2019/07/22(月) - 05:48
ツール・ド・フランスの2週目を締めくくる1級山岳フォア・プラットダルビの山頂フィニッシュで、逃げ集団から抜け出したサイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)が2勝目をマーク。アラフィリップがついに崩れる中、ティボー・ピノ(グルパマFDJ)がライバルたちからタイムを奪った。
7月21日(日)第15ステージ
リムー〜フォア・プラットダルビ
距離:185km
獲得標高差:3,900m
天候:晴れのち雨
気温:17〜27度
キンタナやバルデ、ニバリがピレネー最終日に逃げる
ツール・ド・フランス第2週目のピレネー決戦を締めくくるのは標高1,000〜1,500m級の峠を4つ繋いだ185kmの難関山岳ステージ。2級山岳モンセギュール峠(距離6.8km/平均6%)と1級山岳ポール・ド・レール(距離11.4km/平均7%)、そして「ボーナスポイント」付き1級山岳ミュール・ド・ペギュエール(距離9.3km/平均7.9%)を越える。最後に待つのは1級山岳フォア・プラットダルビ(距離11.8km/平均6.9%)の山頂フィニッシュだ。
獲得標高差が3,900mに達するピレネー最終ステージは、逃げグループ形成のための激しいアタック合戦で始まった。ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)を含むスプリンター系選手たちも混じるアタックの応酬は延々と続き、登り基調にもかかわらず最初の1時間の平均スピードは47km/hに達する。2級山岳モンセギュール峠の登りでようやく28名の先行が決まった。
逃げ集団を形成した28名
ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)7分19秒遅れ
アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)
マルク・ソレル(スペイン、モビスター)
ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
ヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・メリダ)
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ)
バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)9分03秒遅れ
ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
ジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)
ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)9分50秒遅れ
ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ディメンションデータ)9分55秒遅れ
パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)17分13秒遅れ
アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)
ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ)
オマール・フライレ(スペイン、アスタナ)
ルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)
ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)
トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール)
ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サンウェブ)
レナード・ケムナ(ドイツ、サンウェブ)
マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)
イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)
サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)
サイモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム)
アマエル・モワナール(フランス、アルケア・サムシック)
ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)
マイヨアポワを着るティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)が集団後方で苦しんだこの日、ニバリとバルデとの登りスプリントで先着したウッズを先頭に霧に包まれた2級山岳モンセギュール峠をクリア。ドゥクーニンク・クイックステップが牽引するメイン集団は2分50秒遅れで続いた。
前日の超級山岳トゥールマレー峠で3分24秒遅れたキンタナと、20分19秒遅れたバルデが下り区間で先行するシーンも見られたが、後続が追いついて先頭は36名に人数を増やす。遅れて逃げ集団に追いついたマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)がスプリントポイント(93.5km地点)を先頭通過し、マイヨヴェールを着るペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)との差を20ポイント詰めることに成功した。
連続山岳で戦略的に攻撃を仕掛けたモビスター
1級山岳ポール・ド・レールで巨大な逃げ集団からSイェーツやロッシュらが積極的に動き、16名(モラール、ライヒェンバッハ、ルツェンコ、Sイェーツ、ケムナ、ロッシュ、エラダ、バルデ、ガロパン、マーティン、チッコーネ、クロイツィゲル、アマドール、ウッズ、マルタン、フライレ)に絞られた状態で、バルデを先頭に頂上をクリアした。ドゥクーニンク・クイックステップ率いるメイン集団は5分15秒遅れで頂上に到達。アラフィリップのために働く『ウルフパック』の中に総合10位エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ)の姿はなかった。
