「ナイロが一定ペースに切り替えたので僕にチャンスが回ってきた。今はこれ以上の結果は望めない」と語るのは「壁」を制したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)。日曜日のアンドラ決戦を見据えるミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)や、総合勢の言葉でブエルタ7日目を振り返る。



ステージ優勝、総合3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

ブエルタでステージ通算13勝目を飾ったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)	ブエルタでステージ通算13勝目を飾ったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:CorVos
全てのチームメイトと、特に厳しい山岳で素晴らしい走りをしてくれたナイロに感謝したい。彼はログリッチェとロペスを置き去りにしようと試みたけれど、実力が拮抗していたので一定ペースで走ることに切り替えた。それで僕にステージ優勝のチャンスが回ってきたんだ。上手く走れていたし、あの展開なら最悪でも4位は確保できる。あのメンバーの中では一番スプリントがあると分かっていたので状況をコントロールすることに努めた。まだまだフィニッシュまでは長い道のりだけど、現時点で僕とナイロは今回トップ4の登坂力があることが明らかになった。

プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)の追随を許さず先行するアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)の追随を許さず先行するアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:CorVos
今回のブエルタで勝ちたいか?もちろん最初の総合優勝から10年後に再び勝てるのであればファンタスティックだ。でも、その前に現実的にならないといけない。現時点で僕とナイロが1勝ずつ挙げて、お互いに総合成績もジャンプアップさせた。今はこれ以上の結果は望めないよ。ナイロは僕にチームリーダーになって欲しいと言っていたけれど、自分自身の可能性を捨てるべきじゃないと思う。彼は素晴らしい走りを見せているし、総合優勝を目指すべき才能がある。水曜日のハバランブレ天文台山頂フィニッシュでは僕がログリッチェをアシストしたという批判がコロンビアで巻き起こったけれど、もしロペスが遅れていなければあのような作戦は取らなかった。ロペスは危険なので、遅れているならばできるだけ差を広げようとしただけなんだ。そしてログリッチェも脚があることを証明していて、僕ら4人の中ではTTで最強となるはず。でもこの先は何でも起こりうる。

ステージ2位、総合2位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)

先頭グループを積極的に率いるプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)先頭グループを積極的に率いるプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) photo:CorVos
短く、タフで、そして甘美な登りだった。バルベルデにとってはパーフェクトなタイプの登りだったと思う。僕もこのタイプの登りで走れることを示してきたけれど、今日は彼がベストだった。2位という結果、そしてそれまでの展開に非常に満足できている。チームの助けなしでレースに勝てるだなんて誰も思っていない。今日チームが見せてくれた走りはインプレッシブだった。非常に強力で、本当に働きぶりを讃えたい。

ステージ3位、総合首位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)

再びマイヨロホに袖を通したミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)再びマイヨロホに袖を通したミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) photo:CorVos
あまりにも急勾配で僕にぴったりな登りとは言えなかったけれど、ベストを尽くしたし、自分のパフォーマンスにハッピーだ。この登りは知っていたし、誰にとっても試練になることも分かっていた。スタートの段階から速い展開で進んだので登りに辿り着いた時には誰もが疲労を感じていたと思う。最後はチームメイト4名でペースアップを行ったけれど、あの勾配では完全に主導権を得るまで至らなかった。今日はバルベルデが最強だと思っていたよ。とにかく今はマイヨロホを取り戻せたので嬉しく思っている。チームとして上手く走り、僕は再び総合リードを得ることができた。日曜日は再び厳しいステージになるだろう。アンドラへの登りは今日よりもずっと僕向きだと思う。チームと共に1日1日を大切に戦って行きたい。

