東京五輪代表最有力候補である山本幸平と、2024年のパリ五輪に向け山本の後継者となるべく研鑽を積む北林力(共にDream Seaker MTB Racing)へのインタビュー。2020シーズンを迎えるにあたって、東京五輪、そして次の世代へのバトン等、両選手にインタビューを行った。(インタビュー:鈴木禄徳)



Dream Seaker MTB Racingの山本幸平、北林力両選手に話を聞いたDream Seaker MTB Racingの山本幸平、北林力両選手に話を聞いた (c)Yoshinori.Suzuki
― あけましておめでとうございます。年末年始はどの様に過ごされましたでしょうか。(インタビューは1月第一週に実施)

長野県の山中でトレーニングを重ねる山本・北林両選手長野県の山中でトレーニングを重ねる山本・北林両選手 (c)Yoshinori.Suzuki山本:家族で娘と一緒にクリスマスや正月らしい事を出来た一方、トレーニング自体は通常営業と言った感じでメニューをこなしながら過ごしています。昨年の9月の世界選手権・アメリカのワールドカップを終えてから、早めにオフの時間を取って身体を休めた後に、山口で行われたMTB国内レースの最終戦と五輪テストイベントから再び走り始めたと言った具合なので、10月から身体を作り続けています。2月のアジア選手権が代表選考でも自身のキャリアの上でも大事なレースになると思っているので、先ずはそこに向けて集中して取り組んでいます。

北林:白馬村在住で、2018年まではスキーのスラローム競技と並行してMTB競技を行ってきたこともあり、初めてMTBにフォーカスしたオフシーズンを過ごしています。山本選手と一緒にフランスのコーチから与えられたトレーニングメニューをこなして、回復して・・・の繰り返しなので、普通に年末年始が過ぎた感じです。今年は暖冬で雪が少ないので、白馬村でも良いトレーニングができています。

― 山本選手にとってはもちろん東京五輪が今年のメインイベントだと思いますが、お二人の今年のスケジュールはどういった流れでしょうか?

山本:まず1月の中旬からタイの合宿に向かい、身体をレースできるコンディションにまで持っていきます。毎年行っている合宿だが、今年の東京五輪は真夏のかなり過酷な環境下でのレースになるので、この合宿で高温多湿な環境に適応させることも重要な要素です。その後、2月の第一週に行われるアジア選手権に出場した後は、ギリシャでのUCIポイントの対象となるXCOレースやステージレースに数戦参加予定で、次の帰国は3月頃。その後の予定は未だ流動的ではありますが、5月にオリンピック代表選手が確定する予定ですので、そこを確実に取れるように動きながら、ワールドカップや欧米のUCIレースを走りながら、7月の東京五輪に向けてコンディションを高めていく予定です。

2019年、山本は5年連続11度目の全日本王者に輝いた2019年、山本は5年連続11度目の全日本王者に輝いた photo:Satoshi.Oda/Kasukabe Vision FILMz
北林:私について言えば、山本選手の五輪準備期間までほとんど同じスケジュールをこなす予定です。個人的には早い段階でフランスに渡って現地でトレーニングをこなしたい。現地での練習環境やレースで求められるフィジカルの強度もテクニックの次元が段違いなので、そこに身を置かないと世界とは戦えないな、と。

― やはり今季も海外でのレース活動がベースになるわけですね。テクニックに関して少し話が出ましたので、東京五輪のコースについて山本選手にお伺いします。東京五輪のコースに対してどのような印象を持ちましたか?

「五輪コースは世界最先端」「五輪コースは世界最先端」 photo:So.Isobe
山本:世界最先端、と言うのが適切でしょうか。ワールドカップの各地の名物レベルのセクションが次々と短い間隔で訪れるので選手としてはかなりの高い集中力が必要とされますね。一方でコース設計がコンパクトかつ距離も現代風なコースなので、観客の皆さんにMTBのダイナミックな部分を楽しんでもらえる。良いコースだと個人的には思います。

― 海外選手からも「Fun!」とかなり好評な様子でしたから、仰る通り世界最先端のXCOコースと表現して間違いないでしょうね。仮に・・・の話になりますが、プレ大会の際に話を聞いたフランスチームが口を揃えていたのが「スキル・テクニックは若い内に経験しておく事が肝要である」ということでした。ああいった現代のXCOのレースコースを走るにあたって、ご自身が若いうちにやっておけばとか、若い選手にこういった経験を積ませてあげたい、といった事はありますか?

