A.S.O.主催による新たな中東レース「サウジツアー」が閉幕。横風分断とボーナスタイムによる緊張感ある総合争いが展開され、最終日のスプリントで首位ナセル・ブアニ(フランス、チーム アルケア・サムシック)を下したフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・マクラーレン)が逆転総合優勝を決めた。



シーズンインを迎えたニキ・テルプストラ(オランダ、トタル・ディレクトエネルジー)シーズンインを迎えたニキ・テルプストラ(オランダ、トタル・ディレクトエネルジー) (c)CorVos笑顔を見せるルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)笑顔を見せるルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) (c)CorVos

砂漠の中を駆け抜けるサウジツアー砂漠の中を駆け抜けるサウジツアー (c)CorVos
ツール・ド・フランスを主催するA.S.O.(アモリ・スポル・オルガニザシオン)が新たに手がけた中東ステージレース「サウジツアー」は、その名の通りアラビア半島の大部分を占める砂漠の国サウジアラビアを舞台にした5日間レース。同じA.S.O.によるツアー・オブ・オマーンの2020年大会がカブース・ビン・サイード国王死去によりキャンセルとなったため、UCI1クラスながら多くの有力チーム/選手たちが集結した。

コースは超高層ビルがそびえる首都リヤドを中心に郊外の砂漠や古城などを巡るもの。登りフィニッシュの初日を除きスプリンター向けの平坦ステージが中心だが、砂漠特有の強風が吹き付ける中、全ステージを通してボーナスタイムによる総合成績争いが絡み合う緊張感の高いレースが繰り広げられた。

出場したのは4つのワールドチーム(バーレーン・マクラーレン、UAEチームエミレーツ、NTTプロサイクリング、アスタナ)を筆頭に、NIPPOデルコ・ワンプロヴァンス(日本人選手は不出場)を含む11のプロチームを含めた全19チーム。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)が新チームでの初レースに臨んだほか、ナセル・ブアニ(フランス、チーム アルケア・サムシック)やニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、トタル・ディレクトエネルジー)といったスプリンターや、元世界王者ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)、ニキ・テルプストラ(オランダ、トタル・ディレクトエネルジー)らが顔を揃えた。

 第1ステージ 登坂フィニッシュでルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が勝利 第1ステージ 登坂フィニッシュでルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が勝利 (c)CorVos
第2ステージ ハウッスラーのアタックに追従し、残り500mから仕掛けたニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、トタル・ディレクトエネルジー)が勝利第2ステージ ハウッスラーのアタックに追従し、残り500mから仕掛けたニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、トタル・ディレクトエネルジー)が勝利 (c)CorVos
首都リヤドから砂漠の中を突き進んだ初日は中盤から横風分断が行われ、激しい位置取りの中でニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、トタル・ディレクトエネルジー)らがクラッシュしてしまう。バーレーン・マクラーレンが率いる先頭集団はエシュロンを組みながら逃げたものの残り20km地点で吸収。カウンターで飛び出したハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、バーレーン・マクラーレン)らも最後の登坂で捕まり、登坂勝負巧者のコスタがステージ優勝。ボーナスタイム10秒を得て、ステージ2位ハウッスラーに1秒、ステージ3位ブアニに対して6秒差で総合首位に立った。

翌日第2ステージでは終盤に発生した落車でエンリコ・ガスパロット(イタリア、NTTプロサイクリング)が負傷、カヴェンディッシュが後れを取る一方、残り1km地点からハウッスラーが先行する。逃げるハウッスラーに飛びつき、残り500mから独走に持ち込んだボニファツィオが集団を振り切って今季初勝利を挙げている。

第3ステージ カヴェンディッシュの好アシストを受けたフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・マクラーレン)が勝利第3ステージ カヴェンディッシュの好アシストを受けたフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・マクラーレン)が勝利 (c)CorVos
第4ステージ バウハウスにプレッシャーを掛けるUAEチームエミレーツ第4ステージ バウハウスにプレッシャーを掛けるUAEチームエミレーツ (c)CorVos第4ステージ バウハウスがパンクしたことを受けてコスタがアタックに転じる第4ステージ バウハウスがパンクしたことを受けてコスタがアタックに転じる (c)CorVos

第4ステージ ナセル・ブアニ(フランス、チーム アルケア・サムシック)が2年ぶりの勝利を掴む第4ステージ ナセル・ブアニ(フランス、チーム アルケア・サムシック)が2年ぶりの勝利を掴む (c)CorVos
起伏のある第3ステージではリーダージャージを着用するコスタがアグレッシブに攻めた。UAEチームエミレーツやアスタナのペースアップでカヴェンディッシュやブアニが振り落とされると、ボーナスタイムを狙ったコスタが独走するも吸収。コスタは残り12km地点の山岳ポイントをきっかけに再び独走に持ちこんだが、集団スプリントに向けて加速する集団を振り切ることはできずに引き戻される。ゴール勝負では復活したカヴェンディッシュがフェイントを繰り出し、リードアウト役のフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・マクラーレン)がそのまま逃げ切って勝利。ボーナスタイム10秒を得てリーダージャージに袖を通した。

