世界最大規模の自転車ショー「ユーロバイク」のブースレポート第9弾。革新的なフルサスグラベルロードが注目を集めたナイナー、新作のショートノーズサドルをリリースしたプロロゴを始め、ファストフォワード、LAS、TUFOをピックアップしてお届け。



ナイナー ユーロバイクアワードも獲得したフルサスグラベルロード「MCR 9 RDO」

前後サスペンションを搭載した革新的なグラベルロード「MCR 9 RDO」前後サスペンションを搭載した革新的なグラベルロード「MCR 9 RDO」
MTB開発のノウハウを活かしたCVAリアサスペンションMTB開発のノウハウを活かしたCVAリアサスペンション フロントサスフォークも40mmトラベルとし走破性向上に寄与フロントサスフォークも40mmトラベルとし走破性向上に寄与

北米最大の自転車イベント「シーオッタークラシック」で発表され、大きな話題を呼んだフルサスグラベルロード「MCR 9 RDO」がユーロバイクアワードを獲得。正式に製品版となる2カラーがお披露目された。マウンテンバイク開発のノウハウを活かしたフレーム設計で、グラベルロードながらリアショックユニットを搭載したサスペンション機構が大きな特徴だ。

独自のリンケージデザインを採用したCVAサスペンションは、50mmのトラベル量を確保しており抜群のトラクションコントロールを発揮。軽量なフルカーボンフレームによって高速域での走りを実現するとともに、40mmトラベルのサスペンションフォークも搭載することであらゆる路面での快適を担保している。グラベルロードとしてフレア形状のドロップハンドルを装備し、バッグ類やフェンダーのマウント箇所も数多く備えた設計だ。

グラベルロード「RLT 9」のカーボンモデルグラベルロード「RLT 9」のカーボンモデル
タイヤクリアランスを広げ多様なコンディションに対応するスペックにアップデートタイヤクリアランスを広げ多様なコンディションに対応するスペックにアップデート トップキャップ部分に瓶の王冠を装着できるナイナー独自のデザイントップキャップ部分に瓶の王冠を装着できるナイナー独自のデザイン

グラベルロード「RLT 9」のスチールモデルグラベルロード「RLT 9」のスチールモデル
”Road Less Traveled”の頭文字を取ったグラベルロード「RLT 9」シリーズも2020モデルでアップデートが加わった。タイヤクリアランスを広げ700Cでは50mmまで、650Bでは2.0インチまでのタイヤ幅に対応した他、ブレーキホースをクラウン部から内装した新型フォークを装備、バッグ類をマウントできる箇所も大幅に増やしている。RLT 9はカーボン、アルミ、スチールの3タイプがラインアップする。



プロロゴ 新作のショートノーズサドル「Scratch M5」、E-BIKE用サドル「Proxim」

レースモデルの新作ショートノーズサドル「Scratch M5」レースモデルの新作ショートノーズサドル「Scratch M5」
座面はラウンド形状で、Dimensionと異なりT字シェイプとされている座面はラウンド形状で、Dimensionと異なりT字シェイプとされている カーボンのNACKレールと、ステンレスのTiroXレールの2タイプで展開カーボンのNACKレールと、ステンレスのTiroXレールの2タイプで展開

数多くのワールドチームも採用しているサドルブランド、プロロゴは新作のショートノーズサドル「Scratch M5」をアピール。既存のレーシングモデルScratchをベースに、ノーズ部分を3cm短く、かつ横幅も若干広げたデザインを採用している。既存のショートノーズサドル「Dimension」がV字シェイプだったのに対して、このScratch M5はT字シェイプと作り分けられており、座り心地の相性や好みによって選べる展開となった。

E-BIKE向けサドルとして販売されている「Proxim」は、シティ、MTB、ロードと多様化するE-BIKE市場へ対応するべくラインアップを大幅拡大。パッド量を増やしより快適性を高めた「SPORT」モデルを追加した。座面を前後3箇所に区分けし、それぞれフォーム密度を変えることで乗り心地を高めるよう工夫されている。

E-BIKE向けに専用で開発された「Proxim」E-BIKE向けに専用で開発された「Proxim」
後部のバッジに反射プリントをあしらう後部のバッジに反射プリントをあしらう サドルの前後でフォームの密度を変え乗り心地を高めているサドルの前後でフォームの密度を変え乗り心地を高めている

タイムトライアル/トライアスロン向けに最適化した「Dimension TRI」タイムトライアル/トライアスロン向けに最適化した「Dimension TRI」
人気を博すショートノーズサドルDimensionには、タイムトライアル/トライアスロン向けに最適化したモデル「Dimension TRI」を追加。ノーズ部分の横幅を広げかつ中央のチャネルも拡大、パッドの厚みも増やすことでTTなど長時間シッティングで漕ぎ続けるシーンで優れたパフォーマンスを維持できるサドルに仕上がっている。



ファストフォワード ついに市販化される2スポークバトンホイール「Falcon」

スペシャルペイントで2スポークバトンホイール「Falcon」をアピールスペシャルペイントで2スポークバトンホイール「Falcon」をアピール
大迫力のハヤブサを描いたディスクホイール大迫力のハヤブサを描いたディスクホイール 極太のブレードと特徴的な2スポークデザインが目を引くFalcon極太のブレードと特徴的な2スポークデザインが目を引くFalcon

