2019/12/31(火) - 06:54
合計4回にわたってお送りしてきた海外ロードレースの振り返り記事「プレーバック」シリーズ。最終回となる今回はブエルタ・ア・エスパーニャや世界選手権ロード、イル・ロンバルディアなどに沸いた8月から10月までを振り返ります。
8月
ツール・ド・フランスが終わるとロードシーズンが気持ちのうえではひと段落、いやしかし各国では引き続きUCIワールドツアーレースが開催される。8月はツールで活躍した選手の走りが際立つ月。ツール終了から次の週末、スペイン・バスク地方を舞台にしたクラシカ・サンセバスティアンにはエガン・ベルナルやジュリアン・アラフィリップらも参戦。上りの厳しいレースのラストのヒルクライムで攻撃を仕掛けたレムコ・イヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)が優勝。キャリア最大の勝利を掴み取った19歳のイヴェネプールは、史上3番目の若さでクラシックを制したことになる。
ポーランドでのツール・ド・ポローニュでは第3ステージの落車事故でビョルグ・ランブレヒト(ベルギー、ロット・スーダル)が搬送先の病院で死去。昨年の世界選手権U23で銀メダルを獲得した若き才能の予期せぬ急逝にレース界は悲しみに暮れた。
ポローニュで総合優勝に輝いたのは22歳のパヴェル・シヴァコフ(ロシア、チームイネオス)。またひとり将来有望の若手が勝ち星を上げた。
年々ステータスが上がるヨーロッパ選手権では男子個人TTでレムコ・イヴェネプール(ベルギー)が勝利、ロードレース男子はエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)が勝利した。
ベルギーで開催される7ステージのビンクバンク・ツアーではサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が第1〜3ステージに3連勝。フランドルの名所ミュール・カペルミュールで決する第7ステージはオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)が勝利したが、食らいついたローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)が逆転総合優勝に輝いた。
ブエルタ・ア・エスパーニャ
8月25日には3つ目のグランツール、ブエルタ・ア・エスパーニャが開幕。骨折が完治し、3度めのブエルタ挑戦となる新城幸也(バーレーン・メリダ) は通算で12度目のグランツール出場だ。
ジロ・デ・イタリアでは絶対的な優勝候補に挙げられながらもオーバーワーク気味で失速したプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)だが、ブエルタは万全の体調で臨んできた。第10ステージの個人TTで勝利してマイヨロホを獲得すると、続く難関山岳ステージでも崩れること無く首位を守りきった。グランツール史上初めてスロベニア人覇者となったログリッチェは総合優勝だけでなくポイント賞も獲得。総合2位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、総合3位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 。
2017年ツール・ド・フランス以来2年ぶりのグランツール。最終ステージをスプリント15位で締めくくった新城は3回目のブエルタ完走と、12回目のグランツール完走を成し遂げた。
カナダはモントリオール(仏語でモンレアル)で開催のグランプリ・シクリスト・ド・モンレアルでは登坂スプリントでディエゴ・ウリッシ(UAEチームエミレーツ)をかわしたグレッグ・ファンアーフェルマート(CCCチーム)が優勝した。
9月24日開幕のロード世界選手権はイギリスのヨークシャーで開催。心配はイギリスならではの悪天候。大雨に見舞われた男子U23個人タイムトライアルでは、来季UAEチームエミレーツ入りが決まっているミッケル・ビョーグ(デンマーク)が貫禄の走りで3連覇を達成。松田祥位(EQADS)は38位、今村駿介(中央大学/ブリヂストンサイクリング)は45位。
女子エリート個人TTは22歳のクロエ・ダイガート(アメリカ)が史上最年少の世界チャンピオンに。與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)は29位。そして男子エリート個人TTではツール・ド・フランスの個人TTステージの前夜に謎のレース離脱をしたローハン・デニス(オーストラリア)が優勝。ツール以降バーレーン・メリダとも決裂したデニスは批判を受けながらも2ヶ月間以上も個人で活動、トレーニングを積み、連覇を達成した。
男子U23ロードレースではスプリントを制したのはニルス・エークホフ(オランダ)がパンクからの復帰の際にチームカーのスリップストリームを利用したとして失格。繰り上がりでサムエーレ・バッティステッラ(イタリア)がU23世界王者に。石上優大(EQADS)は32位。女子エリートロードはアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)が勝利。男子エリートロードレースはマッズ・ペデルセン(デンマーク)がデンマークに初のアルカンシェルをもたらした。新城幸也と中根英登はDNFに終わった。
イタリアのシーズンを締めくくる「落ち葉のクラシック」ことイル・ロンバルディアでは、残り19kmを独走したバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が自身初のモニュメント制覇を達成。モレマはそのままの調子で翌週のジャパンカップに来日し、そちらでも優勝して宇都宮での2勝目を挙げている。
フランスでは伝統のパリ〜トゥールが未舗装路を加えて開催。54kmに渡る単独逃げを成功したイエール・ワライス(ベルギー、ロット・スーダル)が2度目の勝利を勝ち取った。U23時代の勝利を入れると3勝目のワライスは「Mr.パリ〜トゥール」と呼ばれることに。
シーズンを締めくくるWT最終戦は中国のステージレース、ツアー・オブ・グアンシー。フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が5ヶ月ぶりにステージ勝利を挙げ復活。第1ステージに加えて第5ステージでも勝利。同じくステージ2勝を挙げたのがパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)。総合争いは山岳の第4ステージを制したエンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ)の手に。