第4ステージでは攻めるUAEチームエミレーツと守るバーレーン・マクラーレンが激しい攻防戦を繰り広げた。UAEが登りのたびにペースアップを行う中、残り25km付近の山岳ポイント序盤というタイミングで首位バウハウスがパンクしてしまう。好機と捉えたコスタがチームメイトの力を借りながら独走に持ち込んだが、バーレーン・マクラーレンの全力追走と、スプリンターチームの援助によって残り2.5kmで飲み込まれ、コスタの総合優勝は潰える。しかし肝心のスプリント勝負でバウハウスはもがけず、ボニファツィオを僅差で抑えたブアニが2年ぶりの勝利を収めると共に、総合首位浮上に成功している。

第5ステージ ブアニを抑えたフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・マクラーレン)が総合優勝を決める第5ステージ ブアニを抑えたフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・マクラーレン)が総合優勝を決める (c)CorVos
フィル・バウハウス(ドイツ)と連日アシストをこなしたハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、バーレーン・マクラーレン)フィル・バウハウス(ドイツ)と連日アシストをこなしたハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、バーレーン・マクラーレン) (c)CorVosフィル・バウハウス(ドイツ)の勝利を喜ぶバーレーン・マクラーレンフィル・バウハウス(ドイツ)の勝利を喜ぶバーレーン・マクラーレン (c)CorVos


迎えた最終日スタート時点で、総合首位ブアニとバウハウスのタイム差は2秒。逃げグループを先行させたことで1箇所用意された中間スプリント争いを避け、予定通り迎えた集団スプリントではブアニとバウハウスが直接対決を繰り広げた。バーレーン・マクラーレンが完璧なリードアウトでバウハウスを解き放ち、その背後から並びかけたブアニはバウハウスのブロックで前に出られない。抗議のジェスチャーを見せるブアニを抑えたバウハウスに降格処分は下らず、25歳のジャーマンスプリンターがステージ2勝目と逆転総合優勝を決めた。

トロフィーを抱えるフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・マクラーレン)トロフィーを抱えるフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・マクラーレン) (c)CorVos
「信じられない気分だ。ステージレースで総合優勝するのは初めての経験。すごく特別な感じがするよ。シーズン初レースで勝てたこともファンタスティックだ。昨日は悪いタイミングでパンクしてしまったけど、今日は今一度僕らがどれだけ強いのかを示すことができた。チームはどんな時も素晴らしい働きを見せてくれたし、彼ら無しで勝つのは不可能だった。元世界王者のカヴェンディッシュですらすごい仕事をしてくれたんだ」と、僅差の接戦を制したバウハウスは言う。

2秒差の総合2位に復調をアピールしたブアニが入り、13秒差の総合3位はレースを沸かせたコスタが入った。
2月4日(火) 第1ステージ リヤド〜ジャウウ(173km)
1位ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)3:52:12
2位ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、バーレーン・マクラーレン)
3位ナセル・ブアニ(フランス、チーム アルケア・サムシック)
4位トムイェルト・スラフテル(オランダ、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)
5位フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・マクラーレン)
2月5日(水) 第2ステージ サドゥス城〜リヤド(182km)
1位ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、トタル・ディレクトエネルジー)4:32:31
2位フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・マクラーレン)0:02
3位ナセル・ブアニ(フランス、チーム アルケア・サムシック)
4位ティモシー・デュポン(ベルギー、サーカス・ワンティゴベール)
5位イェンス・デブシェール(ベルギー、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)
2月5日(木) 第3ステージ リヤド〜アル・ブジャイリ(119km)
1位フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・マクラーレン)2:48:27
2位レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、NTTプロサイクリング)
3位ヨーセフ・レグイグイ(アルジェリア、トレンガヌInc.TSGサイクリングチーム)
4位カルロス・バルベロ(スペイン、NTプロサイクリング)
5位ナセル・ブアニ(フランス、チーム アルケア・サムシック)
2月6日(金) 第4ステージ ワディ・ナマールパーク〜アル・マズヒミヤ・キング・サウジ大学(137km)
1位ナセル・ブアニ(フランス、チーム アルケア・サムシック)3:21:55
2位ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、トタル・ディレクトエネルジー)
3位エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ)
4位ダミアーノ・チーマ(イタリア、ガスプロム・ルスヴェロ)
5位イヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
2月7日(土) 第5ステージ プリンセス・ヌーラ女子大学〜アル・マスナク城塞(144km)
1位フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・マクラーレン)
2位ナセル・ブアニ(フランス、チーム アルケア・サムシック)
3位アーヴィッド・デクレイン(オランダ、リワル・レディーネス サイクリングチーム)
4位ティモシー・デュポン(ベルギー、サーカス・ワンティゴベール)
5位ダミアーノ・チーマ(イタリア、ガスプロム・ルスヴェロ)
個人総合成績
1位フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・マクラーレン)17:53;38
2位ナセル・ブアニ(フランス、チーム アルケア・サムシック)0:02
3位ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)0:13
4位ヨーセフ・レグイグイ(アルジェリア、トレンガヌInc.TSGサイクリングチーム)0:22
5位ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、バーレーン・マクラーレン)0:23
text:So.Isobe
photo:CorVos
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