FFWD(ファストフォワード)ブースではハヤブサを描いたスペシャルデザインホイールがお出迎え。アピールしたのは、そのイラストが示す通り「Falcon」の名を冠した2スポークバトンホイールだ。サポートを行うトタル・ディレクトエネルジーによってすでにレース投入され、特徴的なデザインで話題を呼んだTTホイールがこの秋から販売を開始する(国内展開未定)。

圧倒的に少ないスポーク本数と極太のブレード、リムハイトが変化したデザインで見た目の迫力は抜群。もちろん最速のTTホイールを目指し、風洞実験を積み重ねることでエアロダイナミクスを最大化させている。フロントにFalconを、リアに通常のディスクホイールを合わせることでFFWDにおいて最速の組み合わせになるとのこと。

FFWD定番のF4は色とりどりなカラーカスタムモデルを並べたFFWD定番のF4は色とりどりなカラーカスタムモデルを並べた
ブラックをベースに差し色が入ったさり気ないデザインブラックをベースに差し色が入ったさり気ないデザイン ホログラムデカールを貼った特別モデルも展示されたホログラムデカールを貼った特別モデルも展示された

ロードホイールは定番の「F4」をメインに、色とりどりのラベルを採用したカラーカスタムモデルを並べた。オールブラックのリムにブランドロゴを縁取るようにカラーが入った、派手すぎないグラフィックに仕上がっている。FFWDはアルミやカーボン、クリンチャー/チューブラー、リム/ディスク、ハブグレードなど豊富なモデルがラインアップしており、いずれも国内代理店を通して取り寄せ可能だ。



LAS リアライトを標準装備したオールラウンドヘルメット「ENIGMA」

2019モデルで登場したフラッグシップモデル「VIRTUS」2019モデルで登場したフラッグシップモデル「VIRTUS」
イタリアンヘルメットブランド、LAS(ラス)は2019モデルで登場した「VIRTUS」とスタンダードモデル「COBALTO」をメインに据えつつ豊富なラインアップを展示。VIRTUSは従来のフラッグシップモデルVICTORYの後継に当たるヘルメットで、コンパクトな形状とセミエアロなデザインが大きな特徴。COBALTOよりも深く円形に近い帽体形状で、グローバルフィットながら日本人にもマッチする被り心地だ。

シェルにカーボン補強を加え安全性を高めた「VIRTUS CARBON」も展開される。担当者曰く、2020モデルではVIRTUSとCOBALTOともに追加されたマットグレーカラーが注目だそう。片手で簡単に外すことができるマグネットバックルを採用したモデルも増えており利便性を追求している。

カーボン補強を施しシェル強度を高めた「VIRTUS CARBON」も展開カーボン補強を施しシェル強度を高めた「VIRTUS CARBON」も展開 多くのモデルで着脱しやすいマグネットバックルを採用している多くのモデルで着脱しやすいマグネットバックルを採用している

LASのスタンダードモデルに位置付けられる「COBALTO」LASのスタンダードモデルに位置付けられる「COBALTO」 リアライトを標準装備したエントリーグレードの「ENIGMA」リアライトを標準装備したエントリーグレードの「ENIGMA」

国内価格11,000円のプライスタグを下げる新作のエントリーモデル「ENIGMA」は、あらゆるユーザーの安全性を重視して開発されたヘルメット。頭部をしっかりとサポートするシェル形状に加え、後方からの視認性を高めるテールライトを標準装備しており、陽が落ちても存在感をアピールできる。スタンダードなデザインのためロードバイクだけでなく、クロスバイクやE-BIKEともマッチするはずだ。



TUFO ロード/MTBタイヤともにチューブレスレディモデルを拡充

チューブレスレディタイヤ「Comtura」シリーズがラインアップを拡充チューブレスレディタイヤ「Comtura」シリーズがラインアップを拡充
国内のヒルクライマーたちも愛用する超軽量チューブラータイヤを始めロード、MTB、トラック、シクロクロスと幅広いタイヤラインアップを揃えるTUFO(チューフォー)。チューブラータイヤには<160gや<265gなど重量の目安がラベリングされており、レースタイヤとして選ぶ際に判別しやすいよう工夫されているのはTUFOの大きな特徴だ。

市場の動向に沿ってチューブレスレディモデルを拡充しており、ロードタイヤの「Comtura」シリーズにはオールラウンドタイプの”3 TR”に加え、レースモデルの”4 TR”、トレーニングモデルの”5 TR”が登場している。いずれもセンターはスリックでショルダー部分にパターンを刻むことでグリップを高める設計だ。3 TRと4 TRには耐パンク層も挿入されている。

センターはスリックでショルダー部分にパターンを刻むセンターはスリックでショルダー部分にパターンを刻む マウンテンバイクタイヤはXC12 TRとXC13 TRの2つのチューブレスレディモデルを追加マウンテンバイクタイヤはXC12 TRとXC13 TRの2つのチューブレスレディモデルを追加

<265gなど重量の目安がラベリングされているのはTUFOの大きな特徴<265gなど重量の目安がラベリングされているのはTUFOの大きな特徴
MTBタイヤもチューブレスレディタイプの「XC12 TR」と「XC13 TR」を追加。既存のオールラウンドモデルXC11 TRに対して、マッドコンディションに対応させたノブパターンのXC12 TR、低く規則的なノブパターンでドライコンディションに適したXC13 TRというラインアップ分けだ。いずれもシリカ配合コンパウンドによってハイパフォーマンスな走りを追求している。

text&photo:Yuto.Murata
photo:Gakuto Fujiwara