後半にかけて平均勾配が13%に達する1級山岳ミュール・ド・ペギュエールで逃げグループの中から飛び出したのはゲシュケ。頂上まで5.5kmを残して独走に持ち込んだゲシュケが最大勾配18%の激坂をこなす中、キンタナやバルデを含む追走グループからはSイェーツがカウンターアタックする。頂上手前でゲシュケに追いついたSイェーツがそのままフォワの街に続くダウンヒル区間に突入した。
この日最もチームとして戦略的に動いたのはモビスターだった。すでにキンタナとアマドール、ソレルを逃げに乗せていたスペインチームは、続いて「調子がよかったのでいつもと違う動きがしたかった」というミケル・ランダ(スペイン、モビスター)をこの1級山岳ミュール・ド・ペギュエールでアタックさせる。反応したヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)を振り切る走りで急勾配山岳で駆け上がったランダは、下り区間でアマドールとソレルのアシストを受けてメイン集団を突き放した。
こうして先頭2名(イェーツとゲシュケ)が先行したままフォアの街に到着。2017年ツール第13ステージは1級山岳ミュール・ド・ペギュエールからフォアまで下り切ってフィニッシュを迎えたが(ワレン・バルギルが自身初勝利)、この日はそこから1級山岳フォア・プラットダルビを登る。勾配がコンスタントに10%を超える標高1,205mの峠に、追走グループ(バルデ、キンタナ、マーティン)から1分30秒、メイン集団から3分30秒のリードで2人のサイモンが挑み始めた。
独走に持ち込んだSイェーツと、最終山岳で総合ライバルたちを引き離したピノ
道幅が狭く急勾配の1級山岳フォア・プラットダルビで、先頭ではSイェーツがゲシュケを切り離す。頂上まで8.8kmを残して独走に持ち込んだSイェーツ。ステージ2勝目に向けて順調に登坂を続ける2018年ブエルタ・ア・エスパーニャ覇者の後ろでは総合争いが動いた。
1つ手前の1級山岳ミュール・ド・ペギュエールでメイン集団から飛び出したランダは追走グループに追いつくとともに、バルデやキンタナらを置き去りにして先頭Sイェーツの追撃態勢に入る。その1分後方のメイン集団ではダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)のペースアップが始まり、残り7km地点でティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)がアタックした。
「パリで総合表彰台に登りたい」という総合6位ピノのアタックにはマイヨジョーヌのジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)や総合4位エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)、総合5位エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がすかさずチェック。対して、総合2位ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)と総合3位ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)はこれらの選手に先行を許してしまう。
ピノの執拗なペースアップによって続いてマイヨジョーヌのアラフィリップが遅れ、やがてベルナルとブッフマンも堪えきれずに脱落。実質的な総合ライバルたちを全員置き去りにしたピノが先頭Sイェーツから1分遅れで残り4kmアーチを通過していく。ハイペースで登坂を続けたピノは、追走グループの中で唯一生き残っていたランダに追いついて2番手に浮上した。
アラフィリップを捉えたトーマスとクライスヴァイクは、逆にペースを上げてマイヨジョーヌを切り離すことに成功。そこからアラフィリップはトーマスとの総合タイム差2分02秒を守り切るための走りを強いられた。霧に包まれ、雨が降り始めた1級山岳フォア・プラットダルビでアラフィリップが今大会初めてライバルたちに先行を許した。
先頭Sイェーツはペースを崩すことなく5時間近い逃げを成功させてステージ優勝。33秒遅れでステージ2位と3位に滑り込んだのはピノとランダ。続いてブッフマンとベルナルが51秒遅れ、トーマスとクライスヴァイクが1分22秒遅れ、アラフィリップは1分49秒遅れで頂上に達している。
総合表彰台まで3秒差まで挽回したピノとマイヨジョーヌを守ったアラフィリップ
第12ステージに続く今大会2勝目を飾ったSイェーツ。双子の兄弟アダムが総合24位(この日は24分30秒遅れ)に沈む中で、ピレネーの2つの山岳ステージで逃げ切りを果たして見せたサイモンは「今日はスタートからフィニッシュまでずっと全開走行だった。山岳ポイントは狙っていなかったよ。このステージ2勝目を誇りに思う。このツールにはアダムの総合サポートとステージ優勝が目標だった。ステージ2勝を果たした今、これからはチームのための働きに徹したい」と語る。ミッチェルトン・スコットは第9ステージのダリル・インピー(南アフリカ)の勝利を含めてステージ3勝目。
Sイェーツのステージ2勝目以上にフランスを沸かせたのが、2日連続で総合上位陣の中で一番の登坂力を見せたピノだった。総合表彰台まで3秒差、マイヨジョーヌまで1分50秒差の総合4位に浮上したピノは「自分向きの天候の、美しいステージだった。終盤に勾配が緩むことを把握していたので急勾配区間で目一杯追い込んだよ。それほどリスクを負うこともなく総合ライバルたちからタイムを奪うことに成功。調子が良ければアタックすべき。もっと厳しいステージが待っているので、これからも攻撃を続けたい」とコメント。
第10ステージの集団分裂で失った1分40秒を挽回する走りを見せたピノ。連日の果敢な走りにより、ステージ前半から精彩を欠いたティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)と14ポイント差の山岳賞2位に浮上している。
