全日本選手権中止を受けての選手コメント。第2回は、佐野淳哉(レバンテフジ静岡)、木村圭佑(シマノレーシング )、沢田桂太郎(チームブリヂストンサイクリング)のコメントを紹介する。



佐野淳哉(レバンテフジ静岡)
「もし私が判断する立場だとしても、開催中止という選択をしていたかもしれません」


今年発足の新チーム「レバンテフジ静岡」に加入した佐野淳哉(右から2人目)今年発足の新チーム「レバンテフジ静岡」に加入した佐野淳哉(右から2人目) photo:Satoru Kato
2014年 岩手県八幡平市での全日本選手権で優勝した佐野淳哉(那須ブラーゼン・当時)2014年 岩手県八幡平市での全日本選手権で優勝した佐野淳哉(那須ブラーゼン・当時) photo:Makoto.Ayano今回の全日本選手権の開催中止に関して、非常に残念に思っています。私の残り少ない選手生命(あと15年ほどでしょうか)を考えると、あと何回出場できるか分かりませんので、その貴重な機会の一つが失われたことは大きな損失です。

また、チームをサポートしてくださっているスポンサー様や、サポーター、自転車ファンの方々に自分達の活躍を見て頂けないということは、どの競技者にとっても悔しいものであると思います。ですが、今回の中止の決定に関しては素直に受け入れております。開催中止の判断に関しては賛否両論あると思いますが、JCF、開催予定地の自治体としても恐らくは苦渋の決断だったと思います。もし私が判断する立場だとしても、開催中止という選択をしていたかもしれません。

ただ、なぜ中止なのかということに疑問を抱く方がいたように見受けられましたし、私も少しそう思いました。その点については、中止報告と同時に、どのような経緯で開催中止の判断に至ったのかが明確に知らされていれば、理解を得られたのではないかと考えています。

今期に関しては私達も非常に苦しい状態が続いていますが、また予定通り各レースが開催されることを強く祈っています。



木村圭佑(シマノレーシング )
「シーズンの大きな目標である大会なので残念」


2019年全日本選手権 シマノレーシングのキャプテンとして入部正太朗の優勝をサポートした木村圭佑(前から3人目)2019年全日本選手権 シマノレーシングのキャプテンとして入部正太朗の優勝をサポートした木村圭佑(前から3人目) photo:Satoru Kato
全日本選手権中止は、シーズンの大きな目標である大会なので、残念という気持ちが大きいです。しかし、開催に向けてのリスク管理や対策の難しさを考えると仕方がないことだと中止決定を受け入れています。

刻一刻と変化していく状況の中で、レースの中止が相次ぎモチベーションの維持が厳しいですが、自転車競技に対する情熱を持ち続けることが大切だと思っています。選手やファンの皆様、大会関係者の方々が安心してレース活動が再開できる日を心待ちにしています。



沢田桂太郎(チームブリヂストンサイクリング)
「ジュニアやU23は限られた年数しか出場できない特別なレース」


2015年ジュニアの全日本優勝経験を持つ沢田桂太郎。U23でのタイトルも狙っていたが・・・2015年ジュニアの全日本優勝経験を持つ沢田桂太郎。U23でのタイトルも狙っていたが・・・ photo:Makoto.AYANO
全日本選手権が中止になったことはかなりショックでした。U23の4年目で今年1番狙っていたレースだったのでなおさら堪えました。

まず延期になった時点でピーキングの調整も考えなければならないと思いトレーニングをしていました。しかし全日本選手権が中止という情報が入ってきて今までやってきたことが無駄であったような気がしてしまって立ち直るまで少し時間がかかりました。今はシーズンインに向けてトレーニングを再開しています。

全日本選手権、しかもジュニアやU23は限られた年数しか出場することが出来ない特別なレースです。出来ることであれば東京五輪サッカーのようにU23カテゴリーの出場資格を23歳以下に、ジュニアの出場資格を18歳以下にして来年全日本選手権のレースを行えないものかと考えてしまいます。

全日本選手権以外のUCIレースや実業団のレースも次々と中止や延期が発表され、選手としてのモチベーションを保つのは非常に難しいシーズンであることは確かだと思います。しかし、こんな状況下でもレースを開催してくださる主催者の皆様、そして応援してくださる皆様のためにもそのレースで出せる力を出し切って戦うことが僕ら選手が感謝を伝える為にできることだと思います。レース数は少なく、そのほとんどが無観客でのレースになってしまうとは思いますが今後も応援よろしくお願いします。


text:Satoru Kato