ステージ4位、総合4位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

ポイント賞リーダーに躍り出たナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)ポイント賞リーダーに躍り出たナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:CorVos
チームの働きぶりに、レースを厳しいものにすることで応えたかった。アレハンドロは僕らの背後で脚を溜めていたけれど、あれはスタート前に決めていたこと。僕がライバルたちの反応を見るためにアタックして、可能であれば独走に持ち込み、彼は終盤まで体力をセーブした。フィニッシュが見えると彼は走りを変えたんだ。今日の登りはかなり独特で、急勾配があって、ブエルタの7日目、そして3日間山岳が続いたことを踏まえると、そろそろ各選手のコンディションの差が形となって現れ、ミスも起こりやすくなってくる頃だ。アレハンドロは僕より総合上位にいて、僕が今週初めに伝えた通りに動いてくれている。まだまだ最終日までは長く、チームと共に最善を尽くさなければならない。

ステージ5位、総合5位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)

ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)画像は第5ステージラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)画像は第5ステージ photo:CorVos
今日のパフォーマンスと結果にとても満足している。調子は良く、普段はもっと長い登りを得意としているにも関わらず追走を続け、最終的に5位に入ることができた。それに総合成績でも5位にジャンプアップできた。チームメイトなしでは叶わないことだけに、彼らには大きな感謝を贈りたい。マドリードはまだ遠く、チームと一丸となってレースを走っていく必要がある。明日はアンドラ入国前の、速い奴らが活躍する1日だ。

ステージ7位、総合7位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

最後の登りだけじゃなく、ステージを通してキツかった。スタート直後から非常に速い展開で進み、ここまでの1週間の中で最も厳しいステージになった。現時点で調子も良いので明日の様子を見て休息日を過ごしたい。

ステージ8位、総合10位 ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)

ここ数日間よりも確実に調子は上向きになっているけれど、まだ脚は100%の状態ではない。かなり疲れたけれど、それでも最後の登りは予想よりもずっと上手く走ることができた。すぐに100%のコンディションに戻ることができるよう願っているよ。

ステージ13位、総合7位 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)

エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコットエステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット photo:CorVos
可能な限りタイムを失わないように努めた。モビスターがペースアップした時に絶好調じゃないことを理解した。それでも総合成績トップ10であるには十分だった。今日のような登りではスマートに走ることが大切で、それには経験の積み重ねが鍵となる。ニエベと僕には十分なグランツール経験があって、自分の限界と、タイム差の広がりを防ぐ走り方を分かっていた。

マイヨロホを失ったディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)

ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)とホアキン・ロドリゲス(スペイン)ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)とホアキン・ロドリゲス(スペイン) photo:CorVos
(マイヨロホを)楽しもうとしたけれど、簡単なステージではなかった。最初からものすごくハードな展開だった。モビスターが主導権を握った時から既に"これは厳しい日になる"と分かっていた。最後の登りは自分にとっては少しばかり長すぎたよ。全力を尽くしたけれど爆発してしまった。多分昨日全力で攻めたツケが回ってきたんだろう。色々な小さなことが重なってメイン集団から遅れた。明日は簡単なステージになるので状況を見ていきたい。

新城幸也(バーレーン・メリダ)

新城幸也(バーレーン・メリダ)とルームメイトでマイヨロホのディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)新城幸也(バーレーン・メリダ)とルームメイトでマイヨロホのディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ) photo:CorVos
今日はかなりハードは1日となった追い風の平坦のレースでもないのに、スタートから1時間のアベレージが50km/h近かった。しかも中々、逃げも決まらず決定的な逃げが決まるの50km以上もかかった。逃げが決まってからは直ぐにコントロールに入りタイム差を5分未満にとどめた。残り70km切った辺りでモビスターがペースアップし、たまらず集団の最後尾に。30秒前には集団の先頭走っていたのに(苦笑)。ゴールから1つ手前の山岳ポイントの麓で、自分に出来る限りの事をしてドロップアウト。チームも1日でリーダージャージを失う事になってしまったのは残念だが、皆で全力を尽くした。まだブエルタは続くし、ステージ優勝狙ってまたチームで闘っていくだけだ。

text:So.Isobe