マイヨジョーヌはアラフィリップがキープ。しかしアラフィリップはピノから1分16秒、ブッフマンとベルナルから58秒、トーマスとクライスヴァイクから27秒のタイムを失う結果に。総合2位トーマスとのタイム差は1分35秒に縮まっている。「ハードな1日になることも、タイムを失うことになることも分かっていた。でも総合リードを守り切るために全力を尽くし、マイヨジョーヌを守ることができてよかった。夢のような日々がまだ続く。そして、もっと厳しい日々もまだまだ続く」と、マイヨジョーヌを着て大会2回目の休息日を迎えるアラフィリップは語っている。
7月21日(日)第15ステージ
リムー〜フォア・プラットダルビ
距離:185km
獲得標高差:3,900m
天候:晴れのち雨
気温:17〜27度
キンタナやバルデ、ニバリがピレネー最終日に逃げる
ツール・ド・フランス第2週目のピレネー決戦を締めくくるのは標高1,000〜1,500m級の峠を4つ繋いだ185kmの難関山岳ステージ。2級山岳モンセギュール峠(距離6.8km/平均6%)と1級山岳ポール・ド・レール(距離11.4km/平均7%)、そして「ボーナスポイント」付き1級山岳ミュール・ド・ペギュエール(距離9.3km/平均7.9%)を越える。最後に待つのは1級山岳フォア・プラットダルビ(距離11.8km/平均6.9%)の山頂フィニッシュだ。
獲得標高差が3,900mに達するピレネー最終ステージは、逃げグループ形成のための激しいアタック合戦で始まった。ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)を含むスプリンター系選手たちも混じるアタックの応酬は延々と続き、登り基調にもかかわらず最初の1時間の平均スピードは47km/hに達する。2級山岳モンセギュール峠の登りでようやく28名の先行が決まった。
逃げ集団を形成した28名
ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)7分19秒遅れ
アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)
マルク・ソレル(スペイン、モビスター)
ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
ヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・メリダ)
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ)
バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)9分03秒遅れ
ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
ジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)
ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)9分50秒遅れ
ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ディメンションデータ)9分55秒遅れ
パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)17分13秒遅れ
アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)
ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ)
オマール・フライレ(スペイン、アスタナ)
ルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)
ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)
トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール)
ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サンウェブ)
レナード・ケムナ(ドイツ、サンウェブ)
マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)
イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)
サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)
サイモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム)
アマエル・モワナール(フランス、アルケア・サムシック)
ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)
マイヨアポワを着るティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)が集団後方で苦しんだこの日、ニバリとバルデとの登りスプリントで先着したウッズを先頭に霧に包まれた2級山岳モンセギュール峠をクリア。ドゥクーニンク・クイックステップが牽引するメイン集団は2分50秒遅れで続いた。
前日の超級山岳トゥールマレー峠で3分24秒遅れたキンタナと、20分19秒遅れたバルデが下り区間で先行するシーンも見られたが、後続が追いついて先頭は36名に人数を増やす。遅れて逃げ集団に追いついたマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)がスプリントポイント(93.5km地点)を先頭通過し、マイヨヴェールを着るペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)との差を20ポイント詰めることに成功した。
連続山岳で戦略的に攻撃を仕掛けたモビスター
