タフなアップダウンコースで争われたポローニュ第6ステージは、山岳で抜け出した末のゴール勝負を制したヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィズマ)がプロ初勝利。22歳のネオプロがリーダージャージに袖を通した。



スタート直後から1級山岳を登る。序盤からアタック合戦が活性化したスタート直後から1級山岳を登る。序盤からアタック合戦が活性化した (c)CorVos
ツール・ド・ポローニュ(UCIワールドツアー)第6ステージの舞台は、ポーランド屈指の避暑地であるザコパネ周辺を発着する160km。スタート直後から1級山岳(といっても登坂距離は3.3km/平均勾配7.1%)をクリアし、その後は同じく1級山岳(距離2.7km/平均勾配8.8%)を含む1周27kmの周回コースを5周。最後はサーキットを出て一番最初の1級山岳を反対側から登り、頂上から4kmのダウンヒルをクリアしてフィニッシュへと飛び込むクライマー向きコースだ。

スタート直後から登坂が現れるため、各選手はローラー台で入念なウォームアップを行なってから出走。序盤から激しくアタックが掛かる中でリーダージャージのパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)は脱落を喫した。

逃げグループを率いるトマス・マルチンスキー(ポーランド、ロット・スーダル)逃げグループを率いるトマス・マルチンスキー(ポーランド、ロット・スーダル) (c)CorVos
シモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム)は2日連続のエスケープシモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム)は2日連続のエスケープ (c)CorVos
一時はマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)を含む26名が先行したが引き戻され、続いてペトル・ヴァコッチ(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)、トマス・マルチンスキー(ポーランド、ロット・スーダル)、ジョフリー・ブシャール(フランス、アージェードゥーゼール・ラモンディアール)、そして2日連続の逃げとなるシモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム)が先行。この4名を見送った集団はペースを落とした。

逃げグループ内では母国レースのマルチンスキーが山岳ポイントを連取し、翌日のリーダージャージ着用を成功させる。最大で3分ほどの猶予を与えたメイン集団も、後半戦に入るに従いユンボ・ヴィズマがペースアップを開始。人数を絞り込みながら、フィニッシュまで40kmを残して逃げる4名を捉えた。

ユンボ・ヴィズマがメンバー総出でメイン集団を絞り込むユンボ・ヴィズマがメンバー総出でメイン集団を絞り込む (c)CorVos
精鋭ばかりが残ったメイン集団が山岳ポイントを越えていく精鋭ばかりが残ったメイン集団が山岳ポイントを越えていく (c)CorVos
ここから総合成績を狙うアタックの応酬が始まった。クライマーばかりが揃う20名ほどの中からアントワン・トールク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)やパヴェル・シヴァコフ(ロシア、チームイネオス)、ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)が積極的に仕掛け、残り25km地点からはスガブ・グルマイ(エチオピア、ミッチェルトン・スコット)が逃げ、ここにベン・スウィフト(イギリス、チームイネオス)が合流し、暫しのランデブーの後にスウィフトが独走に持ち込んだ。

周回コースを出て、牧草地帯を駆け上がる最後の1級山岳に入るとメイン集団から抜け出したシヴァコフ、ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ)、ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィズマ)がスウィフトをパス。ヒンドレーの下りアタックは成功せず、3人ひとかたまりのままゴール前へ。2人の背後から真っ先に仕掛けたヴィンゲゴーが、伸びのあるスプリントでキャリア初勝利を掴み取った。

プロ初勝利を掴んだヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィズマ)プロ初勝利を掴んだヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィズマ) (c)CorVos
ステージトップスリーは全員23歳以下(ヴィンゲゴーとシヴァコフ22歳、ヒンドレー23歳)ステージトップスリーは全員23歳以下(ヴィンゲゴーとシヴァコフ22歳、ヒンドレー23歳) (c)CorVosリーダージャージに袖を通したヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィズマ)リーダージャージに袖を通したヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィズマ) (c)CorVos


「まだ現実味が無い。素晴らしいよ。一度は遅れたものの、アントワン(トールク)の入ったメイングループに追いついた時にも脚にはまだ余裕があった。だからアタックしたんだ。スプリントになればチャンスがあることは分かっていたけれど、それをモノにできた。ファンタスティックだ」と、キャリア初勝利をワールドツアーレースで挙げた22歳のヴィンゲゴーは言う。「明日はこのリーダージャージを守りたいと思う。今日のように難しいステージになると思う。この勝利はランブレヒトに捧げたい。あんな風に同僚を亡くしただなんてまだ信じられない。彼のことを誇りに思うよ」。

8秒遅れでセルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト)が入り、10秒遅れの5位にはラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)やピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)など7名が入った。総合成績でもタイム差20秒以内にトップ10がひしめいている。

ツール・ド・ポローニュ2019第6ステージ結果
1位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィズマ) 4:07:13
2位 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チームイネオス)
3位 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ)
4位 セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト) 0:08
5位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 0:10
6位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)
7位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)
8位 タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームイネオス)
9位 クリス・ハミルトン(オーストラリア、サンウェブ)
10位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
個人総合成績
1位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィズマ) 22:13:57
2位 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チームイネオス) 0:04
3位 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) 0:06
4位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) 0:17
5位 セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト) 0:18
6位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼル・ラモンディアール) 0:20
7位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)
8位 クリス・ハミルトン(オーストラリア、サンウェブ)
9位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)
10位 ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ポイント賞
1位 マルク・サルー(フランス、グルパマFDJ) 53pts
2位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) 52pts
3位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) 50pts
山岳賞
1位 トマス・マルチンスキー(ポーランド、ロット・スーダル) 30pts
2位 ジョフリー・ブシャール(フランス、アージェードゥーゼール・ラモンディアール) 22pts
3位 シモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム) 21pts
チーム総合成績
1位 チームイネオス
2位 サンウェブ
3位 ミッチェルトン・スコット
text:So.Isobe
photo:CorVos