードだと感じる。それぞれに良さがあり、程良いホールド感としなやかさを求めるならKR1、シューズにしっかりとしたホールド感を求めるのであればSH1がフィットするだろう。(CW編集部・高木)

DMT SH1
カラー:ブラック、ホワイト
サイズ:37~44(39.5~43.5までハーフサイズあり)
重量:245g
価格:39,000円(税抜)


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