1級山岳ポール・ド・レールで巨大な逃げ集団からSイェーツやロッシュらが積極的に動き、16名(モラール、ライヒェンバッハ、ルツェンコ、Sイェーツ、ケムナ、ロッシュ、エラダ、バルデ、ガロパン、マーティン、チッコーネ、クロイツィゲル、アマドール、ウッズ、マルタン、フライレ)に絞られた状態で、バルデを先頭に頂上をクリアした。ドゥクーニンク・クイックステップ率いるメイン集団は5分15秒遅れで頂上に到達。アラフィリップのために働く『ウルフパック』の中に総合10位エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ)の姿はなかった。
後半にかけて平均勾配が13%に達する1級山岳ミュール・ド・ペギュエールで逃げグループの中から飛び出したのはゲシュケ。頂上まで5.5kmを残して独走に持ち込んだゲシュケが最大勾配18%の激坂をこなす中、キンタナやバルデを含む追走グループからはSイェーツがカウンターアタックする。頂上手前でゲシュケに追いついたSイェーツがそのままフォワの街に続くダウンヒル区間に突入した。
この日最もチームとして戦略的に動いたのはモビスターだった。すでにキンタナとアマドール、ソレルを逃げに乗せていたスペインチームは、続いて「調子がよかったのでいつもと違う動きがしたかった」というミケル・ランダ(スペイン、モビスター)をこの1級山岳ミュール・ド・ペギュエールでアタックさせる。反応したヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)を振り切る走りで急勾配山岳で駆け上がったランダは、下り区間でアマドールとソレルのアシストを受けてメイン集団を突き放した。
こうして先頭2名(イェーツとゲシュケ)が先行したままフォアの街に到着。2017年ツール第13ステージは1級山岳ミュール・ド・ペギュエールからフォアまで下り切ってフィニッシュを迎えたが(ワレン・バルギルが自身初勝利)、この日はそこから1級山岳フォア・プラットダルビを登る。勾配がコンスタントに10%を超える標高1,205mの峠に、追走グループ(バルデ、キンタナ、マーティン)から1分30秒、メイン集団から3分30秒のリードで2人のサイモンが挑み始めた。
独走に持ち込んだSイェーツと、最終山岳で総合ライバルたちを引き離したピノ
道幅が狭く急勾配の1級山岳フォア・プラットダルビで、先頭ではSイェーツがゲシュケを切り離す。頂上まで8.8kmを残して独走に持ち込んだSイェーツ。ステージ2勝目に向けて順調に登坂を続ける2018年ブエルタ・ア・エスパーニャ覇者の後ろでは総合争いが動いた。
1つ手前の1級山岳ミュール・ド・ペギュエールでメイン集団から飛び出したランダは追走グループに追いつくとともに、バルデやキンタナらを置き去りにして先頭Sイェーツの追撃態勢に入る。その1分後方のメイン集団ではダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)のペースアップが始まり、残り7km地点でティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)がアタックした。
「パリで総合表彰台に登りたい」という総合6位ピノのアタックにはマイヨジョーヌのジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)や総合4位エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)、総合5位エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がすかさずチェック。対して、総合2位ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)と総合3位ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)はこれらの選手に先行を許してしまう。
ピノの執拗なペースアップによって続いてマイヨジョーヌのアラフィリップが遅れ、やがてベルナルとブッフマンも堪えきれずに脱落。実質的な総合ライバルたちを全員置き去りにしたピノが先頭Sイェーツから1分遅れで残り4kmアーチを通過していく。ハイペースで登坂を続けたピノは、追走グループの中で唯一生き残っていたランダに追いついて2番手に浮上した。
アラフィリップを捉えたトーマスとクライスヴァイクは、逆にペースを上げてマイヨジョーヌを切り離すことに成功。そこからアラフィリップはトーマスとの総合タイム差2分02秒を守り切るための走りを強いられた。霧に包まれ、雨が降り始めた1級山岳フォア・プラットダルビでアラフィリップが今大会初めてライバルたちに先行を許した。
先頭Sイェーツはペースを崩すことなく5時間近い逃げを成功させてステージ優勝。33秒遅れでステージ2位と3位に滑り込んだのはピノとランダ。続いてブッフマンとベルナルが51秒遅れ、トーマスとクライスヴァイクが1分22秒遅れ、アラフィリップは1分49秒遅れで頂上に達している。
総合表彰台まで3秒差まで挽回したピノとマイヨジョーヌを守ったアラフィリップ
第12ステージに続く今大会2勝目を飾ったSイェーツ。双子の兄弟アダムが総合24位(この日は24分30秒遅れ)に沈む中で、ピレネーの2つの山岳ステージで逃げ切りを果たして見せたサイモンは「今日はスタートからフィニッシュまでずっと全開走行だった。山岳ポイントは狙っていなかったよ。このステージ2勝目を誇りに思う。このツールにはアダムの総合サポートとステージ優勝が目標だった。ステージ2勝を果たした今、これからはチームのための働きに徹したい」と語る。ミッチェルトン・スコットは第9ステージのダリル・インピー(南アフリカ)の勝利を含めてステージ3勝目。
Sイェーツのステージ2勝目以上にフランスを沸かせたのが、2日連続で総合上位陣の中で一番の登坂力を見せたピノだった。総合表彰台まで3秒差、マイヨジョーヌまで1分50秒差の総合4位に浮上したピノは「自分向きの天候の、美しいステージだった。終盤に勾配が緩むことを把握していたので急勾配区間で目一杯追い込んだよ。それほどリスクを負うこともなく総合ライバルたちからタイムを奪うことに成功。調子が良ければアタックすべき。もっと厳しいステージが待っているので、これからも攻撃を続けたい」とコメント。
第10ステージの集団分裂で失った1分40秒を挽回する走りを見せたピノ。連日の果敢な走りにより、ステージ前半から精彩を欠いたティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)と14ポイント差の山岳賞2位に浮上している。
