バーチャル上で超級山岳ヌフェネン峠を登るデジタル・スイス5の3日目にニコラス・ロッシュ(アイルランド、サンウェブ)が独走勝利を飾った。



デジタル・スイス5 第3レースデジタル・スイス5 第3レース (c)VirtualTraining自宅のベランダから参加したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)自宅のベランダから参加したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) チーム公式Twitterより中止に追いやられたツール・ド・スイスに代わるバーチャルレース「デジタル・スイス5」の第3レースの舞台は、ツール・ド・スイス第6ステージで通過を予定していたスイス国内の舗装路峠で最高標高を誇る超級山岳ヌフェネン峠を目指す33.54km。スタート直後から8%もの勾配が登場し、長い緩斜面を経て標高2478m地点のフィニッシュをバーチャルで目指す。

第3レースにはイルヌール・ザカリン(ロシア、CCCチーム)やダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマ・FDJ)、ダン・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)、イェーツ兄弟(イギリス、ミッチェルトン・スコット)、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)といった登りを得意とする選手たちもラインナップ。スイスナショナルチームからはかつて本戦への出場経験を持つクロスカントリーMTB世界王者ニノ・シューター(スイス、スコット・スラム)も出場した。

レースは序盤から一人圧倒的なワットを刻んだ(6〜8W/kg)ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール・ラモンディアール)が独走したものの、登りに入ったところでレースから消滅。ワット数を正確に計測するためのキャリブレーションに問題を抱えていたとのことで失格扱いとなり、これで単独追走していたニコラス・ロッシュ(アイルランド、サンウェブ)が先頭に立った。

「すぐ後ろにクフィアトコフスキやザカリン、ワーバスがいたので登りでペースを緩めることができなかった。彼らとの差を広げることはできなかったけれど、淡々とペースを刻んで前を走り続けることができた。思っていたよりもフィニッシュまで長くて苦しい時間が続いた。特にラスト3kmは恐ろしいほどだった」と振り返るロッシュはその後もペースを弱めず、最終的にザカリンを1分10秒、ワーバスを1分17秒引き離して勝利した。

独走でヌフェネン峠を駆け上がるニコラス・ロッシュ(アイルランド、サンウェブ)独走でヌフェネン峠を駆け上がるニコラス・ロッシュ(アイルランド、サンウェブ)
「すごく嬉しい。僕たちチームにとってもいい結果になった。いい結果を出したかったし上手くいって良かった」と語るロッシュ。ロッシュは事前にトレーニングプログラムをバーチャルレース用に切り替えており、それが功を奏した形になった。

なおソフトウェアをサポートしているROUVYによれば、同じコースを使ったファンレースの最速タイムはロッシュから4分04秒遅れの1時間16分15秒だった。

デジタル・スイス5 第3レース結果
1位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サンウェブ) 1:12:11
2位 イルヌール・ザカリン(ロシア、CCCチーム) +1:10
3位 ラリー・ワーバス(アメリカ、アージェードゥーゼル・ラモンディアール) +1:17
4位 クリス・ハミルトン(オーストラリア、サンウェブ) +1:40
5位 ジェームス・ウィーラン(オーストラリア、EFプロサイクリング) +1:51
6位 ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、チームイネオス) +2:04
7位 ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・マクラーレン) +2:30
8位 ルイス・メインチェス(南アフリカ、NTTプロサイクリング) +2:54
9位 レイン・タラマエ(エストニア、トタル・ディレクトエネルジー) +3:08
10位 ギャビン・マニオン(アメリカ、ラリーサイクリング) +3:25
text:So.Isobe