後続に3分差をつけ、シマノ2人とBSアンカー1人で迎えた終盤。3人はきれいにローテーションを回して前へ出る戦いを繰り広げる。先にアタックした飯島誠に畑中勇介が追いつき、そしてかわした。正々堂々の男の戦いに勝った畑中はJサイクルツアー2勝目を挙げた。

5周目、平塚吉光(シマノレーシング)、日置大介(MASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTS)ら5周目、平塚吉光(シマノレーシング)、日置大介(MASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTS)ら photo:Hideaki.TAKAGI4月24日(土)、群馬サイクルスポーツセンターでJサイクルツアー第3戦、第44回東日本サイクルロードレースが行われた。実業団ロードレースのなかでも2番目にランクされるステータスの高いもので、獲得ポイントも高いため、シーズン序盤戦としてどのチームも目標とするレースだ。

コースは群馬CSCの6kmサーキット。テクニカルでアップダウンのあるもので、スピードを中心に総合力を問われるコースだ。TRはここを20周する120kmで行われた。

13周目の先頭集団、岩島啓太(なるしまフレンドレーシングチーム八王子)ら13周目の先頭集団、岩島啓太(なるしまフレンドレーシングチーム八王子)ら photo:Hideaki.TAKAGITRは畑中が2勝目
序盤からアタックがかかる。シマノ勢と飯島が中心だ。そして5周目、上り区間を越えて14人の逃げができる。畑中、村上純平(シマノレーシング)、飯島、柿沼章(宇都宮BLITZEN)らだ。1分以上開いたメイン集団からは、鈴木真理(シマノレーシング)平塚吉光(シマノレーシング)長沼隆行(宇都宮BLITZEN)リー・ロジャース(FUJI-CYCLINGTIME.COM TR)、武田耕大(湘南ベルマーレ)らが抜け出し先頭を追走する。先頭集団からは長沼を引き上げる目的で柿沼が下がり、中村誠、辻善光も加わるが思うようにペースは上がらない。

そして15周目、先頭集団から上り区間で飯島がアタック、畑中と村上の2人だけが反応し3人で抜け出す。ここから残り5周30kmの戦いが始まる。後続集団とは3分以上の差があるものの、3人は均等にローテーションを回して進む。

15周目、3人が抜け出す15周目、3人が抜け出す photo:Hideaki.TAKAGIラスト2周に入ってもそのままの動き。後続に十分な差がある状況で、2人いるシマノ勢はどちらかを温存する動きに出るのが普通だが、あくまでも均等に回していく。

そして動いたのはラスト2周の心臓破りの坂の頂上手前。畑中がアタックを仕掛ける。ゴールまで7kmを切っている。飯島がこれを追う。ここから2対1のバトルが始まる。
飯島が追いつくとカウンターで村上がアタック。しかし最終周回突入後の上りで今度は逆に飯島が仕掛ける。村上は遅れ、畑中も差をつけられてしまう。
飯島は逃げ続けるが、畑中は差を50mほどに保ったまま追い続ける。そしてついに上り区間に入る手前、ゴールまで2km地点で飯島に畑中が追いつく。そして上り区間で畑中が一気にアタックして飯島に差をつけ、ゴールへ。見事Jサイクルツアー2勝目、西日本チャレンジも含め今季3勝目を挙げた。

ラスト1周へ向かう先頭3人の攻防ラスト1周へ向かう先頭3人の攻防 photo:Hideaki.TAKAGI優勝の畑中は「ラスト1周で飯島さんに行かれたときはきつかったです。なかなか追いつけず我慢比べの状態でした。3人で回したのは、自分たちに余裕がなかったこともあります。早めに動くとあと30kmがもたないので。最後、同じ八王子の先輩を抜いたときはちょっと怖かったですが(笑)。でも正々堂々と戦った結果なので良かったです」
また、「勝負になったら負けたくない、ボクは高校生のときから入賞よりも優勝の数のほうが多いです。勝つか崩れるかのどちらかです」とも。

最終周回、逃げる飯島誠(チームブリヂストン・アンカー)と追う畑中勇介(シマノレーシング)最終周回、逃げる飯島誠(チームブリヂストン・アンカー)と追う畑中勇介(シマノレーシング) photo:Hideaki.TAKAGI2位の飯島は「序盤から動いて気がついたら20人くらいになっていました。シマノは畑中と純平だったので(力は)どうなのかなと思いながらも、回っていたので合わせました。あの場面、自分が引かない方法もあったのですが、自分としてそれは許せないし力勝負をしたいと思いました。最後、自分なりに脚は貯めていたつもりだったのですが、調子が上がっていません。ロード練習に切り替えて3週間です。いいレースをしていい結果を出すのがトップ選手と思っています。なので今日は50点くらいですね。プロなので優勝しないといけません」