text:Makoto.AYANO
8月
ツール・ド・フランスが終わるとロードシーズンが気持ちのうえではひと段落、いやしかし各国では引き続きUCIワールドツアーレースが開催される。8月はツールで活躍した選手の走りが際立つ月。ツール終了から次の週末、スペイン・バスク地方を舞台にしたクラシカ・サンセバスティアンにはエガン・ベルナルやジュリアン・アラフィリップらも参戦。上りの厳しいレースのラストのヒルクライムで攻撃を仕掛けたレムコ・イヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)が優勝。キャリア最大の勝利を掴み取った19歳のイヴェネプールは、史上3番目の若さでクラシックを制したことになる。
ポーランドでのツール・ド・ポローニュでは第3ステージの落車事故でビョルグ・ランブレヒト(ベルギー、ロット・スーダル)が搬送先の病院で死去。昨年の世界選手権U23で銀メダルを獲得した若き才能の予期せぬ急逝にレース界は悲しみに暮れた。
ポローニュで総合優勝に輝いたのは22歳のパヴェル・シヴァコフ(ロシア、チームイネオス)。またひとり将来有望の若手が勝ち星を上げた。
年々ステータスが上がるヨーロッパ選手権では男子個人TTでレムコ・イヴェネプール(ベルギー)が勝利、ロードレース男子はエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)が勝利した。
ベルギーで開催される7ステージのビンクバンク・ツアーではサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が第1〜3ステージに3連勝。フランドルの名所ミュール・カペルミュールで決する第7ステージはオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)が勝利したが、食らいついたローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)が逆転総合優勝に輝いた。
ブエルタ・ア・エスパーニャ
8月25日には3つ目のグランツール、ブエルタ・ア・エスパーニャが開幕。骨折が完治し、3度めのブエルタ挑戦となる新城幸也(バーレーン・メリダ) は通算で12度目のグランツール出場だ。
ジロ・デ・イタリアでは絶対的な優勝候補に挙げられながらもオーバーワーク気味で失速したプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)だが、ブエルタは万全の体調で臨んできた。第10ステージの個人TTで勝利してマイヨロホを獲得すると、続く難関山岳ステージでも崩れること無く首位を守りきった。グランツール史上初めてスロベニア人覇者となったログリッチェは総合優勝だけでなくポイント賞も獲得。総合2位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、総合3位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 。
2017年ツール・ド・フランス以来2年ぶりのグランツール。最終ステージをスプリント15位で締めくくった新城は3回目のブエルタ完走と、12回目のグランツール完走を成し遂げた。
カナダはモントリオール(仏語でモンレアル)で開催のグランプリ・シクリスト・ド・モンレアルでは登坂スプリントでディエゴ・ウリッシ(UAEチームエミレーツ)をかわしたグレッグ・ファンアーフェルマート(CCCチーム)が優勝した。
9月24日開幕のロード世界選手権はイギリスのヨークシャーで開催。心配はイギリスならではの悪天候。大雨に見舞われた男子U23個人タイムトライアルでは、来季UAEチームエミレーツ入りが決まっているミッケル・ビョーグ(デンマーク)が貫禄の走りで3連覇を達成。松田祥位(EQADS)は38位、今村駿介(中央大学/ブリヂストンサイクリング)は45位。
女子エリート個人TTは22歳のクロエ・ダイガート(アメリカ)が史上最年少の世界チャンピオンに。與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)は29位。そして男子エリート個人TTではツール・ド・フランスの個人TTステージの前夜に謎のレース離脱をしたローハン・デニス(オーストラリア)が優勝。ツール以降バーレーン・メリダとも決裂したデニスは批判を受けながらも2ヶ月間以上も個人で活動、トレーニングを積み、連覇を達成した。
男子U23ロードレースではスプリントを制したのはニルス・エークホフ(オランダ)がパンクからの復帰の際にチームカーのスリップストリームを利用したとして失格。繰り上がりでサムエーレ・バッティステッラ(イタリア)がU23世界王者に。石上優大(EQADS)は32位。女子エリートロードはアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)が勝利。男子エリートロードレースはマッズ・ペデルセン(デンマーク)がデンマークに初のアルカンシェルをもたらした。新城幸也と中根英登はDNFに終わった。
イタリアのシーズンを締めくくる「落ち葉のクラシック」ことイル・ロンバルディアでは、残り19kmを独走したバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が自身初のモニュメント制覇を達成。モレマはそのままの調子で翌週のジャパンカップに来日し、そちらでも優勝して宇都宮での2勝目を挙げている。
フランスでは伝統のパリ〜トゥールが未舗装路を加えて開催。54kmに渡る単独逃げを成功したイエール・ワライス(ベルギー、ロット・スーダル)が2度目の勝利を勝ち取った。U23時代の勝利を入れると3勝目のワライスは「Mr.パリ〜トゥール」と呼ばれることに。
シーズンを締めくくるWT最終戦は中国のステージレース、ツアー・オブ・グアンシー。フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が5ヶ月ぶりにステージ勝利を挙げ復活。第1ステージに加えて第5ステージでも勝利。同じくステージ2勝を挙げたのがパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)。総合争いは山岳の第4ステージを制したエンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ)の手に。
text:Makoto.AYANO
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