山本:ジャンプとかパンプトラックなど細かい事は色々あるけれども、今の日本の環境を考えると、とにかく子供やジュニア世代の選手がみんなで集まってMTBを楽しめる環境づくりが必要だと感じます。レースでも、家族のレジャーの一環でもMTBで自然と触れ合って、仲間、出来れば同世代の子達で一緒に遊んで、その中で色々な自転車の乗り方を身に付けてもらえる様にする事が大事かな。とにかくMTBファンを作らないといけません。選手が切磋琢磨するのはそこから始まりますから。

― 北林選手は若い頃から、前田公平選手や沢田時選手が所属したTeam Prorideに所属していたので、その点周りの環境には恵まれていたかもしれませんね。

2019年のMTB全日本男子U23レースで2位となった北林2019年のMTB全日本男子U23レースで2位となった北林 photo:Satoshi.Oda/Kasukabe Vision FILMz
北林:そうかもしれません。が、フランスに行って思うのは、向こうはその層と言うか、土台がものすごく広いこと。走りに行く山が近かったり、トレイルが整備されていると言う事情も有りますが、幅広い世代が自転車、MTBに関わっている。トレーニングをフランスで行いたい理由も、高いレベルのライバルとコースがあると言った点に尽きます。少しテクニカルなことを言うと、フランスで強い選手と一緒にトレーニングやレースをすると本当に限界まで追い込んだ状態で、難易度の高い複雑なシングルトラックやドロップオフで正確にバイクをコントロールしないといけないんです。これは日本で経験していなかったことなので、最初は何度もクラッシュしましが、これを克服していくことで自身のレベルが高まっていったのを感じます。

取材当日にはアジア選手権に持参するリカバリーツールのテストを行なっていた取材当日にはアジア選手権に持参するリカバリーツールのテストを行なっていた (c)Yoshinori.Suzuki山本:それもこれも、環境、コース、周囲の選手のレベルの高い選手が揃っているからこそなんですよね。

― なるほど、フランスと日本では土壌が全く違うけれども、そこを目指して質を高めていく為には、MTBファンを作る。とにかく若い子達に観てもらってカッコいいと思ってもらう。より多くの方々にMTBに興味を持ってもらう・・・そういった意味でも東京五輪は改めて国内のMTBシーンを考えると、重要なイベントですね。

山本:その通り。なので、MTBの魅力を、東京五輪までの取組みを通じてより多くの人に発信したい。昨年のプレ五輪で現地に来てもらった人はこのスポーツのパワーを感じてもらえたと思うんです。みんなで協力し合って、もちろん自分自身としての入賞と言った目標はブレずにキャリアの集大成として最高に集中して東京五輪に臨みますが、僕が東京五輪を走ることで何か皆さんに伝えることが出来れば最高かな。

― 山本選手の今季のご活躍を心より応援すると共にMTB競技の盛上がりに少しでも貢献させてもらえたらと思います。次世代を担う北林選手のビジョンをお伺い出来ますでしょうか。

北林:山本選手のバトンを受け継いで、2024年のパリ五輪に向けて全力で取り組むだけです。山本選手が世界選手権U23を20位で走っているので、そのレベルを越えるのはマストだと思っています。偉大な先輩の後を継ぐだけでなく、日本を引っ張っていく存在にならないといけないとは強く思ってます。フランスに行って初めてロードの本格的なローテーションの作法を学んだりと言ったレベルだったり、まだまだ自転車競技選手としては学ぶべき事がたくさんあるので・・・。

「MTBの魅力を、東京五輪までの取組みを通じてより多くの人に発信したい」「MTBの魅力を、東京五輪までの取組みを通じてより多くの人に発信したい」 photo:So.Isobe
山本:U23で結果出さないとね。でも、ロードの話もそうだけどリッキー伸び代まだまだありますから(笑)これから迎えるアジア選手権、五輪本番も五輪後もDreamSeakerMTBレーシングの活躍に期待してください。

― お二方が日本のMTBシーンを牽引していく事を本当に期待しています。本日はありがとうございました。



MTBアジア選手権タイムスケジュール

2020シーズンのMTBアジア選手権は2月1日から5日まで、以下の日程で開催される。Dream Seaker MTB Racing Team並びに全ての日本代表選手団への応援をよろしくお願いします。
2月1日(土)XC チームリレー
2月2日(日)DHI 決勝
2月3日(月)XCO 女子U23/女子ジュニア/男子U23/男子ジュニア
2月4日(火)XCO 男子エリート/女子エリート
2月5日(水)XCE 予選 決勝
著者プロフィール:鈴木禄徳(PAXPROJECT)

鈴木禄徳(PAXPROJECT)鈴木禄徳(PAXPROJECT) オフロードが特に大好きな雑食系アマチュアサイクリスト。幼少期からMTBを中心に、アニメ聖地巡礼から海外レース遠征まで幅広い自転車の楽しみ方を経験。

現在はアマチュアMTB/CXチーム「PAXPROJECT」のキャプテンとして、「明るく、楽しく、でも競技はガチで」をモットーにレース参戦と仲間と一緒にレベルアップすることに没頭。誰も観ていないジャンプで、数少ない観客(ほぼ友人のみ)を魅了する走りが信条。

PAXPROJECT https://paxproject.com
Notes https://note.mu/cyclistyopi
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