畑中勇介(シマノレーシング)が優勝畑中勇介(シマノレーシング)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGIシマノレーシング今西監督は「飯島さんが強いのはわかっていたのでラスト2周まではそのまま行かせました。2人のどちらかを休ませる走りはさせたくなかったですね。昨夜のミーティングでも、前に出る走りを、と伝えていました。ラスト2周で余裕があれば動けと指示を出しましたが、逆に飯島さんに離されてしまいました。その時点では、正々堂々と動いた結果のことだし、もうだめかなと思っていました。畑中の勝負強さにびっくりですね」

FR ゴールまで独走する萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)FR ゴールまで独走する萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング) photo:Hideaki.TAKAGI女子は萩原が圧勝
女子FRは5周30Kmで行われた。1周目中ほどで萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)がペースを上げると前に飛び出し、そのまま次第に差を広げて独走態勢に。後続との差は広がり続けてそのまま優勝。2位争いは最後の心臓破りの坂でアタックをかけた堀記理子(クラブシルベスト)が西加南子(LUMINARIA)に先着した。

優勝の萩原は「チームの誰かが勝てれば、と展開を作ろうと動いたら、離れたのでそのまま行けるところまで行こうと思いました。チームとしてうまく動けたらと思っています」
また先のアジア選手権は「ロードは自分のレース展開にできずとても悔しかったです。TTは2位ですが、序盤の遅さが響いて悔しかったです。同じことを何度もやっていて、勝てたレースだったのに」
「ポイントレースは1年半ぶりのトラックでした。自分で攻撃して展開を作れたので良かったですが、一緒に逃げた香港の選手の力を知らなかったのであとでよく勝てたなと思いました。海外での金メダルは前回のアジア大会以来です。今年は自信もついてきて、チームメイトもいるのでガンガンいきたいと思っています」

BR-1 辻貴光(CIERVO NARA PROCYCLINGTEAM)が優勝BR-1 辻貴光(CIERVO NARA PROCYCLINGTEAM)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGI2位の堀は「麻由ちゃんが逃げたとき、追える場所にいたのに追わず、勇気がなかったと思いながら走っていました。今日は自信がなかったのですが。上りは全部アウター52T、リアは19Tで、使っても25Tでいきました。今年は最後の上りが楽に感じられました」と語る。

BR-1は辻貴光が3勝目
BR-1は10周60kmで行われた。数人のアタックができるも1周以内に吸収、集団基調でレースが展開。勝負は最後の坂に持ち込まれた。ここでスパートした辻貴光(CIERVO NARA PROCYCLINGTEAM)が優勝。館山、舞洲に続いて3勝目を挙げた。


ER1組目 ゴールER1組目 ゴール photo:Hideaki.TAKAGI結果
TR 120km
1位 畑中勇介(シマノレーシング)3時間04分35秒
2位 飯島誠(チームブリヂストン・アンカー)+11秒
3位 村上純平(シマノレーシング)+30秒
4位 岩島啓太(なるしまフレンドレーシングチーム八王子)+3分56秒
5位 山根理史(湘南ベルマーレ コムレイド)+3分57秒
6位 森本誠(イナーメアイランド信濃山形-TR)
7位 西谷雅史(オーベストディープラスデザイン)+3分58秒
8位 長沼隆行(宇都宮BLITZEN)+6分32秒
9位 辻善光(宇都宮BLITZEN)+6分33秒
10位 鈴木譲(シマノレーシング)


ER2組目ゴールER2組目ゴール photo:Hideaki.TAKAGIFR 30km
1位 萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)51分36秒
2位 堀記理子(クラブシルベスト)+2分32秒
3位 西加南子(LUMINARIA)+2分35秒

BR-1 60km
1位 辻貴光(CIERVO NARA PROCYCLINGTEAM)1時間37分37秒
2位 小室雅成(湘南ベルマーレ コムレイド)
3位 高塚亮輔(spacebikes.com)
4位 若生正剛(なるしまフレンド)
5位 宗吉貞幸(オッティモ)
6位 西山知宏(Tacurino.net)


群馬CSCグランプリ BR-1表彰 高塚亮輔(spacebikes.com)が優勝群馬CSCグランプリ BR-1表彰 高塚亮輔(spacebikes.com)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGIER 第1組42km
1位 木村航太(SPADE・ACE)1時間08分16秒
2位 町田広(ACQUA TAMA)+02秒
3位 西城泰裕(なるしまフレンド)
4位 郷津勝之(spacebikes.com)+03秒
5位 沼田信也(FUJI-CYCLINGTIME.COM)+04秒
6位 漆原隆英(パインヒルズ'90)


群馬CSCグランプリ耐久 みんな頑張りました群馬CSCグランプリ耐久 みんな頑張りました photo:Hideaki.TAKAGIER第2組 42km
1位 篠崎友(MUUR ZERO)1時間08分04秒
2位 三上和志(サイクルクラブ3UP)+04秒
3位 内山靖樹(湘南ベルマーレ)+06秒
4位 小竹俊輔(なるしまフレンド)
5位 福岡実(TeamFITTE)
6位 丹羽英太(SQUADRA CORSA cicli HIDE)


photo&text:高木秀彰