新城幸也(バーレーン・メリダ)も顔を揃えたライドロンドン・サリークラシック(UCIワールドツアー)で、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が勝利。昨年2位に甘んじたリベンジを果たした。



観客が詰め掛けた市街地コースを駆け抜ける観客が詰め掛けた市街地コースを駆け抜ける (c)CorVos
例年ツール・ド・フランス最終日に開催されていたプルデンシャル・ライドロンドン・サリー・クラシック(UCIワールドツアー)が8月1周目に開催。一般参加型のフリーライドやブロンプトン世界選手権、UCIウィメンズ・ワールドツアーレース、プロレースと同じコースを走る参加者3万人のシクロスポルティーフなど、金曜日から日曜日までロンドン中心部で開催されたプルデンシャル・ライドロンドンの締めとなるプロレースだ。

ロンドン五輪の準備レースとして2011年に初開催され、2013年から継続開催されているワンデーレースは2年前にUCIワールドツアーレースへと昇格。イギリス初のUCIワールドツアーレースとして知られており、その名の通りロンドン市内からサリー州の丘陵地帯を経てロンドン市内に戻るレイアウト。バッキンガム宮殿につながる大通りのザ・マルでフィナーレを迎える。

今年はコース変更が行われ、全長167kmコースの最高地点は2012年のロンドン五輪で使用された「ボックスヒル」の191m。その数字だけ見ると難易度は低いように感じられるが、中盤は小刻みなアップダウンの繰り返しで、チームカーが一台やっと通れるほどの田舎道も登場するため気が抜けない。ボックスヒルを含む周回コースを5周回するが、最後のボックスヒル頂上からフィニッシュまでは52km。完全なるスプリンター向けコースだ。

ボックスヒルを走るスタン・デウルフ(ベルギー、ロット・スーダル)ら3名ボックスヒルを走るスタン・デウルフ(ベルギー、ロット・スーダル)ら3名 (c)CorVos
今年は昨年2位に甘んじたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)を筆頭に、サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)、アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)、カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)といった豪華スプリンターが揃い踏み。バーレーン・メリダからはツアー・ダウンアンダー以来のワールドツアー復帰となる新城幸也も出場した。

レースは隣町エセックスのアレックス・ドーセット(イギリス、カチューシャ・アルペシン)のファーストアタックで封切られ、スタン・デウルフ(ベルギー、ロット・スーダル)とパスカル・エーンクホーン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)が合流。追走したジュリアン・フェルモート(ベルギー、ディメンションデータ)は届かず、3名が3分半リードで集団から逃げ続ける展開が続いた。

4度目のボックスヒルではメイン集団から優勝候補の一角ユアンが遅れるも、チームの献身的な働きによって復帰に成功。集団からマイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)とカスパー・ペデルセン(デンマーク、サンウェブ)が先行を始め、最終のボックスヒルではマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)やゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、ミッチェルトン・スコット)などが攻撃を仕掛けるも大きな動きには繋がらない。先頭で山岳賞を確定させたドーセットはペースを緩め、集団へと戻っていった。

ロンドン郊外の生活道路を走るメイン集団ロンドン郊外の生活道路を走るメイン集団 (c)CorVos
母国チームのチームイネオスとUAEチームエミレーツがコントロールするメイン集団は、残り14kmで最後まで粘ったデウルフをキャッチ。各チームが激しく位置取り争いを繰り広げる中、残り2kmで集団分断を引き起こす落車が発生。複数のボーラ・ハンスグローエやグルパマFDJの選手を巻き込むこのクラッシュで生き残った新城を含む30名が最終コーナーを抜け、ザ・マルを突き進んだ。

ロベルト・フェラーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)に連れられたクリストフが好位置につけたが、アムントグレンダール・ヤンセン(ノルウェー、ユンボ・ヴィズマ)のリードアウトを担うテウニッセンが別ラインから加速。それを利用したミカエル・モルコフ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)が背後にヴィヴィアーニを引き連れつつ、残り300mから先頭に立った。

ヴィヴィアーニは残り150mからスプリントを開始し、追随するサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)を寄せ付けずに突き進む。リードアウトを終えたモルコフもスプリントを続けてライバルの追撃を抑え、そのままヴィヴィアーニが先着。プロキャリア通算75勝目となる勝利で昨年2位のリベンジを達成した。

サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)を下したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)を下したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
豪快なシャンパンファイトを決めるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)ら豪快なシャンパンファイトを決めるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)ら (c)Prudential RideLondon
スプリント中(10秒間)の平均速度68.6km/h、最高速度71.1km/h、平均パワー1020W、最大パワー1280Wというデータを叩き出して勝利したヴィヴィアーニ。「ボックスヒルでセレクションが掛からなかったのでスプリント勝負になることは明らかだった。チームメイトの素晴らしい働きにコミットすることができたよ」と語る。「運良く落車を避けることができたし、自分のタイミングでスプリントができた。チームとして表彰台を2つも抑えることができたし、これ以上の結果は望めないよ」とチームメイトへの感謝を残している。

落車を避けて集団前方に残った新城は26位でフィニッシュしている。
プルデンシャル・ライドロンドン・サリー・クラシック2019結果
1位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) 3:46:15
2位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 ミカエル・モルコフ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)
4位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
5位 アムントグレンダール・ヤンセン(ノルウェー、ユンボ・ヴィズマ)
6位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、ディメンションデータ)
7位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
8位 オリヴァー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)
9位 ジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・スーダル)
10位 イーサン・ハイター(イギリス、イギリスナショナルチーム)
26位 新城幸也(バーレーン・メリダ)
text:So.Isobe
photo:CorVos