7つものカテゴリー山岳が詰め込まれた難易度の高いコースで逃げ切りが決まったツール第6ステージ。ツール初勝利を挙げたトゥーンスや、ステージ2位に入りマイヨジョーヌを獲得したチッコーネとともに、総合争いの注目選手たちのコメントでステージを振り返ります。



ステージ優勝 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)

両手を広げてフィニッシュするディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)両手を広げてフィニッシュするディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ) photo:Luca Bettini
信じられない。ドーフィネの時点で調子の良さを感じていたとは言え、ツールでのステージ優勝は本当に信じられない。今日も、逃げ切りの可能性があったのは確かだけど、まさか勝てるとは思わなかった。絶好のチャンスを掴んだんだ。

14名の逃げグループは脚が揃っていて、協調が取れていた。タイム差が広がり続けた時点で逃げ切りのチャンスがあると誰もが思っていたと思う。最後から2つ目の登りで逃げグループが4人に絞られ、その中でチッコーネが最も警戒すべき選手だと思っていた。そして最後の登りの麓で、両親とガールフレンドが沿道にいるのが見えたんだ。彼らの存在に感情が高ぶったよ。

昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでマイケル・ウッズと一騎打ちになって敗れたので、同じ過ちは何としても避けたいと思っていた。だから最後までとにかく落ち着いて、正しいタイミングで仕掛けようと思ったんだ。残り500mを切ってからアタックを繰り返して、3回目のアタックでチッコーネを振り切ることに成功した。彼との距離が開いてから、ひたすらフィニッシュラインまで踏んだよ。

ステージ2位&マイヨジョーヌ ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)

マイヨジョーヌを獲得したジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)マイヨジョーヌを獲得したジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:Makoto.AYANO
マイヨジョーヌは子供の頃からの夢だった。その夢を今日叶えたんだ。本当に美しい達成感に包まれている。今日のチームの目標はステージ優勝だった。その目標を達成できずに苛立っていたところに、マイヨジョーヌ獲得というニュースが飛び込んできたんだ。すぐに怒りはどこかに飛んで行った。平坦ステージもしっかりとハードなツールでマイヨジョーヌを守る準備がチームにはできている

シーズン最大の目標であるジロを好調な状態で終えてから、ツールにも出場することが決まった。24歳という若さもあって、まずは経験を積むために出場が決まったんだ。その結果、想像を上回る結果を手にすることができた。今日は山岳賞ジャージへの第一歩でもあった。まだ多くの山岳ステージが残っているので、しっかりとポイントを重ねていきたい。そして本格的な山岳が始まれば、スーパーストロングなリッチー(ポート)の総合成績ためにチームは全力を注ぐよ。

ステージ3位 クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)

ステージ3位に入ったクサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)ステージ3位に入ったクサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、ワンティ・グループゴベール) photo:Kei Tsuji
ここ数日山岳賞ジャージを目標としていて、そのために逃げに乗るプランを立てていた。そして今日同じ目標を持つティム・ウェレンスやトーマス・デヘントとともに抜け出すことができた。しかし3度の山岳ポイントを経て(ウェレンスがポイントを大量獲得したため)、目標をステージ勝利に切り替え全力を尽くした。

8分もあった逃げグループのタイムギャップも最後の上りでは2分半まで迫られ、正直捕まってしまうのではと恐れていた。でも、他のライダーの加速に惑わされることなく自分のペースを維持したんだ。今日3位でフィニッシュできたなんて、とても信じられないよ。今季最もハードなステージだったと言えるね。第3ステージで8位に入って喜んだけど、それ以上に今日の表彰台は自分にとってもチームにとってもファンタスティックなものになった。このツール期間中にまだまだ成長していると感じている。この後もステージ優勝争いに絡む走りをしていきたい。

ステージ4位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)

アラフィリップの前に出てスパートをかけるゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)アラフィリップの前に出てスパートをかけるゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス) (c)CorVos
とても調子が良かった。もっと最初から全開のステージになると予想していたけど、最初の3つの峠は比較的平穏に過ぎた。モビスターが先頭に立って、バルベルデが強力なペースを作り出したけど、変わらず自分の調子は良かった。急勾配の登りではリッチー・ポートやナイロ・キンタナ、そしてもちろんエガン(ベルナル)が飛び出すことを予想していたので、もっとハードな展開を願っていた。でも終わってみれば良い結果になった。

今日のような登りでは忍耐強さが問われる。アラフィリップが残り800mという早いタイミングでアタックしたけど、必ず引き戻せるという自信を持って、フィニッシュラインまで出しるテンポで走り続けた。最後は本当に身体が爆発するかと思ったよ。

ステージ5位 ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)

5位まで追い上げたティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)5位まで追い上げたティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) photo:Makoto.AYANO
今日の走りには満足している。ステージ優勝を期待してくれていた人には残念なコメントかもしれないけど、良い1日だった。ステージ優勝には届かなかったものの、ツールはまだまだ長い。ツール制覇が紛れもない目標であり、チームは素晴らしい走りをしてくれた。勝負は最後の壁で決すると思っていたので、振り返ることなく全力を尽くした。トップ争いに絡むことができたし、この調子でレースを進めたい。ツールが今日始まった。

ステージ7位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)らがラスト100mの激坂区間をこなすナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)らがラスト100mの激坂区間をこなす photo:Makoto.AYANO
チームとして良い仕事ができたし、タイムを失わないという目標は果たせた。今日のフィニッシュは自分たちモビスター向きではなかった。モビスターはピュアクライマーの集まりであり、今日の急勾配の登りはもっと違う脚質の選手に有利だった。大会最初の山岳ステージはいつも難しい。ライバルたちはまだまだフレッシュなので、登りでペースを上げてもリードを奪うことはできなかった。これから先も挑戦を続けたい。

ステージ20位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)

20位のステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)20位のステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) photo:Makoto.AYANO
今日は自分向きの登りではなかった。アラフィリップがアタックした時、見送ることしかできなかった。最初の1週間で、自分よりも調子の良さを見せる選手がいることは分かっている。昨年もそうだったので、今日のタイムロスをそこまで深刻なものとして捉えていない。それに、チームタイムトライアルのおかげでまだリードを得ている状態。まだまだツールは多くのステージが残っている。

ステージ27位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)

トーマスから1分09秒遅れたロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)トーマスから1分09秒遅れたロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Kei Tsuji
脚に問題を抱えていた。勝負できるレベルではなく、厳しい結果に終わってしまった。何が起こったのかをしっかりと精査したい。このツールに向けたモチベーションは高く、まだまだ挽回の余地は残されている。でもまずは今日自分の身に起こった問題や、終盤に失速した理由を突き止めたい。

マイヨアポワ ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)

山岳賞のリードを広げたティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)山岳賞のリードを広げたティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) photo:Kei Tsuji
前日にタフな逃げを打ったことで今日は休みが必要かなと思ったけど、実際は昨日よりも脚の調子は良くて、力を使わずに逃げグループに乗ることができた。僕ら先頭グループは逃げ切り勝利のチャンスがあると分かっていた。トーマス・デヘントが一緒にいてくれたのはとてもラッキーで、彼のおかげで山岳ポイント量産に成功したよ。今日僕が受け取ったトロフィーを彼に渡したいくらいさ。トーマスのアタックは僕の助けとなってくれた。もうしばらくこの水玉ジャージを着ていたいね、この後もできる限り長く戦っていきたいと思っている。

text::Kei Tsuji / CW編集部