2010年5月3日、UCI(国際自転車競技連合)はプレスリリースを出し、バイオロジカルパスポートの血液データに基づく検査結果によって、ペッリツォッティ(イタリア)、ヴァリャベッチ(スロベニア)、ロセンド(スペイン)のドーピング違反が明確であることを明らかにした。

昨年のツール・ド・フランスで山岳賞に輝いたフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)昨年のツール・ド・フランスで山岳賞に輝いたフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス) photo:Makoto AyanoUCIのプレスリリースによると、ドーピング違反が疑われているのはフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)、タディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、アージェードゥーゼル)、ヘスス・ロセンド(スペイン、アンダルシア・カハスール)の3名。以下はプレスリリースの抜粋。

「バイオロジカルパスポートの血液データに基づき、フランコ・ペッリツォッティ、タディ・ヴァリャベッチ、ヘスス・ロセンドの3名に明らかなドーピング違反が認められた。UCIは該当する3名に対して懲戒手続きの開始を要請している」。

昨年のツール・ド・スイスでカンチェラーラと総合争いを繰り広げたタディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、アージェードゥーゼル)昨年のツール・ド・スイスでカンチェラーラと総合争いを繰り広げたタディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、アージェードゥーゼル) photo:Cor Vosバイオロジカルパスポートとは、ドーピング撲滅を目指すUCIが2008年に導入したアンチドーピングプログラムで、レース内外のドーピング検査(尿検査と血液検査)の結果に加え、血液サンプルの血液学的な分析結果や尿サンプルのステロイド値をデジタルデータとして蓄積。選手たち一人一人の状態を総合的かつ継続的に監視することで、正常値と異常値の判別が可能になるという。

昨年のジロ・デ・イタリアで総合3位に入り、ツール・ド・フランスで山岳賞ジャージを獲得したペッリツォッティ。2008年のジロではプラン・デ・コロネスの山岳個人タイムトライアルで優勝しており、今年のジロでもリクイガスのダブルエースの1人として出場する予定だった。

昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ第16ステージ 140kmに渡って単独で逃げ続けたヘスス・ロセンド(スペイン、アンダルシア・カハスール)昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ第16ステージ 140kmに渡って単独で逃げ続けたヘスス・ロセンド(スペイン、アンダルシア・カハスール) photo:Unipublic今回の発表を受け、当然ペッリツォッティはジロのメンバーから外れる。同様に、ヴァリャベッチもジロ欠場が決まった。

今回のUCIの発表に先立ち、イタリアのガゼッタ・デッロ・スポルト紙は、パット・マックエイドUCI会長がバイオロジカルパスポートによるドーピング違反者を最低5名発表することを明らかにしたと報道。ガゼッタ紙によると、疑惑の目が向けられているのはロシア人1名、スペイン人2名、スロベニア人1名、イタリア人2名。その中でイタリア人選手1名はジロで活躍するような大物選手であるとされ、ペッリツォッティがこれに該当すると思われる。

昨年もUCIはグランツール前のタイミングでバイオロジカルパスポートによるドーピング違反者5名を発表。当時はピエトロ・カウッキオーリ(イタリア)やイゴール・アスタルロア(スペイン)の名前が挙がっていた。

text:Kei Tsuji
photo:Makoto Ayano, Cor Vos