長期化したアタック合戦とレムコ・イヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)の独走と追走、そしてアタック合戦からのスプリント。サバイバルレースを耐え抜き勝利したアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)がドイツ・ツアー2日目に総合首位に立った。



出走サインに現れたパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)出走サインに現れたパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos繰り下げでポイント賞ジャージを着用するアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)繰り下げでポイント賞ジャージを着用するアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

美しいマールブルグの街並みをスタートしていく美しいマールブルグの街並みをスタートしていく photo: A.S.O.
ヘッセン州中部のマールブルクからニーダーザクセン州のゲッティンゲンを目指すドイツ・ツアー(UCI2.HC)の第2ステージ。前日に続きスプリンター向けのコースレイアウトだが、終盤の周回コース(x2周)に用意された登坂距離1.3km、平均勾配5.5%の丘をいかに乗り切れるかが鍵となる。

しかしこの日は序盤から激しく動いた。ツール・ド・フランス明けのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)、前日に勝利した総合首位のパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)ら15名が逃げを打ち、これを嫌うメイン集団が追走するハイペースな展開が続く。レース開始後1時間の平均速度が49km/hに達する中、調子を落としていたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)はリタイアを選んでいる。

序盤のアタック合戦に加わるジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)序盤のアタック合戦に加わるジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVosジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)やヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が含まれた15名のエスケープジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)やヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が含まれた15名のエスケープ photo: A.S.O.

ハイペースで独走し、集団を苦しめたレムコ・イヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)ハイペースで独走し、集団を苦しめたレムコ・イヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos
80kmにも及ぶ追走劇はメイン集団が追いついたことで終了し、カウンターアタックでエリートのヨーロッパTT王者に輝いたばかりの19歳レムコ・イヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)が先行。TTモードで逃げたイヴェネプールはすぐさま3分半というリードを得て、強い向かい風が吹き付ける中を逃げ続けた。

メイン集団では昨年のツール覇者ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)が牽引を始め、イヴェネプールとの(ほぼ)一対一のスピード勝負が幕開ける。やがてバーレーン・メリダやスプリントを狙うUAEチームエミレーツも手を貸したことでタイム差は縮小傾向に。平均が45km/hを下回らないハイペースにアッカーマンをはじめ各選手が脱落し、残り20kmではイヴェネプールのリードは1分まで縮まった。

終盤に入ると、アークティック・レース・オブ・ノルウェーで1秒差の総合優勝を果たしたアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)が登坂区間で加速した。これによってメイン集団のペースは更に上がり、ラスト9kmでイヴェネプールは吸収。カウンターで加速したルツェンコとマルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)がわずかなリードで逃げを開始した。

7km以上を逃げたルツェンコとヒルシだったが、30名弱にまで絞り込まれた集団に残り2kmを切ってキャッチされる。アタック連発状態の中でニバリも仕掛けたが、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)を従えたディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が引き戻す。ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)の加速を皮切りにスプリント勝負が始まった。

スプリントを制したアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)スプリントを制したアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) photo: A.S.O.
スプリントを制したアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)スプリントを制したアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos憔悴した表情のアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)憔悴した表情のアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos


ライン左側から踏み込んだコルブレッリだったが、そのスリップストリームから飛び出したクリストフが残り100mでパスしていく。イヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)らの追い上げは届かず、サバイバルレースを耐え抜いたクリストフが勝利を掴んだ。

「一日中苦しめられた。中盤で一度遅れたけれど、その後なんとか集団に復帰することができた。そこから息を整えるうちに調子が上がっていったんだ。最後の登りでも一度千切れたものの再び戻れた。スプリントではすごく身体も動き調子が良かった。コルブレッリが加速した時に若干囲まれたけれど追い抜くことができたよ」と語るクリストフ。前日のボーナスタイムと合わせて総合成績で首位に浮上し、ポイント賞ランキングでも首位へと躍進している。

2ヶ月ぶりの勝利を挙げたスプリントを制したアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)2ヶ月ぶりの勝利を挙げたスプリントを制したアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
「ベストコンディションではなかったツール、その前のスイスから勝てていなかったけれど、今は世界選手権に参加する上で良い感じに体調が戻ってきている。かなり追い込んだし明日はよりキツいレイアウトなので厳しいだろうけれど、できかぎり総合成績は守っていきたい」とクリストフは加えている。

ドイツ・ツアー2019第2ステージ結果
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) 4:21:04
2位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
3位 イヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)
4位 ベン・スウィフト(イギリス、チームイネオス)
5位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
6位 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)
7位 マルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)
8位 ティモ・ローセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)
9位 トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)
10位 イェンス・クークレール(ベルギー、ロット・スーダル)
個人総合成績
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) 8:10:18
2位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 0:00:10
3位 イヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) 0:00:12
4位 マルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ) 0:00:13
5位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) 0:00:14
6位 トムイェルト・スラフテル(オランダ、ディメンションデータ)
7位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) 0:00:15
8位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) 0:00:16
9位 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)
10位 ベン・スウィフト(イギリス、チームイネオス)
ポイント賞
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) 27pts
2位 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 15pts
3位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 13pts
山岳賞
1位 ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、アスタナ) 3pts
2位 レムコ・イヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) 3pts
3位 ジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード) 3pts
ヤングライダー賞
1位 マルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ) 8:10:31
2位 ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) 0:00:03
3位 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ)
チーム総合成績
1位 UAEチームエミレーツ 24:31:42
2位 トレック・セガフレード
3位 ディメンションデータ
text:So.Isobe
photo:CorVos

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