第14ステージのトゥールマレーの山頂決戦を制したピノにフランスが熱狂し、マイヨジョーヌのリードを広げたアラフィリップがさらに拍車をかけた。失速したトーマス、新人賞を獲得したベルナル、山岳で逃げるポイント賞のサガン、山岳賞を死守したウェレンスら、選手たちのコメントを紹介します。



ステージ優勝、総合6位 ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)

ステージ優勝を飾ったティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)ステージ優勝を飾ったティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) photo:Luca Bettini
チームの戦略はレース前に立てた。つまり、タイムトライアルのスペシャリストたちが集団を牽いて、タイム差を3分位内に抑えるというものだった。僕がなによりも欲しかったのはステージ優勝だったことははっきりしている。それを証明できたことは間違いない。モビスターがスロール峠でレースを活性化させることは想定してなかったため、ダメージも大きかった。ダヴィ・ゴデュのアタックはプラン通りだった。勝利を強く渇望していた。今の目標はパリでトップ3に入ることだ。

ステージ2位、総合1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)

マイヨジョーヌのリードをさらに広げたジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)マイヨジョーヌのリードをさらに広げたジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:Luca Bettini
自分とは接点のないビッグネームたちが目の前に現われた時は感動した。このような特別な瞬間を経験できたことに満足している。ハードな仕事をしたかいがあった。今日は大きなダメージを与えることができたので、この先総合成績はかなり動くことになるだろう。また1日マイヨジョーヌで走れる。これ以上を望むことはない。パリに近づくにつれて、このリードを保てるだろうかと自問することも増えてきた。でも、まずは今日のハードなステージから回復することが必要だ。

ステージ8位、総合2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)

先頭集団から脱落して苦しむゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)先頭集団から脱落して苦しむゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス) photo:Makoto.AYANO
スタートから調子は良くなかった。正直にいうと、かなり不調だった。終盤では一定ペースで走ればいいということは分かっていた。他の選手たちが踏み込んだ時、本当に彼らに付いていくことさえできなかった。あのときは、彼らに付いていって最後の険しい登りで勝負するよりは、タイム差を失っても自分のペースで走るほうを優先したほうが良いと考えた。おそらく、みんなに付いていくべきだったかもしれない──なにをやってもうまくいかない日だった。

わずかでも回復することを期待していた。最後の登りでは、できるだけその場に残ることだけを優先した。今日はずっとタフな日だった。まだチャンスはたくさん残っている。明日は良くなっていることを期待したい。

新人賞、ステージ5位、総合4位 エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)

マイヨブランを取り戻したエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)マイヨブランを取り戻したエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) photo:Makoto.AYANO
今日の出来事は大勢の人にとっても大きな驚きだ。本格的な山岳ステージでの真の総合争いの1日目だった。個人的には、自分が好調なことに満足している。チームとしては、ゲラント・トーマスがタイムを失ってしまったのが良くない。彼を助けることもできたけど、無線からのオーダーは彼を待つなというものだった。ツール・ド・フランスでは誰もが不調な1日がある。ぼくの場合は昨日だった。

自分たちがツール・ド・フランスを勝てるかは分からない。ただ、自分のチームメイトが昨年の優勝者だということは知っている。チームからの指示には抗うつもりはない。ヘルプを求められたらそうするつもりだし、自由を与えられたらその条件でのベストを尽くすつもりだ。

ポイント賞 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

マイヨヴェールを守ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)マイヨヴェールを守ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Makoto.AYANO
自分にとっては、このステージはベストではないが、かなり良かった。逃げに乗れたけど、最初の登りで落ちてしまった。その後、集団に戻ったときには逃げを捉まえたかった。というのは、逃げ集団にはトゥールマレーへの下りで牽くから自分を落とさないように説得していたからだった。でも、バラけてしまい、結局はお互いを追走するような状況になってしまった。ともあれ、なんとか中間スプリントを9位で通過できた。その後はペースを落として、体力を温存した。今日はかなり速いペースの日だった。ボーラ・ハンスグローエにとっての好材料は、エマヌエル・ブッフマンが大活躍して総合成績の上位にいることだ。総括すると良い日といえる。

山岳賞 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)

マイヨアポアを守ったティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)マイヨアポアを守ったティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) photo:Makoto.AYANO
昨日既にに言ったことだけど、自分が狙っていたのはスロール峠のみで、うまくいった。逃げを作って乗るつもりで、逃げが容認されるまでは、長くはなかった。ヴィンチェンツォ・ニバリ(バーレーン・メリダ)が4級山岳を狙いにきたことから、彼が山岳賞ジャージに興味を持っていることはわかった。監督からはスロール峠でのニバリのアタックに注意するように指示された。これでニバリが山岳王の候補になったのは明らかだ。

ステージ3位、総合3位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)

トゥールマレー頂上へ向けて進む6人の先頭集団。ペースをつくるステフェン・クライスヴァイク(オランダ)トゥールマレー頂上へ向けて進む6人の先頭集団。ペースをつくるステフェン・クライスヴァイク(オランダ) photo:Makoto.AYANO
自分たちにとっては最良の日だった。調子も良いと思う。ローレンス(デプルス)とジョージ(ベネット)のペースが速かったので、少し落とすように言った。肩越しに振り返ると、ついてきていた選手は10名程度だった。それで、最後の500mの登りに集中することにした。良い形でゴールできたことで、はっきりと今後の状況が見えてきた。今日のチームはとても強かった。それが認識できて良かった。

最初の10日間、チームはスプリントでの強さを見せていた。今日はトゥールマレーのトップ10に3名を送り込んだ。ワウトを失ったこともあって、戦略を練り直す必要があった。今日はそれがうまく機能したと思う。これからは毎日全力を尽くすつもりだ。この状況が来週も続くようなら、表彰台での良い結果も狙えそうだ。だけど、他の選手たちの例を見ればわかるように、こういった状況は日が移り変われば終わってしまうこともある。総合成績の表彰台を先走ることは自制したい。

ステージ4位、総合5位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)

今日は満足している。スタートから脚の調子がすごく良かったので、スロール峠やトゥールマレーの山頂2km前まではなんの問題も起きてなかった。他の選手たちが苦しんでいるのがわかり、自分はまだペースを上げることができそうだったので、アタックを仕掛けた。もちろん、ステージ優勝を狙っていたけども、総合候補たちの集団をバラけさせて、4位になったことに満足している。あのアタックは適切だったと思う。おかげで総合順位を5位に上げることができた。この状況が続けていけるなら、次の山岳ステージへの手応えを感じられそうだ。

ステージ5位、総合10位 エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ)

エガン・ベルナルにマイヨブランを奪われたエンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ)エガン・ベルナルにマイヨブランを奪われたエンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:Makoto.AYANO
新人賞ジャージを巡る争いには満足した。トゥールマレー手強かった。でも、できるだけ毎日全力を出していきたい。ジュリアン(アラフィリップ)は今日もまたすごかった。マイヨジョーヌを更新できた。

敢闘賞、ステージ31位 エリー・ジェスベール(フランス、アルケア・サムシック)

逃げに乗ることと、できるだけ長く逃げに留まることを計画していた。先頭でトゥールマレーへの登りを半分ほど単独で走ることは自分の期待以上だった。ずっと喜びに満ちた経験で、ツール・ド・フランスの残りのステージへのモチベーションを与えてくれた。今日の優勝者のピノ(グルパマFDJ)とアラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)の存在は、フランスの自転車界にとっても喜ばしい。

※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation&text: Seiya.YAMASAKI