新型コロナウィルスの世界的感染拡大をうけて東京オリンピック延期が正式に決まった。IOCバッハ会長と安倍総理、森五輪組織委員会会長が昨夜電話会談を行い意見が一致。遅くとも2021年夏までの実施に向けて検討に入る。




3月24日、午後8時00分から約45分間、安倍晋三内閣総理大臣と森喜朗東京2020組織委員会会長が、トーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長と電話会談を行った。

東京大会の通常開催を目指してきたIOCは22日に延期の検討を始め、4週間以内に結論を出すことを発表していたが、そのわずか2日後の24日、電話会議を経て一転、五輪史上初となる大会の1年程度の延期が決まった。

安倍総理、小池東京都知事、菅内閣官房長官、橋本東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣他同席のうえ決まった概要は以下のとおりだ(五輪組織委員会発表)。

1.双方は、アスリート、IF(各国国際競技連盟)、NOC(各国オリンピック委員会)等の意向に鑑み、大会中止が選択肢にはないことで一致した。

2.その上で、双方は、アスリート及び観客の安心・安全を確保することが最も重要であり、この観点から、現在の世界の状況が継続的に悪化していることに鑑み、予定どおり本年7月に開催することは不可能であり、更には年内に開催することも不可能であり、延期とせざるを得ない旨一致した。

3.上記の理解の下、双方は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の実施に向けて、IOCと、東京2020組織委員会、政府、東京都を始め、内外の関係機関が一体となり、遅くとも2021年夏までの実施に向けて、具体的に検討していくことで一致した。

バッハ会長はNHKとの単独インタビューに答えて次のように発言。「最初は日本の対策を見て大丈夫だと確信していたがその後、感染が世界中に広がり問題は日本がどうかというより世界中の国が参加できるかどうかに変わってきた。特にこの数日はアフリカや太平洋の島国、南米にも感染が広がって、各国が渡航禁止の措置をとりさらに懸念すべき事態となった。安倍総理大臣と電話会談を開き最善の策を考える事にした」。

延期を1年程度としたことについては「オリンピックは世界で最も複雑な大会だ。世界中から1万1000人の選手が参加し16日間で30以上の世界選手権を一緒にやるようなものだ。しかも選手は選手村で集団生活をする。たくさんの観客も関わる。巨大なジグソーパズルだ」「いま全世界の人類が暗いトンネルの中にいるが、オリンピックの聖火をそのトンネルの出口を照らす光にしたかった。東京オリンピックは人類がいまだかつてない難局を乗り切ったお祝いの場となる。世界の団結の象徴にしよう」と語っている。

決定を受けてトレック・セガフレードは「延期は正しい判断」とリリースで延期発表の支持を表明。現ロード世界チャンピオンのマッズ・ピーダスンの次のコメントが添えられている。

「延期は良かったと思う。スポーツはすべての人の健康を優先したうえで成り立つものだと思う。この決定を100%支持する。五輪のために計画的にシーズンを過ごしてきたアスリートにとっては良くないことだろう。しかし五輪主催者たちがギリギリまで引っ張らずに今決定したことは嬉しい。我々はスポーツの内・外どちらでも、もっと強くなって戻ってくるよ」(ピーダスン)。

なおUCI(世界自転車競技連合)は今回の発表を受け、3月18日付の声明で発表した4月末までレースを停止し、シーズンを11月まで延長する案について、関係各位と協議しながら2020年の新カレンダーについて調整していくとしている。


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