マイヨジョーヌはアラフィリップがキープ。しかしアラフィリップはピノから1分16秒、ブッフマンとベルナルから58秒、トーマスとクライスヴァイクから27秒のタイムを失う結果に。総合2位トーマスとのタイム差は1分35秒に縮まっている。「ハードな1日になることも、タイムを失うことになることも分かっていた。でも総合リードを守り切るために全力を尽くし、マイヨジョーヌを守ることができてよかった。夢のような日々がまだ続く。そして、もっと厳しい日々もまだまだ続く」と、マイヨジョーヌを着て大会2回目の休息日を迎えるアラフィリップは語っている。
ツール・ド・フランス2019第15ステージ結果
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 4:47:04 |
2位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:33 |
3位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | |
4位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:51 |
5位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | |
6位 | レナード・ケムナ(ドイツ、サンウェブ) | 0:01:03 |
7位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス) | 0:01:22 |
8位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
9位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | |
10位 | リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) | 0:01:30 |
11位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:01:49 |
14位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 0:01:54 |
19位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:02:58 |
20位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト) | 0:02:58 |
21位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 0:03:38 |
158位 | エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:31:29 |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 61:00:22 |
2位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス) | 0:01:35 |
3位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 0:01:47 |
4位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:01:50 |
5位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | 0:02:02 |
6位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:02:14 |
7位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | 0:04:54 |
8位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:05:00 |
9位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 0:05:27 |
10位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト) | 0:05:33 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 284pts |
2位 | ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 191pts |
3位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | 187pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | 64pts |
2位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 50pts |
3位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 37pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | 61:02:24 |
2位 | ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 0:12:29 |
3位 | エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:33:16 |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 183:28:20 |
2位 | トレック・セガフレード | 0:30:45 |
3位 | チームイネオス | 0:30:54 |
text:Kei Tsuji in Foix, France
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